第84話「七夕」

「笹の葉さ~らさら」


と、歌ったあの日。

前日に、笹にたくさんの装飾をつけた後、短冊にお願いごとを書いて、糸でくくりつけた。

7月7日の学校では、七夕集会があって、全校生徒が体育館に集まった。レクリエーションとして、「七夕クイズ」なんてのもあった!


「第1問、七夕の日に雨が降っても、織り姫と彦星は会える!さあ、〇か?×か?」


なんてあった。

その後、大きなスクリーンに、OHPで「七夕」の物語を写した。

物語が終わったあと、集会の司会の先生が……


「織り姫と彦星が、今夜会えるといいですね!」


なんて話していた。

体育館での集会のあとは、校庭にて笹燃やしをした。


「みんなの願いが、煙になって天に届きますように」


と、火がつけられると、パチパチと燃え上がり、煙が空高くあがって行った。そういえば、家に帰ると、笹があった時もあった。爺ちゃんがどこからか手に入れて来たらしい。笹は、すぐに枯れて葉が落ちてしまうので、婆ちゃんは掃除が大変そうだった。


玄関の笹に、短冊をつけたり、天の川をつけたりとしたのは、とても楽しかった。

七月七日の深夜、起きて空をみた。あつい雲が空を覆っていた。この夜の空は曇天模様。七夕の日に晴れる事はあまりなかった。


でも雲の上はいつも「晴れ」な事を、僕は知っていたから、ちっとも心配ではなった。だから二人が雲の上で、出会っている姿を僕は思い浮かべていたのだった。


おしまい

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