第85話「日傘」

そういえば、日傘を知ったのはいつの事だろう……

僕の小学時代の話だ。


◇◇◇


「婆ちゃん天気いいのに、なんで、傘さしてるの?」


小学校2、3年だったと思う。埼玉に住む、伯母一家の家に遊びに行く時の事だった。


「これは日傘って言うんだよ」


と、婆ちゃんが言った。


日傘?


日傘!


おおっ!なるほど、お日様の傘かと納得した。しかし、僕の驚きはまた違う所にあった。日傘……


僕は、「アルプスの少女ハイジ」のロッテンマイヤーさんを思い出した。

(クララの家の家政婦だったかな?「アーデルハイド!」ってハイジを呼んでいた人)


そんな人が日傘という物を使うと思っていたから、我が家にあったと知って驚いたのだった。

日傘は白で、縁がレースになっていた。ジリジリする陽射しを遮り、日陰を作っていた。

日傘を見ていると……なんとなく西洋絵画で描かれるような、南フランスの風景画を、僕は思い浮かべていたのだが……


婆ちゃんは大正生まれだったためか、和服でいる事が多かったので、和服に日傘のいでたちだったのを覚えている。


余談。

そんな婆ちゃんだが、僕が高学年になる頃には、洋装が多くなり普段着が今の人と同じになったのだった。


おしまい




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