第82話「笹飾り」
僕の小学時代の話だ。
◇◇◇
七夕が近付くと、学校の図工の時間で、笹飾りを作った。
まずは、「短冊作り!」これがなくては、話にならない。折り紙を半分に切って、パンチで穴をあけ、糸(木綿やタコ糸)を通した。
上級生になると、和紙を使った。薄く染めたり、ひたした和紙に絵の具をたらして模様にした。僕は、水彩のにじむ感じが好きなので、薄い色でグラデーションに染まった、短冊を作った。
次は、「天の川」折り紙を縦に、W(M?どちらでも同じか!)に折り、横から、ハサミを入れる。すべては切らず、5ミリほど残して、反対を同じく切る。左右からハサミが入り終わった後、開いて、縦に引っ張ると、網目模様になった。
この天の川も、上級生では、染めた大きな和紙を、縦長に切ってから作った。笹をグルリと包み込み、とても、幻想的だった。
そして、「提灯(ちょうちん)」これは、ぼんぼりとも呼んでいた。折り紙をWに折り、真ん中の∧の所を山の所から根元まで切り込んだら、広げ丸く筒にすると、提灯の形になった。
最後に「リング(輪つなぎ)」を作った。しかしどうしても、僕には「これって、クリスマスだろ!?」な感じがしてしまうのだった。折り紙を、細くきり(1/4)輪にして、チェーンのようにつないでいった。低学年の笹には、このリングが、グルグル巻きになっていた。
全クラスの笹が集まると、すごいものでにぎやかになった。特に、上級生の笹飾り付けには、やはり幻想的で、とても、驚いた。
これら、一通りの飾りを作ったあとは、自分の好きに作って良かった。リング(輪つなぎ)の奴は、ひたすらリング。天の川の奴は、ひたすら、天の川を作った。
僕は、工作は得意だったので、先生に頼まれて、教えにまわった。僕以外には、友達のイケとコウジも、先生の補佐をしていた。二人とも器用だった。先生の補佐はとても嬉しかった。だって、好きな女の子のそばにいられるから!
手取り足取り…ふれあう手先にドキドキした。
でも、はじめは、やさしく教えていたのものの、気付かぬうちに、だんだんと職人モードになり、精度を求めてしまって……
「そこはこうだって!!」
「もう、ミズキに教わらなーい!」
と、なってしまったのだった。
トホホ。
おしまい
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