第56話「長靴」

僕の小学時代の話だ。

大きな水溜まりがあると、わざと踏みに行った。くるぶしまで水につかったが長靴なら、まだまだへっちゃらだった。


両足ジャンプ!!自分を中心に水しぶきが立ち上がり、花びらが咲くように広がった!

水溜まりだけではない!泥沼だって、へっちゃらだ!まっ時々、足を取られて転んで泥んこになっていたけど。


保育園や小学校低学年の頃は、婆ちゃんが買ってくれた青や黄色で、キャラクターの絵が描いてある長靴を履いていた。実は僕は、これらの長靴が大嫌いだった!

僕の中では「長靴」なイメージではなかったからだ。まあもともと、靴の蒸れる感じが嫌いなので、滅多に履かなかった。


でもある日、爺ちゃんが長靴をくれた日から履くようになった!その長靴とは!?ただの真っ黒な「長靴」だった。僕は、こういうのが欲かったのだ!!

段々と足が大きくなり大人のサイズになってきた頃、爺ちゃんが自分の長靴をくれた!!4年生の時の事だ。


これは、嬉しかった。実は時々、履いて遊んでいたからだ。雨の日に爺ちゃんが使っているのが羨ましかった。だからもらった時の喜びは大きかった!もらってからは雨が待ち遠しかった!だから早速、雨降り坊主を作った。

そして期待通りに雨が降ると、僕は真っ黒な長靴を履いて、表へと飛び出すのだった!!


◇◇◇


そんな、ドロドロビシャビシャになって使った長靴。今、その長靴は、実家の下駄箱にひっそりと眠っている。


おしまい

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る