第15話「掃除のお姉さんは6年生」

僕の小学時代の話だ。

1年生の時に、お昼に6年生が掃除に入ってくれた。1年生の時は、2学期までは午前授業だったので、僕らが帰ったあとの掃除だった。僕は、学校内の学童に通っていたから、自分のクラスを掃除してくれる6年生に気付いたのだった。

6年生といえば、1年生にとって、学校の中で一番大人に近い存在だった。外から教室をのぞいていると……


「このクラスの子?」


と、声をかけられた。


「うん」


「名前は?」


「ミズキ」


6年生のお姉さんは、僕を手招きした。


「ミズキ君の席はどこ?」


僕は指を指した。


「じゃあ、良く拭いておくね!」


掃除が終るとお姉さんが近付いて来た。


「ねえ、肩車してもいい?」


と、お姉さんが言った。この時、6年生のお姉さんは、何人もいて代わりばんこに肩車してくれた。

ちょうど金曜日だったので、次の週にまたお姉さん達に会えるかな?と思って見に行くと、お兄さん達が掃除をしていた。掃除当番は、班で週代わりだった。だから可愛いがってくれたお姉さん達に、会えるのはまた、しばらくたってからだった。

そうそう、今度は僕が6年生のなると、同じく1年生の教室の掃除をした。掃除をしていると……


「ねえ、なにしてるの?」


と、1年生の女の子が声をかけて来た。僕は、6年前を思い出していた。でも、さすがにスカートはいた女の子に「肩車してあげようか?」は恥ずかしくて出来ないよなあと、思っていたら……




「肩車して~!!」


と、言われたのだった。


おしまい

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る