第16話「中屋上(なかおくじょう)」
小学時代、小学校には「中屋上(なかおくじょう)」と言う場所があった。
5年生の学年の階だから3階だった。5年生になって、これは嬉しい事だった。クラスの目の前に、すぐ遊べる所があるからだ。
3クラス分の広さがある中屋上。その下の階は、図工室と音楽室だったかな?
とにかく休み時間が待ち遠しかった。中屋上には、何故かタイヤが沢山あった。それを使い遊んだものだ。
そうそう中屋上では、ボールが禁止だった。フェンスはあるが、そんなもの、すぐに飛び越えてしまったからだ。 ボールが使いたければ、天井までフェンスのある屋上か校庭しかなかった。
でも、屋上は6年生が場所を取ってしまうし、校庭では、中低学年が沢山いて、場所を取ってもブーイングが多いので我慢していた。(まあ、なにより休み時間に、3階から校庭まで降りるのが億劫なのもあった)
中屋上からは、校舎裏になるコンクリート工場がよく見えた。このコンクリート工場は、ラピュタに出てくるような鉱山みたいな感じの場所で、大きくて長いダクトや、巨大なシャベルが見えた。ひっきりなしに行き交うコンクリートミキサー車やダンプトラック。休み時間、その様子に釘付けになっている男の子は多かった。
そうそう、こっそり紙飛行機を飛ばしたなあ。そんでもって、コンクリート工場まで飛ばした奴が勝ちだった。何度かやってると、みんな上手くなって、たくさんコンクリート工場まで飛ばしてしまい、とうとうコンクリート工場から苦情が来てしまった。
当時は広く感じていた中屋上だが、中学に入り久しぶりに小学校をのぞいて見たら……
『えっ!こんなに狭かった?』
と、ビックリしたものだった。
おしまい
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