第11話「ツツジ遊び」
僕の小学時代の話だ。1年生の時だった。
「ねえ、ねえミズキ。これ知ってる?」
と、友達のメグちゃんが僕に声をかけてきた。 メグは、そばに咲いていたツツジの花をつんで、花びらをバラバラにした。
「ここを、なめてみてよ」
と、いうのでなめてみると。
「あっ!甘いよ」
「ツツジの蜜だよ」
なんと、ツツジの蜜を教えてくれたのだ。
ツツジの花びらの根元の方に、ホンの一滴の蜜がある。 僕たちは、次々にツツジを摘んでは蜜をなめた。 しかしなめていると、やがてどちらからともなく……
「のど、乾くねっ!」
と、言いお互い苦笑いした。
「こういうのもあるんだよ」
と、言うと今度はメグは、ツツジの花の下の方を爪でつまみ、プチッと花弁の部分を切り長いおしべや、めしべの部分を引き出した。 全部は引き出さず、ブランブランした状態にすると、メグはツツジを空になげた!
フワッ
と、落下していくツツジ。
「パラシュートだよ!ミズキ、こういうの好きでしょ」
と、メグは言った。 ほんの一瞬の出来ごとだった。
でも僕には、ツツジのパラシュートが、フワッと空中をゆっくりと落下し、ユラユラと揺れながら地面にたどり着くまでの、長い長い時間を楽しんだのだった。
おしまい
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