第6話「輪ゴム鉄砲」

息子がテレビを見ていた時の事だ。


「パパこれ作って!」


息子に頼まれたのは、割り箸鉄砲だった。早速、割り箸を使い作り出すと、僕の記憶は小学時代へと戻るのだった。


◇◇◇


当時の我が家には、割り箸が沢山あった。


「もったいない」 


が、口癖の婆ちゃんが、何かのたびに貯めこんでいたのだ。だから食器棚の引き出しに、いっぱいに割り箸が入っていた。

 輪ゴム鉄砲を覚えたのは、保育園年長の時だった。保母さんが、教えてくれたのだった。(当時は、女性の保育士を保母と呼んでいた。ちなみに男性は保父と呼ばれたが、資格の名称は「保母資格」となっていた)小学校に上がる、ちょっと前のことだから3月ぐらいの事だろう。

 割り箸を、輪ゴムで止めながら、鉄砲を作った。的は、フイルムケースだった。作ったあとは、友達のカミや、カラと一緒に的当てを楽しんだ。

 小学生になると、作る技術も向上して、いろんな割り箸鉄砲を作った。 まずは、割り箸の選別を覚えた!割り箸にも質があり、堅めの曲がっていない割り箸を使うようになったのだ。

 割り箸を、長くつなげて、「ライフル」にしたり。銃身を、2丁にして、「2連銃」を作ったりした。

 あと、ゴムの掛け方のコツも見つけた。引っ張るゴムの、片側のテンションだけを強くして、引っ掛けると、輪ゴム自体が輪のまま回転し安定し飛んでいくのだ。そのコツを見つけてからは、2m以内、百発百中の腕前のなったのだった!

 そうそう、割り箸鉄砲の他に、輪ゴムだけを使った遊びもあった。指に掛けて飛ばすので「指鉄砲」と言ったり「輪ゴム飛ばし」とも言った。小指に掛け、親指の背を通し、人指し指の先に掛けるのだ。

 チョップの形の飛ばし方もあったなあ。親指の腹で押さえ、一周して、また同じ親指の腹で押さえる。離すタイミングが難しいが、上手くいくと、ウルトラマンのスペシュウム光線のように飛んだのだった!

 輪ゴムで、切った消しゴムや折り曲げた紙を飛ばす、「ゴム鉄砲」は強力で、当たると赤くなるほどだった!「指パチンコ」とも言っていた。 (板鉛なんか飛ばすと、昔のガラスなんかは、割ることが出来るほどだった)

 そして究極は、「カタパルト鉄砲」と言う名の、割り箸鉄砲と指パチンコが合体したのもあった。それは、針金から作った「輪っか」を、フックの付いた輪ゴムをカタパルトにして飛ばすのだ! その威力は……

 



壁のゴキブリが、飛び散るほどだった!!


おしまい


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る