第5話「交通安全バッチ」

大人なり、今は小学校の前に家があり、登下校の子どもの姿をよく見るようになった。4月になり、新しく一年生になった子ども達を見ると、黄色いバッチが輝いていた。それに気づいた僕は、自分の小学時代の頃を思い起こすのだった。


◇◇◇


一年生の頃、肩に黄色いバッチをつけていた。触るとフニャフニャでビニール製だった。 黄色いバッチには絵が描いてあって、確か、子供が手を上げて横断歩道を渡っていた気がする。その上に「交通安全」の文字があり、「交通安全バッチ」と呼んでいた。

 当時は、胸に名札をつけ、肩に交通安全バッチをつけて登校していた。でも、このバッジを僕は、そんなに長い期間付けていなかったと記憶する。一年生の、それも一学期だけだった気がするのだ。

 小学時代の僕の家は、小学校の裏で徒歩2分の所だった。校門出て、すぐの細い路地を入って行くと我が家だった。

 道は、細い上に凄く鋭角に曲がった道だったので、よほどの運転の腕ではないと入ってはこられぬ路地だった。塀を見ると、車がこすった跡が塀のあちこちにあった。

 なので、車はめったに来ない!信号もないから、みどりのおばさん(今もいるのだろうか?みんな、知ってる?)にも会わない!道だった。

 と言う訳で、バッチを付けている意味が、よく分かっていなかったのと、夏休み中は付けていないのもあり、きっと僕の事だ……


「もう、先生しなくていいよって言ってた!」


 とか家族に言って、付けるのをやめたのだと思う。

 「交通安全バッチ」の仲間には、この他にランドセルにかぶせる黄色いカバーがあったが、僕はランドセルに付けた記憶は無い。そういえば黄色い傘もあったなあ。きっと「交通安全バッチ」は小学校で配っていたので、その他は別に買ったか、もらった物なのだろうと思う。


おしまい

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