お祝い会

「雄二郎の魔法が分かった記念‼︎第一回お祝い会を開催しまーす‼︎」


なんだかんだあったがようやく帰ってきた橘さんの家。


怪我をしたのが保健室だったことが幸いして、すぐに手当てして大事には至らなかった。


体のあちこちに包帯とガーゼが巻かれているが、見た目ほど大怪我ではない。


橘さん家の中は相変わらず散らかっているが、幸か不幸かスクール水着のおかげで服を脱がずともリビングまでやってこれた。


ちなみに橘さんはいつの間にかtシャツ一枚になっていた。


たまちゃんはというと、小柄な体のおかげか、一切の装備を失うことなくここまでたどり着いていた。


そして、三人全員がリビングに置かれた謎の

四角い機械を囲んで座ると、唐突に橘さんが冒頭のセリフを叫んで飛び跳ねたのだ。



「……いや、それはありがたいんだが、用意はどうする?少なくとも俺は何もないぞ?」


お祝い会といえば、食べ物や飲み物を広げて大勢でそれをつまみながら騒ぐようなイメージだが、


この家では、それができるとはとても思えない。



食べ物や飲み物が出てくるとは思えないし、騒いだら崩落に巻き込まれてしまいそうだからだ。


俺はというと、見ての通りスク水一だし、財布も何も持ち合わせばゼロだ。


たまちゃんは服こそ着てはいるが、学校帰りに直接来た訳だし、何か持っているとは思えない。


「大丈夫、こんなこともあろうかとちゃんと用意をしていますとも‼︎」


言って、俺達が囲んでテーブルにしているこの謎の四角い機械に手を掛ける橘さん。


……まさか、


「じじゃーん‼︎お祝い会セット〜」


なんと四角い機械は冷蔵庫だったのだ。


開いた中からは、ホールケーキやお菓子、様々な種類の飲み物が大量に出てきた。


「私も、こんなこともあろうかといくつか持って来ていました」


いつの間にか大きな袋を持っていたたまちゃんも、机の上にその中身を出す。



……二人共用意良すぎでは?


下手な魔法より魔法っぽい光景に、感心を通り越して少し引いてしまう。



「まあまあ、細かいことは気にしない‼︎今日の主役の雄二郎には特別喜んでもらわないとだし‼︎」

コップにジュースを注いでこちらへ渡して来た橘さんはそういうと、コップを掲げて


「かんぱーい‼︎」


嬉しそうに乾杯をした。



「「かんぱーい」」


釣られる形でコップを掲げる俺とたまちゃん。


まあ、普通に祝ってくれているみたいだし、その好意は素直に受け取っておこうと、それぞれの隠し芸大会に始まり、記念の撮影会までお祝い会を騒ぎ切ってしまった



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