結果

「ふむふむ、なるほど……」


「やはり……」


刃に付いた血を拭き取りながら満足そうに頷く橘さんとたまちゃん。


俺はというと……


「刺さる、切れる、削れる……ただバットで殴ったところは……無傷‼︎」


「話を聞いたところでなんとなく予想はしていましたが、雄二郎さんの魔法は……『打撃吸収』といったところでしょうか?」


切られた腕や、刺された肩からは血が大量に出てるし、削られた膝は皮が剥けて白い身が見えている。


正直傷口を見るのも嫌になるほどの怪我をしている。


最初こそどうせ軽く指先に刃を立てる程度だろうと油断していたが、初撃で胴を狙ってきたところで思考を切り替えた。


――これは逃げないと死ぬ。と。


なんと現在呑気に状況分析をしているこの二人、実験は本気でやらねば意味がないと言って、本気で斬りかかってきたのだ。



悪い冗談と思いたかったが、目がマジで殺しに来てるアレだったし、殺気が本物だった。


とても命の保証があるとは思えず、必死に静止を訴え逃げ惑ったが、聞き入れられなかった。


無抵抗で逃げ回る人間を痛めつけるだけ痛めつけて、満足げに状況分析とは、狂っているとしか思えない。


「よかったね‼︎魔法が分かったじゃない‼︎」


そんなこと気にもしていない様子で、満面の笑みをこちらへ向けてくる橘さん。


「結局俺の魔法は『打撃吸収』ってことでいいのか?」



確かに、鎌やノコギリや竹槍は痛かったが、バットだけは痛くなかった。


むしろ衝撃が身体中を巡って力が増した気になったというか、悪い感じはしなかった。


これが魔法……ということでいいのか、いまいち実感が湧かない。


「その感じでいいと思います」


そこは現役魔法少女のたまちゃんが答えてくれた。


「私も今でも魔法を使ってる‼︎って感じはしませんから……」


「そうか、ならよかった……」


………?


よかった……のか?


たしかたまちゃんの魔法って制御不能なんじゃ……?


……つまり俺の魔法もその類のってことになるんじゃ?

不安しかないんだが?


「しかし雄二郎、なかなかいい動きしてたね、何かしてた?」


そんな俺の思考を遮断する形になる橘さんからの質問。


「いや?全く」


そりゃ、小さい時には習い事程度にいくつかやっていたことはあるが、それが今になってもそんなに影響を出しているとは思えない。


「そうなんだ、ならあの体術は単純に雄二郎の才能なんだね‼︎」


何かを企んだ様子の橘さん。


怖くて聞けない。





……だが、これでようやく一つ解決した。


どこかの怪生物のせいでわからなくなっていた俺の魔法。


それはどうやら打撃の類を吸収する『打撃吸収』だったようだ。


これがこの先戦うことになるであろう強力な魔法少女達にどこまで通用するか分からないが、今は一歩前進したことを素直に喜ぶことにしよう。


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