いや……

「……はぁ」


……………

………………は?


「正直何も知らない素人が浅知恵使って手探りしたところで思うような成果が出ないのは当たり前だと思うし、それに時間もあまりないことだから背に腹は変えられないと思う」


「はぁ………」


………………は?


何だ?


「それに魔法少女だからって、みんながみんな例の大会出るライバルって訳じゃないんでしょ?なら、経験豊富な現役の先輩魔法少女に師事してもらうのが一番だと思う」


何なんだ?さっきから


「ああ、俺もそう思う」


やけにしっくりくる考え方だ。


俺も全くの同意見で、議論の余地なく肯定してしまうレベルだ。


だが、


「このまま自殺未遂みたいな真似繰り返すのもみている方としては面白いからいいと思うんだけど、雄二郎自身としてはどう思う?」


「ええおっしゃる通りだと思います聞きましょう教えていただきましょうそしてこんな無意味な真似は二度としないと誓いましょう」


有無を言わさぬ肯定。


今のこの生きるか死ぬか(まだ何も始まってないし誰とも戦っていない)の人体実験から解放されるためなら悪魔にでも魂を売ろうと思える。


それはそうとして、



「ところでいるのか?魔法少女」


俺には不思議な体質『事あるごとに魔法少女に遭遇してその度に何か失う』があり、これまでも散々この体質に悩まされてきた。


そしてこの体質の厄介なところは、どうでもいい時は探してもないのに向こうからやって来るのに、肝心な時にこちらから探すと見つからないというところにある。


たしかに橘さんの通うこの中学なら魔法少女の一人や二人いてもおかしくないが、そう簡単に見つかるとも思えない。


今の俺の一番の心配は、そもそも魔法少女に会えるのか?というところにあった。



「いるよ?友達なんだ」


………………オオゥ。


「まじか………」



しかも友達とな?



「ほら」


そう言って見せてきたのはスマホの画面。


そこにはトーク画面が表示されていた。


『やっほー今暇?暇なら会えない?ちょっと聞きたいことあるから』

『わかった』


と会話が続いていた。


「ラインで一発で呼び出せるんだ‼︎」


自慢げに胸を張る橘さん。


「それは……すごいな」


確かにすごい。


すごいんだが……


「ふふん、でしょう?」


そんなドヤ顔されても……


「ああ……」


…………

………………。


今までのはなんだったんだ⁉︎


もう我慢できない‼︎


口に出したらややこしいことになるから口には出さないが、せめて思うくらいは許して欲しい。

なぜ今なんだ⁉︎


何回死にかけた⁉︎


屋上から落ちたことと言い、プールに沈んだ時といい、提案は橘さんからしてきていた。


結果これだ。


知り合いに魔法少女がいて、話を聞けるなら主人公なんとかとかじわじわなんとかとかよりまず最初にそこを提案してくれたらよかったのに、なぜわざわざそんなアホなことをさせたのか……


……………


……………………。


まあ、いくら思ったところで時すでに遅しだからもう考えないことにしよう。



というわけで、


橘さんの知り合いという魔法少女に話を聞くことになった。

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