切る
「切っって……みようか?」
「何を⁉︎何可愛らしく上目遣いで頬染めて告白でもするような雰囲気で恐ろしいこと言ってんの⁉︎」
橘さんは、俺の魔法が上手く発動しない原因が俺が男だからかもしれないからと考え、形から入るとか言い出した。
形とはつまり、男であり少でもない俺を、魔法少女、そう、少女にしようというのだ。
その上で切るとは、アレをアレするということなのだろう。
「いや〜、もう思いつくことは片っ端から試してみたくなるじゃん?」
じゃん?って聞かれても……
「ならないわ‼︎仮になっても最後だよ‼︎そんな取り返しのつかないようなことは‼︎」
高所から落とされたりプールに沈められたりはまだ死ななかったらなんとでもなるかもしれないが、アレをアレしてしまえば次は生えてこないのだ。
「そういうもんかな?」
可愛いく首を傾げて目を潤ませてもダメなものはダメだ。
「だいたい思いつきでなるようなものじゃないよ少女ってのは‼︎」
そもそもなれるものなのか?どうやって?
想像するだけで恐ろしいんだが。
「雄二郎って顔は少女みたいだから、体さえちょちょいといじればきっといい少女になれるよ‼︎」
「嫌だよ‼︎」
さも長所を褒めたみたいにウインクしてドヤ顔してきてるが全然嬉しくない。
なんだよ少女みたいな顔って、
そんな風に言われたのは初めてだし……確かに毎朝鏡を見るたび童顔気味かなと思ったりしなくもないが、少女と言われるほどではないだろいや何まともに受け取ってるんだどうせ適当言って俺の体をいじりたいだけだろしっかりしろ俺‼︎このまま流されたら少女まっしぐらだ絶対ここは死守するんだ。
「えーいーじゃん減るもんでもないし」
「減る減る、減るから‼︎減ったら増えないから」
「魔法使えるようになるかもよ?」
「ンン〜………」
その可能性がある以上、下手に言い返せない。
とはいえ、
仮に切って少女になって、魔法が使えるようになればいい。
が、もし、そんなこと関係なくて、魔法を使えるようにならなかったら?
そこまでして手に入れた魔法がゴミみたいなものだったら?
「いいじゃん、なんか改造人間みたいで」
「いやいやいやいや……」
この目は本気だ。
本気で言っているのだこの女子中学生は。
俺に少女になれと。
「じゃあ早速タイの知り合いに連絡して手術の段取りを……」
「話を聞きいてくれ?嫌だと言ってるんだが?」
その後、1時間くらいかけて話し合った結果、とりあえず格好から入ることになった。
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