本題

「なるほどなるほど、近々行われる最強魔法少女決定戦に出場したいから、私にスポンサーになってほしいとな?」

「………はい」


結局ありのままを言った。


大会の規定のこと、優勝賞品のこと、そして昨日自分が魔法少女になったことを。


「………ほ〜……」


……………。

……………。


それみたことか、


あの橘さんのあの少し引き攣った、どう突っ込んだものかと戸惑った表情、



あれは絶対頭のおかしなやつとか考えてるぞ。


「うーむ……」


……………ゴクリ。


どんな気を使った言葉が飛んでくるか、気が気じゃない。



「雄二郎さんの話は〜……その、突拍子もない話ですね……」


なんとぎこちない会話、言葉を選びに選んでくれているのがわかる。


「正直今にも知り合いの精神科を紹介したい気持ちに襲われています……」


もういい‼︎


もうやめてくれ‼︎


その機械みたいな喋り方‼︎破壊力がすごすぎてこちらの心が砕けそうだ‼︎


「で、ですよね〜、急にこんな話してなんかすんませんでした、すぐに帰りますのでどうか気にしないでください」


もうなんでもいいと適当に理由をつけて席を立ち、部屋を出ることにする。


ガシャガシャガッシャン‼︎



………ガッシャン‼︎‼︎




………クッソ、


すぐに立ち去りたいのにガラクタが邪魔でなかなか進めない。


「と、普通なら温かい目で送り出すところだけど、雄二郎さんタイミングがいい‼︎」


もたもたしてると橘さんの声が後ろから聞こえてきた。


その内容は………




「……は?」


なんか今、すごいことが、まさかの期待できそうな返事が聞こえたような?


「なんとちょうど、それもついさっき、今の雄二郎さんと全く同じことを言ってきた人がいたのです‼︎」


エヘン‼︎


…………まじか


なぜか自慢げな橘さんは無視して振り返る


「なんとマジ‼︎とはいえ、その時は流石に頭のおかしな人かと思って、知り合いの精神科医を紹介して帰ってもらったんだけど」


うわー……



かわいそうに、俺の前に来た人、今頃深く傷ついて寝込んでないといいが………


だがその人のおかげで少なくとも俺の話は聞いてもらえそうだ。


「普通なら頭のおかしな人の妄想だと思うところだけど、とくに有名な話でもないのに、知り合いとか親しい人物同士で話を合わせたわけでもないのに、全く同じ内容の話をする人がいたら、それはもう信じるしかないでしょ」


と言って親指でクイクイッと席に戻るようにサインを送ってくる橘さん


「アザマス」



再び正座をして話を続けることになった。

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