俺の魔法
『あなたの魔法……は』
やたら引っ張る眼鏡の面接官さん。
まるでピタリ賞の発表の時みたいだ。
まさか本当に俺だけ特別で天変地異みたいな魔法に適正があったりするのか?
無双できちゃう?
『……………』
やたらためる面接官さん。
まだためるまだためる。
これは本当にピタリ賞が出た時のため方だ。
ほら、どこからかドンドコドンドコと太鼓の音が聞こえてくるようだ。
きっとこれから『あなたの力は特別です‼︎世界を変えるほどの魔法に適正があります‼︎何ということでしょう‼︎』と言ってくるのだろう?
ほら、はよ、
太鼓の音も心なしかはっきりと聞こえてきているような………
そう、これはすぐ近くから、
………??
後ろから聞こえる?
夢の中の俺も気がついたようで、視界が振り返った。
「あ、貴方たちは……⁉︎」
そして驚いた。
そこには、
1回目の面接時にいた、他の面接官さん達が、それぞれ違う民族楽器を手にドンドコドンドコ踊っていた。
赤や緑の、太鼓やら洗濯板みたいなのにシャカシャカするアレまで、様々な楽器が見て取れる。
全員眉一つ動かすことなくただ淡々と楽器を鳴らし何の意味があるのかわからない踊りをひたすらに踊っている。
ビシッと決めたスーツに、カッピカピに固められた髪、
無表情から繰り出される無言の民族楽器と謎の踊り。
あまりにシュールすぎて開いた口が塞がらない。
「…………」
黙ってゆっくりと視界が戻っていく。
『では、よい魔法少女ライフを』
…………。
話終わっとるがな。
そして話は終わったとばかりに席を立ち、ファイルとペンを手に持ち、カンカン鳴らして謎の踊りに加わっていく眼鏡の面接官さんの姿を最後に、視界が白い光に包まれていく。
何か強い力に吸い上げられるように、深い海の底から急激に浮上する感覚。
「――――っ‼︎」
飛び起きた俺は時計を見て夜中の2時を回ったところを確認し、一言。
「……結局なんだったんだ?今の夢は」
と呟いていた。
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