第5話 後輩

 



 レオンと会ったのは、当然学園に編入してからだ。騎士科の合同授業が初対面だったのではないかと思われる。

 一つ下の学年では騎士科で一番の生徒であると耳に挟み、言葉を交わすととても懐っこいというか親しみやすい印象は初めから受けたと思う。途中から人柄が変わったという記憶はないからだ。

 フレデリックも王子でいて親しみやすく、人に好かれる人であり、二点挙げると似ているように思えるが、ちょっと違う。一人称だとかいう話も入るか。

 とりあえず後輩の中では大変話しやすい後輩であり、そういう認識だった。

 しかし学園最終学年、思いもよらなかった出来事が起こった。レオンに告白されたのだ。

 人生初ではなかったが、驚いた。それとこれとは別で、やはり自分には縁のないことだと認識していたのだろう。それにレオンに関しても後輩という認識の枠組みの中の存在であったので、驚いた。

 だが、心境はどうあれ答えは決まっていた。アリアスにはゼロという存在がおり、また彼以外のことをそういう風に見られない。そのときアリアスが自分でどのような言葉を返したか明確には覚えていないが、つまりは断ったのだ。


 それから空白の一年である。


 夕暮れ時になり、外を歩くと影が少し長めに伸びる。アリアスは薬草畑から一人遅れて医務室に戻る道中。仕事終わりの時刻、騎士団の訓練もそろそろ終わっているかと考えると、医務室は今頃本日二度目の忙しい時間帯となっているかもしれない。

「あ」と聞こえた。前に他には誰も見えていなかったため後ろからの声だと判断はできたものの、振り向くまでには至らなかった。


「アリアス先輩」


 呼ばれて、後ろからの声が今日再会した後輩であったと知る。


「レオンくん、お疲れ様」

「アリアス先輩もお疲れ様です」


 どうやら騎士団の訓練はとうに終わっているらしい。

 会話に適した距離にきた後輩はアリアスの手元を見て、「アリアス先輩、まだ仕事中ですか?」と首をかしげた。


「これはさっきまでいた薬草畑の記録。後は医務室に戻るだけだから、どうだろう。仕事中といえばまだぎりぎり仕事中かな」


 アリアスが持つのは板に挟み込んだ紙とペン。薬草畑の記録だ。何を収穫したか、何を植えたか。それぞれの成長の度合い。畑の空きスペースの有無の図。

 これで最後まで残っていた。

 見せても支障はないものなので軽く見せると、レオンは興味津々に用紙を見る。


「医務室ってそんなことまでするんですね」

「ここで使う薬に使われるものだからね」


 外から入手するものもあるが、必要なときに無い事態は避ける意味合いもあり育てている。希少で手に入り難い薬草は温室で育てられていたりする。


「だから医療科には薬作りの授業とかがあったんだ」


 そういうことである。治療専門の魔法師となるための授業に無駄はない。


「怪我を治すだけが仕事だと思ってた?」

「えっと、まあ正直なところ」


 医務室は怪我や病気を診てくれる場所。そういう認識は間違っていないし、実際それで十分なのだ。医務室に限らず騎士団だって、外部の人間が一見しても分からないところでしている仕事もあるだろう。

 実際は裏で色々やっているというだけの話。

 正直に述べた後輩が薬草畑の記録をアリアスに返す。


「それ……」


 そのときアリアスが目敏く見つけたのは、手に綺麗に描かれた線。一筋の切り傷だった。血は出ておらず、深そうではない。

 けれど咄嗟に見つけて、アリアスは自分より背が高い後輩を見上げる。


「あーこれ……ちょっと切っちゃって。掠っただけだったんですけど――騎士団の剣、あれすごい切れ味なんですね」


 今日の午後の訓練での傷だと言う。

 通常、騎士団の訓練では模造剣が使用されている。いつも真剣で訓練していては怪我の確率が高まるからだ。

 けれど真剣には慣れておかなければならないので、真剣での訓練もある。この真剣というのが、魔法師騎士団では単なる剣ではない。魔法師騎士団ならではの武器――魔法道具の一種の剣を示す。

 魔法が込めやすい通しやすい材質で作られており、魔法により切れ味が増すと、その魔法力が安定していると人によってはやろうと思えば木一本なんて余裕で簡単に切れるとか。


「医務室に行かなくちゃ駄目だよ」

「血もそこまで出なかったから、これくらいならそのうち治るのに医務室に行くと手間かけるじゃないですか」

「そのための医務室なんだけど……」


 こうして年数を重ねる度に、これくらいなら大丈夫の範囲が広まっていくのだろう。

 現在先輩方がちょっとした傷でも医務室を利用するようにと呼びかけしているのは、新人の頃から医務室に行く意識をつけて、放っておく度合いが大きくなることを避けようとしているためだとか。別に、自分で手当てできる範囲なら来なくてもいいのだが、しないばかりか放置する傷の度合いが酷くなっていくのが問題だという。

 早くも破綻の一端、一人がここに有り。

 意識を変えるのは容易ではない。後輩が「大丈夫ですよ」と笑う顔を見て、そういえばゼロにもそういうところがあると思い出した。兄弟子もそうではなかろうか。

 あの二人は今となっては普段の訓練で怪我はしそうにないけれど……。


「レオンくん、手を出してください」

「え、何で急に敬語なんですか?」

「出してください。左手ね」


 左手を要求すると、素直に左手が差し出された。やはり浅い。全くギザギザしていない綺麗な切り傷だ。


「本当は医務室に行ってもらうところなんだけど、私が見つけたからここで私が治します」


 こういうのは個人の性格なのだろうか。騎士団全体で伝染していくのだろうか。

 アリアスは傷を手のひらで覆うようにして魔法を使う。一分もしないうちに手を退けると、傷は治っていた。


「騎士団の医務室は騎士団のためにあるんだから。これくらいの傷くらいって思ってると、もっと大きな怪我をしたときもこれくらい大丈夫っていう範囲が広くなってくるんだよ。怪我だけじゃなくて、病気でもそう」


 現に去年、些細な風邪は大きく広まりかけた。

 些細な傷まで手当てして、もしくは魔法で治す。別に団員達を甘やかしているのではない。ここが戦場なのであれば些細な傷を治している暇はないのかもしれないけれど、ここは戦場ではない。時間も準備も十分だ。傷から来るかもしれないあらゆる可能性を未然に防ぐことも可能なのだ。そういう意味でも、手当ては大事だ。


「もしも医務室を使わないとしても、手当てはしてほしい」

「分かりました」


 無茶な団員が出来上がってしまわないようにと、先輩の主張を要約して伝えると素直な後輩に伝わったらしい。彼は真面目に頷いた。

 そして、傷のなくなった手をあげて微笑む。


「先輩、治してくれてありがとうございます」

「どういたしまして」


 仕事なので。それに分かってもらえて何よりだ。

 しかしちょっと説教くさかったのではないかと思って、慌てて話題を変える。


「まだ騎士団に入ったばかりだから、色々大変でしょ」

「うーん、そんなことありませんって言えないのが正直なところです」


 そうだろう。去年の同期を思い出すもので、もう頑張っているだろうが頑張れとしか思い浮かばなくて、言いたくなる。

 けれど同期や、もっと先輩も支えてくれるだろう。皆同じ道を辿って苦労を知っているはずだから、アリアスが出来ることは医務室に彼らが来たときに怪我を癒すことだ。

 自分で聞いておいて何か言えないかと思いつつも、言うことに迷っていたら、じっと見られていることに気がついた。

 言葉を待っている、というよりも見ているだけみたいな。

 アリアスが一旦考えることを止めて見返すと、レオンは「あ、すみません」と謝った。


「アリアス先輩のその格好、見慣れないなって思って」

「え? ああ、そっか。それはそうだよね」

「今日の昼、一瞬通り過ぎちゃうところでした」

「それは私もかな。制服姿しか見たことなかったからね」


 学園では決まった制服姿。

 アリアスが魔法師となり医務室の制服を身につけるようになってから一年。当たり前になっていたのだが、レオンは一年後輩だ。

 互いに、互いの現在の服装は初見となる。今日の昼、見慣れない服装によって同じく認識がずらされていた事実が甦ってきた。


「黄の騎士団なんだね」

「はい」


 レオンの襟章は黄色。魔法師騎士団の中でも黄の騎士団所属を表す。

 団長は、ジョエル団長という方だったはずだ。


「ずっといつか着るんだって思っていた服なので、魔法師になって騎士団に入ったんだなって実感が湧いてきたところです」

「それは分かるな。私も、これは見ていた服だったから」


 今来ている治療専門の魔法師の制服。城の医務室も同じ制服だから、騎士団の医務室には行ったことのなかったアリアスは城の方でずっと見ていた。


「おれ、アリアス先輩が騎士団の医務室なの嬉しいです」

「嬉しい?」


 アリアスにとって身近だったのは城の医務室だったこともあり、最初に志望していたのは城の医務室だった。しかし何事にも予測できない出来事が起こるということだ。

 配属先に関しては、やることは変わりないので、騎士団の医務室に落ち着いた。他の多くのように、強い拘りがあるわけではないのは、事実。

 この後輩は嬉しいと言う。

 聞き返したアリアスに対し、レオンは頷いて笑顔で続ける。


「今日、昼にアリアス先輩言ったの覚えてます? 今差があるのは恥ずかしいことじゃないって」

「言ったね」

「おれ実は騎士団に入ってから、こんなに実力差あるのかって悔しかったし……へこんでたんです」


 笑ってちょっとだけ自虐に聞こえるような言い方をしていた彼は、内心とても感じた差を大きく大きく捉えていたのかもしれない。


「でも先輩に言われてそうかって気がついて、受け止められました。単純かもしれないんですけど、頑張ろうって思ったんですよ」


 先輩がやっぱり変わらないから、と昼に言われたことをもう一度言われた。


「一年会わなくて、先輩がどこか変わってる可能性だってあると思ってました。おれのこと覚えてない可能性だってあるし」

「さすがに覚えてるよ」

「ですね。おれも今日先輩に会えたのは偶然で急で、そんなこと考えてたなんて思い出す暇なんてありませんでした。けど、安心して、それに嬉しかったです」

「そ、そっか」


 目の前の後輩はふわりとあの笑顔を浮かべた途端、アリアスははっきりとした何かの前触れを感じ取った。


「やっぱり、好きです」


 一度は確かめるようにぽつりと。


「おれアリアス先輩のこと好きです」


 二度目は真っ直ぐにアリアスを見て言う姿と言葉は、頭の隅に残っていた学園での記憶の欠片に重なった。


 レオンに関しては、二度目の予想外と言えるだろう。まさか一年全く会わなくて、今また言われるとは予想だにしなかった。

 しかし言われたことは現実である。


 嫌われるよりも好かれることはずっと嬉しい。皆そうだろう。アリアスもそう思う。

 けれど好きには種類があり、普段口に出さなくても家族が好きだという場合もあるし、友人を好ましく思っていたりすることもある。

 その中で、相手にこうして伝える「好き」が特別なものであるとアリアスも身をもって知っている。

 言われたならば、言わなければならないことがある。アリアスは思ったよりも冷静でいられていた。


「レオンくん」


 すっと息を吸い、名前を呼んで正面から向き合って。


「気持ちはとても嬉しいです」

「でも、駄目ですか?」

「私にとってレオンくんは良い後輩だから。……ごめんなさい」

「謝らないでくださいよ。おれ、覚悟してたんです。一回断られて、一年開いてですし」


 一言目で察していたような後輩は寂しそうに笑う。


「先輩、好きな人がいるって言ってましたもんね」

「え、そんなこと言ってた?」


 どう返答すればいいのかと混乱していた記憶があるが、頑張って口にした返事は曖昧な記憶しかない一回目、そう言っていたらしい。


「……うん、そうだね。私には好きな人がいます」

「今も、変わらない人?」


 アリアスは頷く。

 たぶんこれはけじめみたいなものだ。真剣に伝えてくれたから、アリアスも理由をきちんと伝えるのだ。

 後輩として見ていること。そして何より、好きな人がいること。そして――。


「その人以外は恋愛という意味では好きな気持ちは抱けないと思っています」

「これからも?」

「うん」

「おれにチャンス、ないですか?」

「えぇと、あの……」


 これはもう、周りにまだ伝えていない人が多くいるけれどここで伝えておくべきだ。

 アリアスは意を決して、口を開いた。


「レオンくん、私、結婚します」

「結婚?」


 案の定、レオンはきょとんとした。


「アリアス先輩、結婚、するんですか?」

「します」


 何度か大きく瞬きをした後輩は、それは予想外だと呟いた。


「いや、変わらずに付き合ってる人いるかもとは思ってたけど、結婚かぁ……」


 空を仰いで大きく息を吐き、また向き直った顔は複雑に感情が混じっているような様子。


「結婚したら先輩、辞めるんですか?」

「ううん、辞めないよ」

「医務室にいます?」

「うん」

「じゃあやっぱり嬉しいや」

「え?」

「簡単に好きだっていうのは止められませんから。医務室に行くってつまり怪我とかしたときでしょ? それってすごく悔しくて落ち込んでるときだと思うけど、アリアス先輩に会ったら、おれ、頑張ろうって思えるから。元気もらうのは、勝手でしょ?」


 首を傾け、笑う。


「アリアス先輩、結婚おめでとうございます」

「――ありがとう」



 実に爽やかな後輩だ。手を振って去っていく後輩を見送って、アリアスは歩き出した。

 何とも言い難い心地だ。申し訳ないとか、そういうのではない。何と言うか、好意に応えられないのに返事するのはとても労力がいる。でも、返事できた。自分なりに言葉にして、事実も伝えた。最善だったのではないだろうか。

 今思うと、イレーナはこれを見越していたのではないだろうかと思ってしまう。そうだ、医務室に戻ってまだ持っている記録を保管しなければ。しかし、そこで会ったときには本当に予想もしていなかったことだった……。


 レオンのような人は、すごいと思う。自分の好意を自分から伝えられる人、そしてああして笑顔になれる人。あの後輩は強い。

 そう思いながらも、さっきのことを思い出して後輩の寂しそうな表情を思い出して、やりきれないというか何とも言えない感情がまた湧く。

 前回のときも、そうだったと思い出した。断ることは、用事を断ることとは訳が違う。重みが違う。いくら事実で、正直な返事は間違えていないとしても、一人で考え込んでしまう。

 けれどここはもう学園ではではなくて、無性にゼロの顔が見たいような気がした。一方で、今日は思考を動かさずに眠りにつきたいような気もした。

 不馴れな事態のあと、要は頭の中はそれなりに整理がついていなかった。とりあえず一度起こったことを整理出来れば、落ち着けるはず。


「アリアス」


 呼ばれるまで、人が現れたことに気がつかなかった。


「イレーナ」


 物置のような小さな建物の影からか、友人が突然現れていた。

 アリアスが向かっているのは騎士団と騎士団の医務室がある方面だ。先程までレオンと話していた場所は、遠くも近くもない場所。人が通ってもおかしくはなかったのに通らなかったのは奇跡か。今になって気がついた。


「ごめんなさい。アリアスのことを迎えに行こうと思って来たら、レオンと話していたみたいだったからここにいたの」

「大丈夫だよ、ありがとう。イレーナで良かった」

「え、ええ」

「どうしたの?」


 とっさに身を隠す場所なんて他に見当たらないから気を遣わせてしまったなとむしろ申し訳なく思うと同時に、イレーナで良かったと思って言うと、様子がおかしい。


「あ、あのねアリアス」


 こんなイレーナは見たことがない。少し落ち着きのない彼女が背後を気にしていることで、小さいとはいえ建物で見えない場所に誰かがいるのではないかという発想に至る。イレーナがこんな顔をする人とは、一体――


「ルー様?」


 医務室の誰か、と勝手に思い込んだそれは大いに外れた。

 ルーウェンだったのである。アリアスが動きを止めて驚きに目を染めていると、兄弟子はちょっと気まずそうな曖昧な微笑みだった。


「素知らぬ振りで通ることも出来たんだけどなー、通ってもいいのかどうか迷って……」

「い、いえ、別にいいんです。気を遣わせてしまってごめんなさい、ルー様」


 あそこでばったり会ったまま話していたのはこちらである。

 兄弟子に聞かれた。でも兄弟子なら良かった。恥ずかしいような気もするけれど、ルーウェンは内容については何も言わないだろうからいい。

 と、一安心していたアリアスはルーウェンの隣にもう一人誰かがいることを目の端に捉えた。ルーウェンが近い方に立ち、同じくらいの身長で声も発していなかったために隠れていたらしい。


「え――」


 今度こそ、驚きで言葉を失った。


「悪い」


 ゼロが、いた。アリアスに見つけられたゼロは壁から背を離し、見える位置に体をずらす。


「言い訳になるが、聞くつもりはなかった」

「邪魔をしてしまうと思ってとっさに隠れたんだ」

「とりあえず、ルー行くぜ」


「――ゼロ様」


 会いたい気はしていたけれど、この会い方は予想していなかったわけで。後ろめたい会話をしていたのではないが、こういう場合が初めてで去ろうとするゼロを呼び止めた。

 すると立ち止まった彼はアリアスの漠然とした懸念とは反対に笑って、「後で」と囁きを残してルーウェンとその場を後にした。


「ねえイレーナ」

「うん」

「ルー様とゼロ様、いつからいたの……?」

「……ちょうど、レオンが告白する直前辺りからだったかしら。わたしがどうすればいいのか緊張したわ」


 つまりは、ここからやり取りは聞こえていたのだ。




 *





「参ったな」


 ルーウェンは心底そう思った。先程、ゼロと城に行こうとしていたらアリアスと騎士団の団員が話している場面に遭遇したのだ。

 通常であれば、自然に通りすぎるなり気を使うのなら迂回するなりすればいいのだが、話しているのはどんな団員かと一応確認したい気持ちもあったので、通りすぎようかと考えていた。普通に誰が通ってもおかしくない道だったので、よからぬ心配は全くしておらず――近づいてみて、飛び込んできた言葉が明らかなもので隣の男を引っ張って隠れてしまった。


「タイミングが悪すぎたよなー……」


 隣にいるゼロが黙っているので、横目で様子を窺うと、何を考えているのか表情では読めない。


「ゼロ」

「……何だ?」

「いや、何を考えているのかちょっと気になっただけだ」


 さっきの今で。すると、黙って何事かを考えていたようなゼロがにわかにこんなことを聞いてくる。


「ルー、お前の騎士団に名前あるか?」

「『レオン』か? ないな。聞くのが嫌だが、そっちはどうなんだ?」

「何で嫌なんだよ。ない」

「命拾いしたなー」

「怖えよ」

「いや、お前が何かするんじゃないかと頭に過って」

「私情で、しかもあれくらいでぶちのめすってどんだけ小さい奴なんだよ」

「じゃあ何で騎士団の確認したんだ?」

「そりゃあ、念のためだろ。何て言うか、新人だろうが一ヶ月も経っていないのに余裕ある奴だから骨のある奴かもしれねえな」

「それだけか?」

「ああ。……いいや、何か色々思ってるには思ってるけどな、整理ついてねえ」


 色々とは何だろうか。とりあえず物騒なことは考えていないらしい。考え過ぎたか。

 まあアリアスもしっかり断っていたなーとルーウェンはなぜか感慨深い気持ちになっていた。








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