22.0話 周囲の目
少女の澄んだ瞳は只一点を捉えて離さない。
極限まで昂められた集中力を遺憾無く発揮し麻痺の残る右手を巧みに操る。
端正な面持ちは極限の集中と相俟あいまち、|何処か鋭利な刃物を彷彿とさせた。その凛々しい姿は只々ただただ、美しい。
研ぎ澄まされた意識により、右手は遂にソレを捕らえた。
「「おお……」」
刹那、思わず声を発した2名は残る6名の鋭い視線に晒され、唇を固く閉じ委縮してしまった。
再度、息を殺し、ただ一点に注がれる16……いや、18の瞳。
その9対の双眸がゆったりと……少しずつ……緩やかに上昇する。
ソレが吸い込まれる瞬間だった。ソレはツルンと滑り、哀れにも穢れた床へ衝突し転々とした。
少女の可憐な面立ちが絶望に塗り替えられ、少女の圧倒的な美貌が崩れる。
その様にある者は憐憫の。ある者は同情の。ある者は哀憫あいびんの眼差しを向けた。
昼休憩。憂は昨日結成されたいつもの・・・・グループを離れ、食事中である。
『私たちも憂ちゃんとお話したい』とクラスメイトに呼ばれた為だ。1人では不安に思ったグループメンバーは千穂を同行させた。
現在、憂と千穂は健太を中心にした男子4名と、有希を中心とした女子3名の計7名に囲まれている状態である。
健太は床に転がったそれを拾い上げると、ふぅと息を吹き掛け、ゴミを払い自身の口に放り込んだ。
「うぅ――うずら――たまご――」
憂は涙を溜め、悲しげな表情を見せるが健太を咎める者は居ない。いや、むしろ称賛されている雰囲気だ。
まさか憂に食べさせる訳にはいかない。捨てるという選択肢も出来ることなら排除したかった。そこで拾い上げ、食すといった行動を取った健太は勇者であり英雄なのである。
憂はうずらの煮卵と3分ほど格闘した。憂の弁当には箸と小さなフォークが付いていたが、彼女はフォークの使用を善しとしなかった。和の食には箸を。小さい頃からの拘こだわりである。
そして、ついにうずら卵を箸で掴む事に成功し、口に入れようとした瞬間、箸が滑りコロリと床に転がったのだった。
「憂ちゃんって、見てて飽きないね! 可愛すぎ!」
クラス委員長の有希が興奮し、口早に捲まくし立てる。
憂には当然、聞き取れない。首を傾げ困った様子を見せる。
「バッカ! お前! ゆっくりだろ!?」
健太が有希に強く言葉を浴びせる。「なによ! 健太……」と遣り取りしている内に千穂は憂に有希の言葉を翻訳する。
憂は千穂の言葉を聞き赤面した。
「憂ちゃんって、癒し系だよね」
そう千穂に向けて話したのは憂への自己紹介時、優子と名乗った少女だ。名前の通り優しそうな穏やかな表情を湛たたえている。
「癒し系……なのかな? そう……かも?」
今までの憂としての言動を振り返りながら返答した為、自然に途切れ途切れになった。憂は千穂の発言を聞き取り抗議する。
「――いやしけい――ちがう」
千穂は首を傾げて憂に問う。
「それじゃ……なに系?」
憂は首を傾げて固まった。口元がぶつぶつ呟くように動き、それに合わせて時々、表情が動く。
憂が固まっている内に3時間目、4時間目の出来事を語っておこう。
憂が眠ってしばらくすると3時間目終業の鐘が鳴った。憂は鐘の音に敏感なようだ。すぐに目を覚まし、ごしごしと目を擦った。
そんな憂を更衣室に連れていき、憂の巾着袋から黒いTシャツを取り出し着替させた。もちろん汗の処理をしてからである。
黒Tシャツの存在は3時間目の前、体操服を取り出す時に確認済だった。さすがはお姉さんと千穂は思った。多くの回数を話した訳では無かったが、しっかり者で過保護なお姉さんだった印象が強い。お姉さんが用意したと思ったのは千穂の直感であり、その直感は見事に的中していた。
憂の着替えが終わり、体育館に戻るとそこには3時間目と打って変わり大勢のクラスメイトが集合していた。6組の生徒も格段に増えていた。
体育館に集まった生徒の理由はそれぞれ違ったようだ。
グラウンドに集まったクラスメイトの数に体育館の惨状を憂うれい、馳せ参じた者。
元々、4時間目には体育館に行く予定だった者。
グラウンドに憂の姿が見られなかった為、体育館へと移動した者。
様々な思惑が絡み、4時間目は3時間目とは逆に、グラウンドが閑散とすると言う事態を引き起こした。
4時間目も憂は大活躍……とは行かなかった。憂は3時間目の2on2、その後のパス練習で既に疲れ果てていた。集中力も緩慢だった。どうやら3時間目に体力、気力共に使い果たしてしまっていたらしい。
3時間目に元中等部バスケ部レギュラー2名を相手に奮闘した少女の面影は一切、無かった。単なる愚鈍な少女がコート内をちょこちょこ動いただけだった。それでもにこにこと楽しそうだったのは生粋のバスケ好きの所以か。
そのお陰で元中等部男子バスケ部レギュラーであり、現役男子バスケ部員のクラスメイト2名も微笑ましく感じ、憂に柔らかい眼差しを向けるだけで済んだのだった。
憂の疲れを感じ取った千穂と千穂の親友のトリオは、まったりピンポンに憂を誘った。
そこではそれなりに活躍した。当初、右手でラケットを握りダメダメだったが、右手の使用を封印し、ラケットを左手に持ち替えると、時折、それなりに鋭いスマッシュを打ち込んだのだ。大半は右足が付いていかずに空振りやら、利き手では無い故にホームランを飛ばしたりしていたが。
そのまったりピンポンでさえも憂は長持ちしなかった。5分ほどでラケットを置き、体育館の隅に座り休憩を始めた。休憩を始めた途端、ウトウトし始めた。千穂は体育教師に事情を説明し、更衣室のベンチで休ませたのだった。
4時間目の結果、裏サイトの【憂たんまとめ♪】内では元バスケ部説が鳴りを潜め、元卓球部説が追加されたのだった。
余談だが転入2日目となり、憂の情報はA棟、B棟、工業系のT棟、商業系のO棟、果ては中等部にまで、憂の噂は飛び火しているようである。
O棟と言う呼び名に違和感を感じる者も居るだろう。商業を示す単語は Commercial であり、元々はC棟と呼ばれていた。しかし私立蓼園学園は進学校の為、普通科C棟建設を機に普通科を優先しアルファベットの2番目を取りO棟と変更されたのである。
さて、C5組に話を戻そう。
憂は千穂の手により、弁当を食べ進めていた。
「はい、あーん」
そう声を掛けると口が開いた。手作りと思しき照り焼きミートボールを口に運ぶと、もぐもぐと咀嚼する。しばらくすると表情がだらしなく蕩とろけた。美味しいらしい。
千穂は昨日、憂の食事が昼休憩ぎりぎりであった事を反省した。憂がぼんやり思考に入ったと判断すると試しに『あーん』をしてみた。すると憂は言われた通りに口を開いた。憂の今までを反芻した結果、有り得ない行動と言えるだろう。恥ずかしがり、或いは怒り、口は開かないと思われる。恐らく意識外の行動だ。本能がそうさせている……のか?
……つまり、憂は未だに停止中であった。
千穂は、ふと視線を降ろすと憂の両膝を閉じる。普段は多少は意識しているのだろう。女の子らしく膝を閉じ行儀よく座っているが、この停止状態に陥ると膝が開き、中の水色が見えそうになってしまうのだった。
これには先ほど気付いたばかりだった。今まで何人も、そのスカートの中身を見たかと思うと小さな怒りが沸いてくる。見てしまった者にではなく無防備な憂にである。
とは言え、この停止状態は間違いなく後遺症から来るものだ。僅かな怒りの矛先は憂から教室を覗く、或いはグラウンドから見詰める他クラスの生徒や上級生に向かう。
千穂と目が合うと、咄嗟とっさに明後日の方角を探し始める少年少女。
千穂は、はぁ……と溜息をついた。
文書の配布以降、騒動は収まったものの、隙があれば鑑賞されるこの状況には、何ら変わりがない。気が休まらないのだ。
憂の顔を心配そうに覗き込む。憂は周囲のこの状況をさほど気にする様子は見せない。憂の表情と感情は直結している。平気そうな顔をしているから平気なんだろうと思う。それにどことなく納得できない自分に嫌悪感を抱いた。
そんな複雑な感情の中、憂と目が合った。
「憂?」
すぐに声を掛けると反応があった。
「――なんだっけ?」
小首を傾げる。傾げる方向はいつもと同じ左側だ。
千穂はがっくりと肩を落とす。取り囲んでいる7名も同様の反応だ。
長い長い長考の結果がこれでは致し方ないだろう。
「もういいよ。はい、あーん」
千穂は小さな海苔巻きおむすびを箸で拾い上げると憂の口元に寄せる。
すると少女の美白がみるみる内に朱に染まった。
「むり――千穂――ダメ――」
そう言って周囲を見回す。憂と目が合い歓声を上げる者。慌てて逸らし、頬を赤らめる者。反応は様々だ。
「周り気にしてるんじゃないの!」
思わず千穂はツッコミを入れる……が少し声が大きかったようだ。震えるまではいかないものの、微かに怯えた表情を見せる。
完全に千穂が悪者の構図が一瞬で完成する。
千穂は憮然とした表情だ。それはそうだろう。
状況を整理してみる事とする。
千穂の何気ない質問により、憂は思考の為、停止状態に陥った。
千穂は時間を気にし、衆人環視の状況にも拘わらず、『あーん』をした。自身も羞恥の中で、純粋に憂を心配した故の行動だ。
長かった憂の思考が終わると、何を考えていたのかを忘れたと憂は言う。
疲れた気持ちをごまかすように『あーん』を続けると恥ずかしいから無理と来た。
それに対してツッコミを入れると、今度は怯え、自分が悪者である。
……多少なりともイラッとするのは当然だ。
「千穂ちゃん、落ち着いて」
委員長が苦笑いを浮かべながら千穂を宥なだめる。
C棟1年5組では下の名前で呼び合う事が、一般的に成りつつある。担任の利子がそうである上に5組最大であり、今やC棟全体の注目グループになった憂を含むグループが下の名前で呼び合い始めた。その影響が大きいようだ。
「まぁ、いいけどさ……」
千穂が何もかも諦めた調子で呟いた。
直後、慌てて立ち上がりポケットからスマホを取り出す。マナーモードにしていたスマホが振動し着信を知らせたのだ。
【愛さん(憂のお姉さん)】
スマホの画面を確認すると「ちょっとごめん」と言い残し、教室の隅に移動した。
なんだろ?
私は憂のお姉さんの容姿を思い浮かべながら、スマホの画面上で指を走らせる。
お姉さん、私を下の名前で呼んでたよね?
「はい。千穂です」
「千穂ちゃん、お久しぶり。いきなりごめんね。昼休憩中……だよね?」
良かった。電話の出方を考えるとか変なの。
「はい。休憩中です。お久しぶりです」
最後に話したのは高等部への進学前。憂の広ーい病室で転入について、話し合った時以来かな?
「憂、昨日『たのしかった』って。ありがとね。千穂ちゃんには特に迷惑かけてると思う」
たしかにちょっと頭にくる時はあるけど……。
あれ……?
なんか憂、落ち着きないよ。そわそわして居心地悪そう。
「いえ。問題ないです。大丈夫ですよ……たぶん」
「あははは! 千穂ちゃんは素直だね! わかるよー。時々イライラするでしょ?」
いらない一言、付け加えちゃったよ。
憂が気になっちゃって……。あ。きょろきょろし始めた。
こうやって離れて観ると周りの反応、すごいなぁ。憂もすごい。たしかにあれは見ちゃうよ。どこの国のお姫様かっ……て感じ。
「千穂ちゃん?」
「あ! ごめんなさい!」
憂の事が本当に気になる。
……ほんのちょっとだけ。それも目の届く場所に離れてるだけなのに。
こっち見た。そんな救いを求めるような顔されても……。
「あ……」
立った。
「ちょっと……憂?」
「憂?」
どこ行くの?
……なーんだ。拓真くんたちと合流かぁ。おべんと忘れてるよ?
「千穂ちゃーん? おーい!! 千穂ちゃーん!!」
「あ! ごめんなさい!」
「それ、2回目よー」
からから笑うお姉さん。なかなか恥ずかしいかも。
それよりも……申し訳ございません……。
「ハラハラするでしょ? ありがとう。気にかけてくれてるんだね。そこで本題! 実は話したい事がありまして……」
…………?
「私と……ですか?」
なんだろう?
「うん。千穂ちゃんと。次の日曜日って空いてる?」
「えっと……どうだったかな? たぶん、大丈夫……」
いきなり言われるとちょっと自信ないです。
「憂を可愛く着飾って連れてくからさ」
あ。見たい。それ見たいですよ?
「……絶対、日曜は空けます」
憂の私服かぁ……。どんなの着せるんだろ? ふりふりの乙女ちっくとか似合うよね。絶対。
「あはは! それじゃ、場所とかメールするね」
「はい! お待ちしてます!」
「憂の事よろしくね。イライラする事もあるけど癒される事もあるから。また日曜ね」
「またです!」
それで通話終了。日曜日が楽しみになっちゃった。
「みんな、ごめんね……。せっかく憂を誘ってくれたのに……」
「憂ちゃん、オレが格好いいからって逃げぐふっ!」
委員長のショートフックが健太くんの脇腹にクリーンヒット。悶絶。相変わらず激しいコミュニケーション……。この2人って付き合ってるのかな? 絶対に否定すると思うけど。
「千穂ちゃんが離れてから落ち着きなくなってね……」
うん。見てた。知ってるよ?
「憂ちゃんを千穂ちゃんたちから離したらダメだって実感したよ」
「いや、あとちょっと時間をくれたらオレにべったり! ……って、ツッコミこねぇのかよ!?」
「でも時々貸してね」
「スルーかよ!」
「あんまり話せなかったけど、今日は満足。憂ちゃんが近くにいてくれただけで幸せだから気にしないでね」
「気にすんな!」
「ほら、早くお弁当、持っていってあげて」
………。
「……うん」
すっごい連携で割り込む余地なし。
憂の食べかけのおべんとや水筒を抱えて、自分の席に向かう。
「千穂ちゃんもありがとね」
首だけで振り返ると優子ちゃんが手を振ってくれてた。優子ちゃんだけじゃなくて女子全員と健太くんも。あとの男子3人は照れ臭いのかな? 手は振ってないけど笑顔で見送ってくれた。
私は両手塞がりだったから笑顔を返した。
「千穂ー! お疲れー!」
千穂は箸にフォーク、蓋や巾着に水筒といった弁当セットを抱えて自身の席に戻る。愉快な仲間たちは口々に千穂を労ねぎらった。
「なんかマジで疲れてね?」
勇太が気遣わしげに問いかけると千穂は曖昧な表情を浮かべつつ「ちょっとね……」と濁した。
弁当を憂の前にセットし、箸を右手に握らせる。
憂と目が合うと同時に問いかけた。
「人の目……平気じゃないん……じゃない」
千穂は言ってから後悔した。なんと小難しい物言いをした事かと。
後悔先に立たず。憂がまたも停止した。
本日何度目かの溜息を付くと、フォークを手に取る。難しい顔でスパゲティナポリタンを巻いていたが、くいと顔を上げると親友2人に言った。
「この状態だと『あーん』で口を開けてくれるんだよ。試してみる?」
「したいしたい! やらせて!」
「向こうでもやってたよね」
有希と健太にお呼ばれしていた際、このグループに背中を向ける形で座っていた千穂と憂だったが、あの恥ずかしいシーンを見られていたようだ。千穂の頬に朱が差す。
佳穂はフォークを受け取りながら声のトーンを下げる。
「そんな恥ずかしい事じゃないでしょ。恥ずかしいって事は……そうなんだ。あんたも複雑だね……」
指摘を受け、千穂は真剣な表情で悩み始めた。
「憂ちゃん、あーん……」
従順な憂の口にスパゲティを入れるとパクリと口を閉じる。フォークを引き抜くと1本だけぶら下がったスパゲティがちゅるんと吸い込まれ、むぐむぐと噛み始める。
「やーん! かわいー! 親鳥の気分ー!」
「もう。佳穂の下手っぴ」
千晶はウエットティッシュを1枚取り出すと憂の口元をそっと拭った。
「貸して」
強引にフォークを奪い取ると佳穂は不満げに言った。
「そんな事言って、『あーん』したいだけでしょー」
「当たり前でしょー? それより佳穂に任せてたらウェット何枚あっても足りないよ」
スパゲティを食べた後、拭いても拭いてもソースが拭き取れるのは何故だろうか? 千晶はそれを指摘している。
憂の喉がこくりと動く。
「はい、あーん」
開いた小さな口に小さなおむすびを運び入れる。もぐもぐと咀嚼を始める。
「ん。うん。やばいねこれ。癖になりそう」
「でしょ!? はい、次、あたしね!」
2回目の佳穂の出番は無かった。虚空を見詰めて考えていたはずの憂とばったり目が合った。ごくんと口の中身を呑み込んで言った。
「へいき――みんな――いれば――」
はにかみ小さく微笑む。
「守ってあげたい……」
「佳穂?」
「その笑顔!」
声と同時に憂の両肩に両手を伸ばす!
スパーン!
魔の手は憂に届かなかった。憂の隣で並んで停止していた千穂が復活を果たし、手首のスナップを効かせ、右手で佳穂の頭を振り抜いたのだった。
「いったぁ……」
叩かれた箇所を抑え、涙目の佳穂。
千晶は口元を引き攣かせながら呟く。
「今日の千穂、激しいね……」
「ごめん! つい!」
無意識で放った一撃だったのだろう。千穂は慌てた様子を見せている。
「そんな目一杯叩いてずれたら・・・・どうすんのよ!」
……幾分、余裕がありそうで何よりである。
「すげー音したぞ」
拓真が驚いた表情に淡々とした言葉と言うアンバランスさで目の前の惨劇を語る。
一方の梢枝&男子組は今後の相談をしていた。憂に関する事では無く、梢枝&康平の年長者組のである。
「あぁ……半端ねーな。千穂ちゃん……」
「あれは彼女らなりのコミュニケーションでっしゃろ?」
どうやら相談は終わって次の話題に移ってしまっているらしい。
憂が別のグループに呼ばれ、千穂と共に席を外すと康平は残ったメンバーに泣き付いた。
先輩、年長者としてではなく同級生として接して欲しいと。
佳穂と千晶はすぐに了承したが、拓真と勇太はなかなか首を縦に振らなかった。元運動部。体育会系の血が許さなかったのか、単純に康平をいじりたかっただけか。
勇太はおそらく後者である。拓真は掴めない。
彼ら2人はのらりくらりと康平の懇願を躱かわし、先ほどようやくOKしたのだった。
梢枝の場合は「どう呼んでもどう話しても問題ありません」という事だった。
「康平……さん。それはわかって……ますって」
勇太の言葉に天を仰ぐ。
「あぁ……なんでワイ、いじめられてんのやろ……?」
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