少年は歓喜する
応募者が遂に現れた。正直こんなにうまくことが運ぶとは思わなかった。
僕らしくもなく、はしゃいじゃう。
ヤッホー!!
僕の打ったメール広告ではなく、姉の作ったチラシを見ての応募というのが少し気に掛かるが、とりあえずはいいだろう。
電話で話した印象では、あまり頭の良さそうな人ではなかったけれど、それでも候補者が出たのは喜ばしいことだ。
胸を撫で下ろした僕はミカさんに連絡を入れた。
問題は本当に来てくれるか、ということだが、こればかりは待つしかない。
場所だけ教えて、好きなときに来てもらう、というのはうち独自のルールである。
幸運堂では人物や性格以上に、言葉には出来ない波長というものを大切にしている。
『ご縁』という言葉にするのが一番しっくりくるか。
来てくれた時に、もし僕が外出していたりしたら、それは縁が無かったということなのである。
約束もしていないのに、出会える人こそが幸運堂と長く付き合っていけるご縁のある方、となるのだ。
何故こんな回りくどい方法を取っているのかは、もう祖父も父も他界しているのでわからない。伝統というしかないだろう。
まあ、そうは言っても悠長に待ってもいられないので、今回は明日来て欲しいという事を暗に示してしまった。
いいんだ。今回は姉もいないし、是が非でも犬皇界に僕は行きたくないのだから。
久しぶりの登録者が来るかもしれないので今後の流れを再確認する。
明日、来てもらったら、異世界に対応できる人材かどうかを見極める適性検査を受けてもらう。合格ならば晴れて異世界行きが認められる。中には異世界アレルギーなんて人もいるので、そういうった人を除外するのが目的だ。
適性検査に関しては、こればかりはどうなるかは分からないが、考えたって仕方が無いし、サイコロは振らなきゃ目も出ないだろ。
電話で話した感じはなんか頭悪そうな学生っぽかったから少し心配ではあるけれど、候補者が出たということだけで今日は満足だ。
よーし、今日は奮発してラーメンでも食べに行こうっと。
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