読んだ後、もう一度タイトルに戻ってみてください。不思議な展開にあれよあれよと引き込まれ、読後ははっと気づくことがある。繊細な文章はもちろんのこと、とてもよく練られ作り込まれた作品です。
オチが分かっているのに、何故か定期的に読み返してしまう、不思議な魅力のある作品。 きっとオルランドのような人に会ったなら、話したなら、私たちはジェレマイアのように彼に好奇心を持つでしょう。 そうしたら不思議な世界に呑まれてしまうのはあっという間です。 この「誰もが持つ当たり前の感覚」故にうっかり非日常に足を踏み入れてしまった感じがたまりません。 ライトな文体のWeb小説が多い中、スタンダードな文体で丁寧に書かれているので、文章の雰囲気を重視する純文学の好きな方におすすめ。
謎の多いアコーディオン弾き。演奏中はあれほど滑らかな指使いを見せるのに、楽器をしまうと、途端にどうだ。どこかぎこちなく、何か不自然だ。少し古風なところのある語り口に引き込まれ、読み進めてついに辿り着く結末に、ざわざわと寒気がする。オルゴールを自鳴琴と書くだけで、何か趣きが違っていて、そういう言葉が大事にされている作風が、すごく好き。
古典的ホラーを読んでいるような、そんなひたひたとした恐怖が擦り寄ってくる一遍だった