これが俺の生きる道
「ねぇこんなことで学校辞めたりしないでよね!」
いくら責任感の強いわたしでも、そこまで他の人の人生を背負い込みたくはない。だってわたしだって、普通の迷える女子高生なんだもの。
「判ってるって。苦労してようやく偏差値の高い進学校に入ったってのに、そんなに簡単に辞めたりは・・・あ!そういえば辞めたで思い出したんだけどさ、さっきの絵を描いてる奴の話・・・」
唐突に彼が素っ頓狂な声を上げる。
「それがどうかした?」
わたしはその話しの先が気になった。
「先月の事なんだけど、隣のクラスで急に予備校を辞めたちゃった奴がいるんだよ。そいつと同じ組の友だちがライバルが一人減って助かったって喜んでたんだけどさ。俺は、受験生にとって一番大切な夏休みのこの時期に、なんだって突然やめちゃったりしたんだろうなって不思議に思ったもんで尋ねたんだ。」
「そういえばそうよね。そうしたら?」
「友だちはどうでもいいみたいな感じだったんだけど、その時、学校の部活動でも忙しいんじゃないのかって言ってたんだ。」
「まさかそれが!?」
わたしはピンと来て血色ばむ。
「そう、確かその部活が美術部だったんだよ。まぁそいつが栞ちゃんの幼馴染みと顔見知りかどうかまでは判らないけどね。」
「うんうん。でも思い出してくれてどうもありがとう。スゴく助かるわ!」
一つ一つのピースでも少しずつ拾い集めていかなくちゃいけない。テレビの刑事ドラマと違って、事件捜査って案外地味で大変な作業だわ。お父さんを少し見直した。
「どう致しまして。少しでも幼馴染みの子を見つけるのに役に立つといいね。片桐さんだっけ?俺の方でも、周りの奴に声を掛けて、もっと情報を集めてみるよ。」
ひょんな事からとても心強い味方が出来た。
しばらく、彼と取り留めもない話をした後、彼の友だちからその辞めた男の子の連絡先を手に入れてもらう約束をして、その場で別れた。
そして、わたし栞は、イケメンの泉くんのスマホの電番とメールアドレスをゲットした!グッジョブわたし!
ゴーストタウン 赤松 帝 @TO-Y
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