これが俺の生きる道

「なんかゴメンね。」

近くの公園で、わたしは泉くんに奢りのつもりの自販機で買ったばかりの缶コーラを手渡して謝罪した。


「お、サンキュ。何が?」

泉くんはニヤリとしながら缶を受け取ると、プシュッ!と心地よい音を立ててプルタブを押し下げた。


「わたしの所為で休憩室追い出されちゃったから悪くって。」

柄にもなく本気で反省していた。


「気にするなって。栞ちゃんのおかげで何だかこれからの進む道が見えた気がしたよ、俺。」

グビグビといかにも美味しそうな音を立てて、泉くんは炭酸水を喉の奥へ流し込んだ。彼の言葉に偽りは無いようだ。なんだか彼ったら、ここ数十分の間で、ワイルドに男っぽくなったみたいで、ちょっとカッコイイ。橘さんから、栞ちゃんに昇格したわたしは、密かにときめいていた。

でも、さっきわたしが彼に進む道を示したというのであれば、彼の今後の進路は、相当破天荒な道を進むのではないかしら。もしそうだとするなら、わたしはもっと大いに反省しなければならなかった。あーしまった。

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