来訪者

「ピンポーン!」


家のドアのチャイム音が鳴る。

“あれ?お母さんいないのかな?うーん面倒臭いな。眠いからまあいいか。このまま放っとけば諦めて行っちゃうだろう。”


「ピンポーン!」


“うるさいなぁ。今何時だよぅ。怖いのを見ちゃったせいで、ずっと寝つけなくてついさっき眠ったところなのに。”


ぼくは眠い目をこじ開けると、ボヤけた視界で枕元の目覚まし時計を手に取った。

4時を回ったところを短針がさしている。

“えーもう夕方?そんなに寝ちゃってたのか?ヤっバいなあ。ご飯も食べずにお母さん怒ってただろうな。”


ぼくはまだ眠い目を擦り擦りしながら、締め切りのカーテンを開けた。

窓の外はまだ真っ暗だった。


“え?そんなバカな?さっきのチャイム音は何だったんだ?……もしかして夢の中の音だったのかな?うん、多分そうだ。安心してゆっくり寝よう。”

ぼくは再び寝床に入って目を瞑ることにした。




「ピンポーン!」


今度はさっきよりもハッキリ音が聞こえた。


“もう騙されないからな。今度は目を開けなくてもこれは夢だってちゃんと解ってる。まだ表は闇夜なんだろ。」


そして、ぼくはまだ自分が眠りの中にいることを意識下で理解していた。そのまま目を開けることなく、深い眠りの底へと落ちていく。


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