無色

無感情

『お前のせいであいつは死んだんだ!お前があいつに関わってなかったらあいつは死ななかった!死んでしまえ!人殺し!』

大人の男性が小さな子供に向かってそのようなことを言っている。

(あぁ……これは夢か……)

そう……これは夢、男……桐山虚きりやまうつろが何回も、何十回も見た夢。怒られてる男の子は……過去の自分……

(そろそろ……かな)

何回も見てるせいで虚はどこで夢が終わるのかをわかっていた。

そこでどこか遠くから目覚ましの音が聞こえてくる。


また……色のない世界が戻ってくる


「ん……眩し……」

目を開けて目覚ましを止めると朝の5時だった。昨夜虚が寝た時間は夜の2時……つまり3時間しか寝ていない。

少ないと思うだろうが虚ろにとっては普通だった。

人と関わることを最低限に抑え、学校の長期休暇の間は早朝から深夜までほぼ1日バイトに費やしているからだ。

虚ろがぼーっとしていると携帯に電話がかかってきた。番号を見てみるとバイト先からだった

「……おはようございます」

「おはようございます、青井です。虚くん、早朝から申し訳ないんだけどいつもより少し早く来てもらうことってできる?」

「いいですけど……どうしました?」

「いや、宅配便頼まれたお客様がいて時間がかかりそうだから今お客様いないからいいけど、他にお客様来たら困るからできればお願いしたいんだよね」

「わかりました……10分ぐらいで着くと思います」

「ありがとうね、お疲れ様です」

「はい、お疲れ様です」

虚は電話を切ると同時に準備を始めた。準備にそこまで時間はかからず、落ち着くためにカッターを指先に当て、そして落ち着いてからいつも通り鎮痛剤を飲んで急いで家を出た

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