Episode VII-2

 ――シャワーを浴び、全ての汚れと疲れを洗い流していた。

 キュアリスは今日一日暇を貰った。セリカーディが今日はゆっくりしなさいと言ってくれたのだ。

 あの決闘から帰った後、すぐに寝てしまってもう二十時を回っていた。メイド仲間たちが用意してくれたサンドイッチを頬張り、コーヒーを飲んでから今浴室にいる。

 ボディソープで特に陰部を念入りに洗った。これからセルクスと一夜を共にするのだから、匂ってしまうと恥ずかしい。胸の下、腋の下、頭皮、お尻などなど、気になるところは何度も何度もシャワーを流した。

「これから、私の初めてをあげちゃうんだ」

 それはもう出世の道を、花嫁修業の道を諦めることと同じだ。今はそこまで厳格でもなく、破血の印は動物の血を代わりにするとも聞いたが、それでも女の子にとって初めては大事な大事な物だ。

 身体を拭いた後、一番のお気に入りの青の落ち着いた、フロントホックブラの花柄の下着を付けた。屋敷の中なのでメイド服に着替え、部屋を出る。

 誰にも会うこと無く、裏庭に出ることが出来た。空にはもう三日月が出ていた。星々がまるで宝石のように輝いていた。その視線を別館にやると、窓からセルクスが手を振っていた。それに応え、小走りでそこに入った。

 階段を登り、部屋の前に着いた。ノックの手が震えてしまった。決闘のときのことを思い出し、覚悟を決めた。

「どうぞ、入って」

 ゆっくり開けると、月夜の明かりに照らされたセルクスのメイド服の姿があった。部屋の電気は消されていた。

 急に飛び込んできて唇を奪われた。

 熱く舌が絡み合う。

 唇を離して、おでこを付けあった。

「キュアリス、待ってた」

「セルクス。わたし、初めてだから、そのあの」

 目を伏せてしまうと、頬にそっと触れられた。

「大丈夫。私に任せて」

 腕が背中にまわり、メイド服が脱がされた。

 セルクスは自分も、と促した。キュアリスは同じように服を脱がした。

「可愛いわ、キュアリス」

 セルクスの頬が赤らんだ。

「あなただって、その下着可愛い」

 ピンク色にフリルでアクセントされた下着で、セルクスの大きな胸をふかふかに演出していた。細いヒップもバランスよく飾られていた。

「キュアリス、ベッドに行きましょう」

「うん」

 キュアリスがゆっくり横になると、セルクスは軽く口づけをすると、下へ下へ唇が移っていく。

「ちゅっ、ちゅっ……」

「あうっ、うっ」

「あら、私まだ何もしてないわよ」

「だって、感じるんだもの」

 そのキスでブラのホックが簡単に外された。

 セルクスがその乳房をなで上げると、キュアリスの背は反り上がった。

「あう⁉ 何⁉ これ」

「感じやすいのね」

「ちが、いつも、こんなんじゃ……ひぅ⁉」

 電気が走るとはまさにこのことなのか。頭がピカッと光っては消え、ピカッと光っては残像が残る。今までこんな感覚を味わったことがない。

 目を開けて自分の胸を見ると、もう陥没乳首から乳首が上向きにそそり勃っていた。顔が熱くなり、手で覆ってしまう。

「やぁ……」

「キュアリスの乳首、ちゅぅ」

「っあ⁉」

 声にならない声が出てしまった。これ以上されたら一体どうなってしまうのか。怖くなってきた。

「震えてるのね。大丈夫だから。私はずっと傍にいるから」

「本当、お願い。手をつないでいて」

「もちろん」

 キュアリスの左とセルクスの右の指が絡み合う。もう一方のセルクスの手が小さな丘に侵入した。

 ぐちゅ……。

 音が耳に嫌でも聞こえてくる。一人でする時、こんなに濡れたことなんて一度もない。

 セルクスがくすっと笑った。

「一度、イク?」

「ううん。もう来て。おかしくなるなら、あなたので……。でも本当にあなたに、男の人のあるの?」

「ええ。クリトリスが変化するのよ」

 すると、セルクスのパンツがみるみる盛り上がり、医学書で見たことがあるモノが生えてきた。暗くてよく形は分からないけれど、逞しく太かった。

「嘘……。図鑑で見たのより大きい」

「挿れるわよ」

「うん」

 セルクスは下着を全て脱ぎ去り、アレをキュアリスの蜜あふれる丘に当てがった。そのまま腰を落としていくと、ブチュブチュと卑猥な音を立てながら入っていった。

「根本まで入ったわ。痛くない?」

「ちょっとだけ……。でも、あなたを失うかもと思ったときに比べたら何でもない」

「動くわよ」

「うん。……んん!」

 ――その後は夢の中にいるようで、何が起こったのか全く覚えていない。ただ、ただ、セルクスがずっと私を愛してくれた証は、アソコから溢れる熱い液体で身体の芯まで実感できた。

 朝。

 キュアリスが起き上がると、セルクスがコーヒーを持って迎えてくれた。

「おはよう、キュアリス」

「おは……よう」

 渡されたコーヒーを飲むと、ちょっと苦かった。

「あ、ダメだった? ごめんなさい、私味覚はあまり」

「ううん、いいよ。目が覚めたから」

 微笑むと、もう一度飲んだ。

「キュアリス、これであなたは正式な私のマスターになったわ」

「うん」

「これからは、生理が来るたびに必ず最低一回はエッチしてね」

「え?」

「子宮内膜が生理で新しくなっちゃうと、繋がりが弱くなってしまうの。いわゆる契約更新ね」

「なっ……」顔が赤くなったがすぐにコーヒーに口をつけた「まあ、いいけど。気持ちよかったし」

「あんなに感じてくれたの、あなたが初めてよ」

「わ、私は、全部初めてなんだから!」

「うん。嬉しい」

 そして、自然と二人は唇を重ね、お互いのコーヒーの味を確かめあった。

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