第三幕


 第三幕



 頬を腫らした阿杏さんと僕達が夜市で邂逅したのは、週も半ばの水曜日。そしてその翌日の木曜日と翌々日の金曜日の二日間に渡って、彼女は学校には来なかった。いや、正確に言えば彼女は教室には姿を現さなかっただけで、放課後の女子サッカー部の練習には顔を出していたらしい。つまりそれだけ、僕や宮路さんとは顔を合わせたくなかったと言う事なのだろう。

 そうして迎えた今日は、土曜日。2002年に改定された学校教育法施行規則により、僕が通う国立南天大学付属高等学校もまた、他の公立高校と同様に完全週休二日制となっていた。つまり今日は、休日だ。

 しかし楽しい筈の休日にもかかわらず、窓の外を見遣ればこのフォルモサでは常に雨が降り続いており、一向に晴れる気配は無い。そして物理的な面だけではなく精神的な面でもまた、阿杏さんの事が気掛かりな僕の心は一向に晴れず、休日を謳歌するような娯楽に興じる気にもなれなかった。

「ふう」

 仕方が無いので引っ越しの際にダンボール箱に詰めたままだった荷物を整理して時間を潰し、その整理も一段落したので、僕はベッドに腰掛けて一息付いた。そしてペットボトルに入った無糖の緑茶で喉を潤し、ふと時計を確認すれば、時刻は既に夜の八時。起床したのが昼の十時過ぎで、その時にコンビニで買っておいた菓子パンで朝食兼昼食を済ませたが、それから今の今まで固形物は何も口にしていない事になる。そのため気付けば、随分と腹が減っていた。ちなみに父さんは完全に昼夜が逆転した生活を送っているので、どうやら夕方の五時頃に起床したらしい。

「もうこんな時間か。早く晩飯にしないとな」

 そう独り言ちると、僕はパーカーを羽織り、財布をジーンズの尻ポケットに納める。スマートフォンも持って出ようとしたが、電源を入れて確認するとバッテリーの残量が一桁しか残っていなかったので、充電器に突っ込んだまま置いて行く事にした。ちょっと近所まで外出して晩飯を食べて来るだけなので、持って出なくても特に問題無いだろう。このスマートフォンも随分と型遅れでバッテリーが消耗しているので、そろそろ買い替え時と言う事か。

 そして外出の準備を終えた僕はダンボール箱が積まれた廊下を経由して、父さんの仕事部屋の前に立つ。

「父さん、これから僕は、外にご飯を食べに行くからね」

「ああ、行っておいで。ついでに父さんの分の晩ご飯も、買って来てくれるか?」

「うん、分かった。何か、食べたい物はある?」

「いや、お前に任せる。適当に買って来てくれ」

 ドア越しの会話を滞り無く済ませると、僕は玄関から戸外へとその身を躍らせた。このフォルモサは亜熱帯の気候に分類されるが、それでも今は冬なので、陽が落ちればそれなりに寒い。それでも内地に比べれば遥かに暖かいので、僕はシャツの上からパーカーを羽織っただけの軽装で夜道を歩く。そして南天地区の住宅街を五分も歩けば、大通り沿いの夜市へと辿り着いた。

「さてと、今夜は何を食べようかな?」

 夜市に立ち並ぶ数多の露店を順繰りに値踏みしながら、僕は今夜の晩餐を決めかねる。何故決めかねているのかと言えば、当然ながら、僕には露天の看板に書かれたメニューが読めないからだ。こんな時に北京語が読める宮路さんがいてくれれば心強いのだが、さすがにこのためだけに彼女を呼ぶのは心苦しいし、あまりにも無礼過ぎる。ちなみに昨日と一昨日の二日間もまた彼女と共に夜市で夕食を摂ったのだが、阿杏さんの件で僕が苛立っていたせいか、僕達の間に必要以上の会話は無かった。少し彼女には悪い事をしたなと、今更ながらに思う。

「牛肉麺か……」

 一軒の露店の前で、僕は足を止めた。掲げられた看板には、大きく『牛肉麺』と書かれている。牛肉と、麺。この二種類の組み合わせならば、外れは無いに違い無い。少なくとも訳の分からないゲテモノ料理を供されて困ると言う事は、まず有り得ないだろう。

歡迎光臨ファンイングアンリン!」

 店内に足を踏み入れると、厨房に立つ中年女性が大声で歓迎してくれた。どうやらなかなかに、愛想の良い店らしい。

「ええと、『ぎゅうにくめん』を一つください」

牛肉麺ニュウロウミェンを一つね。紅焼ホンシャオ? 清燉チンドン?」

「え? ええと……」

「辛いの? 辛くないの?」

「あ、辛くない方でお願いします」

 少し手間取ったが、それでも恙なく注文と会計を終えた僕は、清燉牛肉麺と呼ばれる料理が盛られた丼を持ってカウンター席に腰を下ろす。その料理は、やはり字面から予想した通り、牛肉が盛られた麺料理だった。しかもゴロゴロと大きな牛のスジ肉の塊が六つも盛られており、麺も大盛りで、かなりの食いでがありそうに見える。それに薬味として散らされた小口切りの葱の鮮やかな緑色もまた、料理に彩を添えていた。

「いただきます」

 小声で呟いてから、まずはレンゲですくったスープを一口飲み下す。僕が注文したのは清燉と呼ばれる辛くない方の牛肉麺なので、澄んだ色のスープはあっさりとした優しい味だった。おそらくはスープも牛骨で出汁を取っており、僅かにその臭みが残っているのと調味料の八角の匂いが内地育ちの僕には気になったが、それらを差し引いても旨味が凝縮されたこのスープはかなり美味い。

 スープに続いて、次は麺を啜る。内地のうどんほどではないがやや太めのストレート麺で、鹸水が使われていないせいか綺麗な白色の麺はもちもちとしていてスープが良く絡み、啜れば啜るほど箸を持つ手が止まらない。

 最後に手を付けたのが、麺の上にゴロゴロと盛られた六つの牛のスジ肉の塊。それらは一見するとスジが硬そうだが、箸で摘んで持ち上げただけで、トロトロの柔らかさになるまでじっくりと煮込まれているのがよく分かる。そして口に入れれば、やはり歯を使わずとも唇だけで噛み切れるほど柔らかく、舌の上でホロホロと崩れて行った。蕩ける肉の食感と濃厚な牛肉の旨味が舌の上に広がる心地良さが、たまらなく美味い。

 また周囲の他の客の食べ方を観察すれば、皆が皆、テーブルの上に置かれた小瓶に入った漬物の様な野菜の細切れを麺にトッピングして食べている。そこで僕も真似して漬物と一緒に麺とスープを啜ると、漬物のほのかな酸味が牛骨の出汁と混ざって、味に奥行きが増した。

 結論をまとめると、この清燉牛肉麺は内地のラーメンや肉うどんともまた違う絶品の味で、実に奥の深い旨味に満ちており、僕は感嘆の溜息を漏らす。胃袋にもう一杯食べるだけの容量が残されていれば紅焼と呼ばれる辛い方の味も試してみたいところだが、清燉牛肉麺一杯だけでも結構な量が盛られていたので、紅焼は次回のお楽しみとして今は我慢する事にした。

「ごちそうさま」

 僕は食事の終了を告げながら立ち上がり、店を後にする。立ち去る途中で厨房に立つ中年女性と眼が合うと、彼女がニコリと微笑みかけて来てくれたので、僕も微笑み返した。すると女性は再び大声で、僕を送り出してくれる。

歡迎再來ファンインザイライ!」

 残念ながら言葉の意味は分からなかったが、多分、また来てくださいとかそう言う意味の北京語だろう。やはりこの店は、とても愛想が良いようだ。

「げっぷ。さて、今は何時かな?」

 露店から夜市の通りへと一歩を踏み出したところで、僕は膨らんだ腹を擦りながら小さなゲップを漏らした。そして時間を確認しようとポケットに手を突っ込んだところで、今はスマートフォンを持っていない事に気付く。

「ああ、そうか。持って来てないんだった。……まあ、父さんの晩飯は、もう少しくらい遅くなっても大丈夫だろう」

 誰に言うでもなく独り言ちると、僕は夜市を歩き出した。せっかくの休日だし、何か甘い物でも買って食べながら、立ち並ぶ露店の数々を冷やかして回ろうかと思う。すると偶然、火曜日の夜に宮路さんと共に立ち寄った珍珠奶茶の露店が眼の前に姿を現したので、僕は迷わずに店内へと足を踏み入れた。北京語が読める宮路さんが同伴していない今、新たな露店で見知らぬデザートを一から新規開拓する勇気が無かった僕は、既知のメニューで満足すると言う安牌を選んでお茶を濁す。

「Mサイズの氷無し、砂糖は50%で」

 注文と会計を終え、商品を受け取った。珍珠奶茶。タピオカ入りの、甘いミルクティー。プラスチック製のカップに注がれたそれを太いストローを使って飲みながら、僕は夜市を見て回る。

 観光客の需要を見込んだ土産物屋や雑多な日用品を売る店が立ち並び、今夜も夜市は盛況だ。そして良く見れば、Tシャツだけを売る店、帽子だけを売る店、靴だけを売る店など、小さな専門店が特に眼に付く。また夜市の外れの方へと足を伸ばせば、明らかに違法としか思えない海賊版DVDや偽ブランド商品を売る店なども散見され、そう言った店の周囲は若干治安が悪かった。こう言った露店の勢力図や治安の良し悪しは東京上野のアメ横にも似ていて、おそらくは万国共通なのだろう。

 牛肉麺で温まった身体に、珍珠奶茶の甘味と冬のフォルモサを吹く風の冷たさが心地良い。

「そろそろ帰るか」

 欧米からの観光客が喜びそうな変な漢文がプリントされたTシャツばかりを売っている店から退出した僕は、ボソリと呟いた。そして父さんの分の持ち帰りの晩飯を物色するために、夜市の中でも飲食店が密集する中心部の方角へと足を向ける。手に持った珍珠奶茶のカップには、未だ半分ほども中身が残っていた。やはりこの店のカップは、一人前にしては大き過ぎる。

 その時、僕は気付いた。見知ったジャージ姿の少女が、夜市の中でも端に位置する治安の悪いエリアから、更に治安の悪い貧民街の方角へと歩み去りつつつある事に。

「阿杏さん?」

 僕は、歩み去る彼女の背中を追った。夜市を抜けて裏路地を走り、壁一面にエアコンの室外機が設置された雑居ビルの裏を通過して、やがて生活用水が垂れ流しになったドブ川へと至る。そのドブ川に掛かる老朽化した橋を越えると、もう既に、ここは南天地区の貧民外だ。そして街灯が減った薄暗い路地のそこかしこにはボロを纏った浮浪者がうずくまり、もしくは酔っ払ったまま路上で寝こけていて、得も言われぬ生臭い臭気を発する。観光客で賑わう繁華街から川を一本越えただけでこんなにも街の様相が変わるのかと、僕は驚きを隠せない。

 そしてそんな貧民街を、僕は何度も見失いそうになりながらも阿杏さんを追跡する。途中で彼女の名前を大声で叫び、阿杏さんを呼び止めようかとも考えたが、敢えてそうはしなかった。と言うのも、それは彼女が果たしてどこに向かっているのかを確認したいと言う知的好奇心が僕の中に目覚めたために、全てを最後まで見届ける事を選択したからに他ならない。また同時に、この貧民外で不用意に大声を出す事によって、どんな予期せぬ危険を呼び寄せるか想像も付かないと言う理由も考えられた。とにかく、今はただ静かに彼女の背中を追う。

 やがて阿杏さんは、貧民街の中ほどに建つアパートの二階の一室に消えた。そのアパートは既に電気が通っていない廃屋らしく、全ての部屋の窓は真っ暗で、廊下の非常灯からも灯が消えている。僕はボロボロに錆びて今にも崩れ落ちそうな鉄製の階段を恐る恐る上ると、阿杏さんが姿を消した部屋のドアをノックした。静まり返ったアパートの廊下に、ノックの音が響き渡る。

シェイ?」

 部屋の中から、恐怖で少し怯えたような驚きの声が聞こえて来た。そこで僕は彼女を刺激しないように、そっとドアを開けながら答える。

「大丈夫だよ、阿杏さん。僕だよ、同じクラスの霧島だよ」

 足を踏み入れたそこは、二畳ほどのキッチンと六畳ほどのリビングしか無い、本当に狭いアパートの一室だった。そしてその狭いリビングの奥で、窓から差し込む街灯の明かりに照らされながら、阿杏さんが壁を背にして蹲っている。

「霧島……? ああ、キミか。この前、美恵と一緒にあたしを追いかけて来た同級生か」

「酷いな。もう僕の名前と顔くらい、覚えていてくれてると思ってたのに」

 僕はがっかりして、肩を落とした。僕は彼女の事をこんなにも心配していると言うのに、彼女にとっての僕は、宮路さんの隣にいた同級生の一人に過ぎないらしい。しかも彼女は僕になど興味が無いとでも言いたげに、ぷいと顔を背ける。心配して追いかけて来た僕が、まるで馬鹿みたいだ。

 それにしても、この部屋の空気は埃っぽくてカビ臭く、雨漏りのせいでやけにじめじめと湿っている。長時間こんな所に留まっていたら、何か悪い病気になりそうだ。

「阿杏さん、こんな夜中にこんな所で、一体何をしているの? 早く帰らないと、家の人が心配するよ?」

 僕はそう言いながら阿杏さんの真正面に座ると、膝を抱えて蹲った彼女と目線を合わせた。そして目線を合わせた事によって、街灯の明かりにボンヤリと照らし出された阿杏さんの頬に、新たな擦り傷が刻まれている事に気付く。

「阿杏さん、その傷は……」

「見ないで! キミには関係無いんだから、さっさと出て行って、あたしの事はそっとしておいてよ!」

 語気を荒げる彼女に対して、僕は何故か、ムッと幼稚な怒りを覚えた。そしてその怒りに任せたまま、僕も言い返す。

「関係無いなんて事があるもんか! 女の子がそんな傷を負っている姿を何度も見せられて、同じ学校の同級生として黙っていられる訳が無いじゃないか! それにキミは、烟鬼に襲われていた僕の事を助けてくれたのを忘れたのか? キミは僕の恩人なんだから、今度は僕が君を助ける番だ!」

「うるさい! うるさい! うるさい! 助けるって言ったって、あんたに何が出来るって言うの!」

 ますます語気を荒げる阿杏さんの言葉に、僕は反論出来ない。確かに一介の男子高校生でしかない僕がいくら頑張ったところで、彼女を助ける手立てにはならないだろう。それは、動かし難い事実だ。しかしそれでも、阿杏さんと秘密を共有し合う事によって、彼女の心の支えにくらいはなれる筈だと僕は信じたい。

「阿杏さん、確かに僕は、何も出来ないのかもしれない。だけどそれでも、教えて欲しいんだ。キミが一体どんな悩みを抱えているのか、どんな傷を負っているのか、どんな助けを求めているのか、それを教えて欲しい。そうすれば、たとえ僕が無力でも、きっと一人で悩み続けているよりもずっとキミの心が楽になると思うんだ」

 僕は、子供に諭すような口調でもってそう言った。きっとそれは、阿杏さんに向かって諭すのと同時に、父さんとの関係がギクシャクしたままの僕自身に対しても諭していたのだと思う。

「……なんでそこまでして、キミはあたしなんかを助けようとするの? あたしみたいなサッカー馬鹿なんかを助けたって、なんの得にもならないのに」

 阿杏さんが、自分を卑下しながら問うた。その問いに対して、僕は少し考えてから、肩をすくめて溜息交じりに答える。

「どうしてかな。キミを助ける理由は、自分でも良く分からないや。どうしてだか分からないけれど、烟鬼に襲われていたところを助けてもらった件を差し引いたとしても、キミを助けなくちゃならないような気がするんだ。思うに、きっと僕は、どうしようもないお人好しの馬鹿なんだと思う」

 そう言って、僕は少し笑った。それは自分の無力さと愚かさに対する、自嘲の笑みだったような気もする。しかしその笑みが、結果として阿杏さんの固く閉ざされた心を開いてくれたらしい。

「この傷はね、お父さんに殴られたの。……ううん、この傷だけじゃない。三日前に顔を腫らしていたのもお父さんに引っ叩かれたからだし、背中に残っている傷も、お父さんが投げた椅子の角がぶつかったせいで出来たの」

 訥々と語り始める阿杏さん。ある程度は予想していた事だが、やはり原因は家庭内暴力のようだ。

「あたしの家族はね、あたしと両親と弟の四人暮らしなの。それで二年前までは、このアパートのこの部屋で暮らしていたんだ」

 昔を懐かしむかのような声と表情で、阿杏さんは語り続ける。

「あの頃は、楽しかったな。お父さんは小さな工場で働く工員で、収入は少なかったけれど、家族四人でこの小さなアパートで仲良く暮らしてたんだ。……そう、本当にあの頃までは、お父さんは優しいお父さんだったの」

 そこまで語り終えたところで、遠い眼をして窓の外を眺めていた阿杏さんの表情が、急に暗くなった。

「だけど二年前に転職してから、お父さんは変わっちゃった。新しい職場は以前働いていた小さな工場とは全然違う大きな商社で、急に忙しくなったお父さんは毎日早朝から深夜まで働き詰めで、一日おきにしか帰って来ないの。しかも帰って来たと思ったらお酒を飲んで暴れて、あたしやお母さんに暴力を振るってばかり。だから昔と違って収入は増えたし、広い部屋に引っ越す事も出来たけれど、あたしはこのアパートに住んでいた頃が一番楽しかった」

「……どうして、お父さんは変わっちゃったの?」

「分かんない。どうしてだろう。きっと新しい職場でのストレスとか人間関係とか仕事のノルマとか、そう言った大人の事情なんだと思う。だからあたしも、いくら暴力を振るわれても、何もお父さんに言い返せないんだ。きっとお父さんも苦しんでいるから、あたしだけが被害者面をするのは間違っていると思うの。きっとお父さんも、出来る事なら昔の優しいお父さんに戻りたいんだと思うの」

 自分だけが被害者面するのは間違っていると、阿杏さんは言う。そんな彼女に比べて、果たしてこの僕はどうだろうか。父さんと僕との関係がギクシャクしているのを、自分だけが被害者だと思ってはいないだろうか。そう考えると自分がやけに矮小な人間に思えて来て、己の愚かさに心臓が痛くなって来る。

「ねえ、霧島くん。あたしは一体、どうすればいいのかな? どうすれば、お父さんは昔の優しいお父さんに戻ってくれるのかな?」

 気付けば阿杏さんは、そう言って僕の瞳を見つめながら、ボロボロと涙を零して泣いていた。彼女の凛々しい眉とアーモンド型の大きな瞳が、今は逆に、その表情の悲痛さを増して見せる。

「そんな事を言われても、僕には分からないよ……」

「どうして? ねえ、どうして? さっきキミは、あたしを助けてくれるって言ったじゃないか! だったら助けてよ! あたしを、お父さんを助けてよ! それが出来ないんだったら、偉そうな事を言わないでよ!」

 阿杏さんは泣きながら、僕のパーカーの襟首を掴み上げて激昂した。僕はそんな彼女の願いを何一つとして叶えてあげる事が出来ずに、ただひたすらに自分の無責任な発言を後悔するばかりで、埒が明かない。すると阿杏さんは僕を抱き寄せ、パーカーの胸に顔を埋めると、まるで赤ん坊の様に嗚咽を漏らしながらわあわあと泣きじゃくり始める。今の僕に出来る事は、彼女を静かに抱き締める事だけだった。

 阿杏さんの嗚咽が、今は胸に痛い。


   ●


「これ、飲む?」

「……ありがとう」

 僕が差し出した珍珠奶茶のカップを受け取ると、阿杏さんはストローに口をつけて、中身を一口飲み下した。間接キスだなと僕は思ったが、彼女にはそんな事を気にしている様子は無い。

 胸の内を吐露し終え、ひとしきり泣き終えた阿杏さんは、今は落ち着きを取り戻している。そして僕と肩を寄せ合い、今にも崩れ落ちそうなアパートの壁を背にしながら、膝を抱えて座っていた。今現在の正確な時刻は分からないが、もう夜も深い時間なので、さすがに少し寒い。それでも戸外に比べれば幾分かはマシなのだろうが、廃屋と化して久しいボロアパートの室内には隙間風が走り、雨漏りのひどい天井からはぽつぽつと水滴が垂れ落ちて来る。

「なんかごめんね、あたし、わがままばかり言っちゃってさ」

 両眼を真っ赤に泣き腫らした阿杏さんが、申し訳無さそうに言った。

「謝る事なんて無いよ。結局僕は、何の助けにもなれなかったんだから」

 そう言って己の無力さを再認識した僕は、深く嘆息しながら項垂れる。彼女を助けるなどと大口を叩いておきながら、結果として何一つ力になれない自分の不甲斐無さに、底無しの自己嫌悪に陥るのみだ。

「阿杏さん、あのさ、一時的にでもどこかに逃げるってのは駄目なのかな? 僕も詳しくは知らないけれど、そう言った家庭内暴力を受けている人を保護する施設なんかが、役所の中に有ると思うんだけど?」

「それは、出来ない。もしあたしがそんな施設になんか逃げ込んだら、今度はお母さんへの暴力が酷くなる。それに最悪の場合には、あたしに代わって弟がお父さんの暴力の標的になるかもしれないから」

 僕の提案を、阿杏さんは即座に却下した。彼女にとっては自分の身の安全よりも、母親と弟が虐待を受けない事の方が重要らしい。

「それじゃあ、お母さんと弟さんと一緒に施設に助けを求めたら?」

「それも、駄目。そうしたら今度は、お父さんが独りぼっちになっちゃうから。お父さんだって苦しんでいるんだから、独りぼっちにさせるなんて事、出来ないよ」

 その返答に、阿杏さんの家族に対する優しさが彼女自身を苦しめている事を知った僕は、遣る瀬無い気持ちで胸を痛める。阿杏さんは自分に暴力を振るう父親もまた、母親や弟と同等に愛して止まないのだ。

「……阿杏さん、未だ帰らないの? いつまでもこんな所にいたら、お母さんや弟さんが心配するんじゃないの?」

「それなら、大丈夫。あたしはお父さんに暴力を振るわれた後は、よくここに来て、こうして夜を明かすの。この部屋にいるとね、昔の楽しかった頃を思い出して、なんだか安心出来るんだ。だから家族はあたしが帰らない事には慣れているから、心配なんてしてないよ。……弟は、少しだけ心配してくれているかもね」

「弟さんって、この前の、あの子でしょ? ええと、名前はなんて言ったかな?」

「忠信」

「そう、忠信くん。未だ小さいのに、やけにしっかりした子だったよね」

「うん。あの子もきっと、色々と家族の事で悩んで、無理を重ねているんだと思う。それまではむしろ幼過ぎるくらいのやんちゃな子供だったのに、お父さんが暴力を振るい始めた頃から、急に大人びて来ちゃったから」

 そう言うと、阿杏さんは遠い眼で虚空を見つめた。その眼は昔の楽しかった頃を思い出しているのか、それともやがて訪れるであろう明るい未来を夢見ているのか、僕には分からない。

「そう言う霧島くんは、大丈夫なの?」

「僕?」

「そう。霧島くんこそ、こんな時間になっても家に帰らなくても、家族が心配しないの? お父さんとお母さんと、それに、兄弟とか姉妹とか」

 阿杏さんの問いに、僕は少し苦笑いを浮かべながら答える。

「僕は一人っ子だから、兄弟はいないよ。それに、母さんもいないんだ。半年前に、事故で死んじゃったからね」

「あ、そうなんだ。……ごめんね」

「いいよ、もう慣れたから。それに唯一の家族である父さんの方も、きっと僕の事なんて心配していないから、大丈夫だよ。父さんは昔っから自分の仕事の事で頭が一杯で、息子である僕の事なんて、これっぽっちも構ってくれなかったからね。だから一晩くらい帰らなくても、どこかで夜遊びでもしていると思って、気に掛けもしないさ」

 僕はそう答えると、苦笑いの上から重ねるようにして、自嘲気味な笑みを漏らした。するとそんな僕の笑みに対して、阿杏さんもまた、自分の身の上を儚んだような寂しげな笑みを漏らす。

「寒いね、霧島くん」

 寄せ合った肩を更に密着させながら、阿杏さんが言った。

「そうだね、阿杏さん」

 僕もまたそう言うと、更に肩を寄せ合う。

「ところでさ、霧島くん。その『阿杏さん』って言う呼び方、どうにかならないかな?」

「どうして?」

「内地から来たキミは知らないかもしれないけれど、こっちでは名前の前に付ける『阿』は、『ちゃん』とか『さん』って意味なの。だから『阿杏さん』って言うのは、『杏ちゃんさん』って呼ばれてるのと一緒で、なんか変な感じだからさ」

「そうか、なるほどね」

 阿杏さんの回答と解説に、僕は得心した。

「だからこれからはあたしの事を、皆と同じように『阿杏』って呼んでくれればいいからね」

「分かった。それじゃあ今からはそう呼ばせてもらう事にするよ、阿杏。ついでに僕の事も、尊って呼び捨てにしてくれても構わないからね」

 そう言うと、阿杏が微笑みながら僕の名を呼ぶ。

「ありがとう、尊くん」

「どういたしまして、阿杏」

 廃屋と化した真っ暗なアパートの一室で、ボロボロに風化した壁を背にしてうずくまったまま、僕達は微笑み合った。ジャージとパーカー越しに伝わる阿杏の体温が、今はとても愛おしい。


   ●


 ドンドンと激しくドアをノックする音で、僕は浅い眠りから覚醒した。自分が今現在どこにいるのかが理解出来ずに、暫し虚空を見上げたままぽかんと呆ける。そして僕の隣に、身を寄せ合うようにして阿杏が座っている事に気付くと、ここが貧民街の廃アパートの一室である事を思い出した。

 雨が降り続けているとは言え窓の外は仄明るく、既に夜が明けている事は想像に難くない。どうやら僕と阿杏は膝を抱えてうずくまったまま眠りに落ちていて、気付けばこの廃屋で共に一夜を明かしてしまったようだ。そして彼女は僕の肩を枕にしたまま、未だにすうすうと小さな寝息を立てている。

「阿杏、阿杏、もう朝だよ、起きないと」

「ん……?」

 僕の呼びかけに、阿杏もようやく眼を覚ました。そして僕の顔を見上げながら、未だ状況が理解出来ていないのか、なにやらひどく不思議そうな表情を浮かべている。

「おはよう、尊くん」

 未だ寝惚けているのか、阿杏の声には緊迫感が無い。すると次の瞬間、アパートのドアが蹴破られたかのような勢いで開けられると、大きな人影が二つ室内へと進入して来た。そして壁際でうずくまっていた僕達二人に向かって、手にしたフラッシュライトでもって強烈な光を浴びせる。突然視界が真っ白に眩んだ僕と阿杏は、何事が起こったのかも理解出来ないまま、身動きも取れない。

「霧島尊くんと、王杏さんだな?」

 大きな人影の一つが、僕と阿杏の名前を呼んだ。僕達は驚いて声も出ないまま、コクコクと顎を上下させて頷く。するとようやくフラッシュライトが消され、眩んでいた眼が部屋の明るさに慣れると、二つの人影が制服に身を包んだ警察官である事が判明した。

「現場08より本部へ、捜索対象の二名を発見した。これより保護する。至急、パトカーの手配を要請されたし」

 無線機を使ってパトカーを手配した警察官に促され、僕と阿杏は立ち上がる。ずっと座りっ放しで夜を明かしたので、膝と腰が痛い。そして左右を警察官に挟まれ、ついでに逃走防止の意味で腕を掴まれたまま、僕達は廃アパートの二階から鉄階段を下りて地上へと降り立った。

 そぼ降る雨に濡れたまま暫し立ち尽くし、パトカーの到着を待つ。


   ●


広い警察署の待合室の、一番端の席。そこに座らされた僕は、三人の警察官から囲まれながら事情聴取を受けていた。聴取の内容は昨夜どこで誰と何をしていたのかと言う至極簡単なものだったが、同じ事を何度も繰り返し根掘り葉掘り聞かれるので、鬱陶しくて仕方が無い。また僕と共に保護された阿杏も同様に、待合室の反対側の端の席で女性警察官から聴取を受けていた。僕と彼女が引き離されて別々に聴取を受けているのは、二人の証言の内容に矛盾が生じていないかを確認するためなのだろう。

 僕達が何故、警察によって保護されたか。その理由は単純明快に、深夜になっても一向に帰宅する気配が無い僕を心配して、僕の父さんが最寄の警察署に捜索願を届け出たからに他ならない。

 そして捜索願を受理した警察は至急出動し、南天地区を中心としたフォルモサ市内をパトカーで巡回すると共に、僕のクラスの担任である周教諭にも連絡を取った。すると周教諭は僕と親しかった生徒として宮路さんの名前を挙げ、連絡を受けた宮路さんは阿杏の一件を警察に伝え、最終的には阿杏の家へと警察が赴いた事によってこの伝言ゲームは終了する。

 行方が知れない僕と阿杏の二人は、行動を共にしているのではないか。そう判断した警察は、かつて阿杏とその家族が住んでいた廃アパートにまで捜索の手を伸ばす。そしてその予想が的中した結果として、僕達は夜も明け切らぬ早朝の貧民街の一角で、見事に御用と相成った訳だ。

「それじゃあつまり、キミは自宅に帰れない彼女を心配して、あの廃アパートでずっと傍に居てあげたと。そう言う事なんだね?」

「はい」

 聴取の確認を取る警察官に、僕は頷いた。彼は一旦僕の元を離れ、阿杏の聴取を行なっていた女性警察官と合流すると、何やらボソボソと話し合っている。おそらくは聴取の内容に矛盾点や虚偽の内容が含まれていないかを確認しているのだろうが、僕も阿杏も素直に聴取に従っているので、問題は無い筈だ。

 そして話し合いを終えた警察官は僕の元へと戻って来ると、少し呆れたような、そして少し残念そうな口調でもって僕に伝える。

「キミの事情は、理解した。行方不明中にも何の問題も起こしていないし、過去の素行にも特に問題が無いので、自宅で待機してもらっていたご両親が身元を引き取りに来たら一緒に帰りなさい。もう二度と、こんな素行不良は起こさないように。いいね?」

「はい」

 僕は再び、素直に頷いた。そして間髪を容れずに、立ち去ろうとする警察官に尋ねる。

「あの、それで」

「ん?」

「彼女の虐待の、家庭内暴力の件はどうなるんですか?」

 阿杏が父親から暴力を振るわれていると言う点も正直に報告していた僕の問いに、警察官は頭をボリボリと掻きながら天を仰いだ。そして再び僕と向き合うと、面倒臭そうに答える。

「警察は基本的に、民事不介入が原則なんだ。高校生のキミにはまだ難しくて良く分からないだろうけれど、要は、刑事事件とされる重要案件でなければ手が出せないんだよ。それに特に家庭内での問題は、たとえ明確に暴力が振るわれていたとしても、昔から介入するタイミングが難しくてね。だから私の一存では、何とも言えないのが現状だ。勿論彼女自身が被害届を提出し、それが受理されればまた話は別だが、どうも彼女にはその気は無いらしいからね」

 人を小馬鹿にしたかのような警察官の返答に、僕はひどく落胆した。年端も行かない少女が父親からの虐待を告白していると言うのに、民事不介入などと言う何の価値も意義も無い原則を持ち出して、この大人達は当然の職務を放棄する気なのだ。

「そんな……」

 僕は悔恨の念を胸に歯噛みしながら警察官を睨みつけたが、彼は眼を逸らすばかりで、一向に埒が明かない。とにかく今回の一件に関して言えば、警察の助力は期待するだけ無駄のようだ。

「尊!」

「父さん?」

 警察官と対峙している僕の名を呼ぶ声が横手から聞こえて来たのでそちらを振り向けば、警察署の正面玄関から父さんが署内へと入って来るのが眼に留まる。父さんは部屋着にしている着古したスウェット姿のままで、足元はサンダル履き、髪はボサボサの寝癖だらけと言う酷い格好だった。いくら在宅仕事の作家だからと言っても、外に出る時くらいはもう少しマシな格好をしてくれと、直感的に僕は思う。そして僕の元へと早足で歩み寄って来た父さんは、何を言うでもなく、いきなり僕の頬を平手で引っ叩いた。バチンと言う甲高い破裂音が、警察署の待合室に響き渡る。

 僕は驚きのあまり、呆然と立ち尽くしていた。さほどの威力ではなかった筈だが、叩かれた頬がやけに痛い。そして眼前では父さんがハアハアと息を荒げながら、ぽろぽろと涙を零して泣いていた。

「心配したんだぞ、尊」

 そう言って僕の身体を抱き締めると、父さんは泣き続ける。そして気付けば、抱き締められている僕自身もまたぽろぽろと涙を零して泣いていた。

「父さん、ごめんなさい。僕、連絡もせずに一晩も帰らなくて……」

「いいんだ、いいんだよ、尊。お前が無事だったのなら、そんな事はどうでもいいんだ」

 僕は謝りながら、父さんはそれを許しながら、僕達親子は泣き続ける。考えてみれば、僕が父さんに叩かれたのは、これが初めての経験だ。この歳になるまで家事と育児の全てを妻に一任し、放任主義を貫いて来た父さんは、僕の素行に口を出す事など一度として無かった。ましてや手を上げられるなどと言う事は、僕にとっては想像もつかない夢物語でしか無い。しかしその夢物語が今、現実となって僕の頬に平手打ちを食らわせた。そしてその事実が何故か嬉しくてたまらない僕は、父さんと抱き合いながら、いつまでも泣き続ける。

「叩いた事を許してくれ、尊。母さんに続いてお前まで私の前からいなくなったらと思うと、怖くて仕方が無かったんだ」

「うん、分かってるよ、父さん。そんな事、少しも怒ってないから」

 今度は父さんが謝り、僕が許す番だった。そしてどちらからともなく僕達は泣き止むと、抱き締め合っていた身体を次第に別離させる。

「さあ尊、家に帰ろうか」

「うん、父さん」

 僕と父さんは、警察署の正面玄関の方角へと足を向けた。するとその時、僕らが足を向けた正面玄関に一組の家族が姿を現す。それは父親と母親らしき中年の男女と、息子らしき小学生ぐらいの少年と言う組み合わせだった。そしてその少年に、僕は見覚えがある。僕の記憶が確かならば、忠信と言う名前の、阿杏の弟だ。つまり、彼と同伴している中年の男女が、彼女の父親と母親なのだろう。

「杏!」

 正面玄関から待合室へと足を踏み入れ、阿杏の姿を見つけるなり、彼女の父親が娘の名を叫んだ。暴力を振るう父親と言う事で、僕は肉体労働者の様な大柄で筋肉質な男を想像していたのだが、意外にも阿杏の父親は僕とさほど体格の変わらない色白のヤサ男だったので少し驚く。とてもじゃないが、暴力で家族を支配するような人間には見えない。そしてその父親は、女性警察官に付き添われた阿杏の元に足早に駆け寄ると、彼女の頬を握り拳でもって躊躇い無く殴り抜いた。ゴキンと言う鈍い音と共に阿杏の身体が弾け飛び、待合室に並べられた椅子を薙ぎ倒しながら、床を転がる。その拳からは、僕の父親の平手の様な家族に対する愛情は感じられない。

「阿杏!」

 騒然とする警察署の待合室で、僕は阿杏の名を叫んだ。そして父親から彼女の身を守るべく駆け出そうとするが、手近に立っていた警察官が素早く僕を制し、近付かせない。すると阿杏の父親もまた周囲の警察官から取り押さえられ、これ以上の暴力を振るわないようになだめられている。

「あれでもまだ、民事不介入だって言うのか? 警察署内で、明らかな暴力が振るわれているんだぞ?」

 女性警察官に支えられて立ち上がる阿杏を指差しながら、僕は警察官に詰め寄った。しかし警察官は無言で眼を逸らし、僕の問いに答えようともしない。そして僕が手を出せないまま、阿杏は彼女の両親と弟に連れられて、正面玄関から警察署を後にした。立ち去る途中で一度こちらを振り返り、僕の眼を見つめながら寂しそうに微笑む阿杏。彼女の赤く腫れた頬は痛々しく、僕は言い知れぬ敗北感を胸に歯噛みする。

「あれが、お前と同級生の王杏さんか?」

 阿杏の家族が立ち去った後に、父さんが僕に尋ねた。

「そうだよ、父さん。見ての通り、彼女は父親から虐待を受けているんだ」

 僕が答えると、父さんは僕の肩を抱きながら励ましてくれる。

「そうか。それでお前は昨夜、一晩中彼女の傍に居てやったんだな。偉いぞ、尊」

 そう言って僕を称えてくれる父さんの優しさと、眼の前で父親に暴力を振るわれている阿杏を助けられない自分に対する不甲斐無さで、気付けば僕は泣いていた。両の瞳からボロボロと零れ落ちる涙を止める事が出来ずに、僕は警察署の待合室の片隅で、小さな嗚咽を上げて泣き続ける。

「いいから、今は泣きなさい」

 僕の肩を抱いてくれる父さんの言葉が、胸に痛い。

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