第66話 魔王「僕が妖魔将軍と戦う?」

女勇者「な、何で魔族なのに聖剣が通じない…!?」

妖魔将軍「どうした女勇者! その程度か!?」

女勇者「く…」

女勇者 (くそ…どうなってやがるんだ…)

妖魔将軍「悩んでいる暇があるのか? 早くしないと魔族のガキの回りの炎はどんどん縮まっていくぞ!?」

女勇者「!」

女勇者「くっ…そ!」

女勇者「だったら炎の方を…」

女勇者「魔法使いっ!」

魔法使い「分かっている!」

魔法使い「炎なら氷だっ!」

魔法使い「エリキュシーフリザルドっ!!」

神官妹(氷属性の最上級魔法…流石魔法使いね…)

魔法使い「ふ…」

ひゅおおおおおおおおおっっっ!(氷の風)

魔法使い「…! む!?」

ごおおおおおおおおおお(炎)

魔法使い「な、何っ!? 馬鹿なエリキュシーフリザルドの零度を上回るだとっ!?」

妖魔将軍「くっくっく…だから言っただろう…俺を倒すか…魔石を破壊するしか無いとな…!」

魔法使い「何故だ…何故この魔法使いである私の魔法が、貴様の魔法に勝てないっ!?」

妖魔将軍「当たり前だろ…この魔法の力を与える魔石は数百人分のエルフの魔力を凝縮して作ってあるのだぞ」

妖魔将軍「あの炎は見た目小さくても、とつてもない魔力のエネルギーで生成されているのだっ!」

妖魔将軍「お前一人の魔力でどうにか出来るものではないっ!」

魔法使い「く…!」

妖魔将軍「さあ次ぎはどうする? くくく」

妖魔将軍「ほら急がないと…あのガキは黒焦げだぞっ!」

女勇者「く…」

女勇者「うわあああああっ!!!」ブンブン!

妖魔将軍「お…」

キンキンキン!

女勇者「く…!」

妖魔将軍「…くっくく…はは」

妖魔将軍「ははっ! がははははっ!!!」

妖魔将軍「あれほど恐ろしかった聖剣が、今の俺にとっては傷一つつけられない、ただの鉄の固まりと化すとはなっ!」

妖魔将軍「心地よい! 実に心地よいぞっ!」

妖魔将軍「お前の打つ一撃の、感触がっ! 音がっ! その全てが心地よいぞっ! 女勇者っ!」

女勇者「くっそ…調子に乗りやがって…)

女勇者(…本当にどうなってやがるんだ…)

女勇者(それにしても…この斬った時の感触…どこかで…)

妖魔将軍「くくく…さあお前の攻撃が全然効かない事が分かったところで…」

妖魔将軍「サービスタイムの時間は終わりだ…」

妖魔将軍「今度は俺様の番だっ!」

妖魔将軍「ひっひっひ…女勇者ぁぁ…今度は俺がお前をバキバキにして拷問してやるぜぇ…?」

女勇者「…!」

女勇者「く…!」ダッ!

妖魔将軍「おおっと逃がさねえぜ…妖魔殲滅断っ!!」

女勇者「…!」

女勇者「はぁ!(防御魔法)」

ドンッ!

女勇者「く…!」

女勇者「…! …!」

女勇者「…!!! な、何だこのパワーはっ!!!」

女勇者「以前より遥かに…」

女勇者「く! うああああっ!!!」

魔王「女勇者さんっ!!!」

ドカーーーーーンっ!!!

シュウシュウ…

女勇者「う…うう…」

魔王「勇者さんっ!」ダッ!

妖魔将軍「やはりこっちのパワーも上がっているようだな…くくく…素晴らしい…」

妖魔将軍「ん?」

びゃおおおおおおっ!!!

妖魔将軍「何…風!?」

ズバズバズバズバズバズバッ!!!

妖魔将軍「ぐおおおっ!?」

魔法使い「私たちを忘れるなっ!」

神官姉「…」コクン。

神官妹「…」

妖魔将軍「…く…ぐく…」

妖魔将軍「く、くくくく…」

妖魔将軍「くはは…ははははっ!」

妖魔将軍「勿論忘れてないぞっ! お前ら全員取っ捕まえて拷問だっ!!」

魔法使い「く…やはりダメか…」

女勇者「く…うう」

女勇者(痛っ…、くそ…何なんだこのパワーは…)

女勇者(たった一撃で体がバラバラになりそうだ…)

女勇者(体は…く…ダメだ…動かない…)

女勇者(で、でも…立たないと…早く立たないと…魔族子供♀が…!)

女勇者(一体どうすれば…!)

魔王「女勇者さんっ!」

女勇者「!」

女勇者(魔王…! そうだこいつなら…)

魔王「今治します…!」

女勇者「アタシは…良い!」

女勇者「それより早く魔族子供♀を…先に助けろ…!」

魔王「た、助けるって…で、でもそれには妖魔将軍を倒さないと…」

魔王「勇者さんでも…敵わないのに…よ、弱い僕では無理ですよ…!」

女勇者「…!」

女勇者(そうだった…こいつはアタシたちより強い邪神の力があるのに、アタシたちより弱いって思い込んでいたんだった…)

女勇者(く…どうする? お前は強いんだって言えば分かるか?)

女勇者(いや…小さい頃からその力を持っていたのに…今まで気づかなったんだ)

女勇者(ちょっと言っただけで…理解出来る訳が無い…)

女勇者 (くそ…どうすれば…!)

魔王「ゆ、勇者さん…?」

女勇者「…」

魔王「…? ど、どうかしましたか?」

女勇者「なあ…魔王」

魔王「は、はい?」

女勇者「アンタは…魔族子供♀を助けたいか?」

魔王「…! そ、それは勿論…!」

女勇者「ならなんで立ち向かわないだよ…?」

魔王「そ、それは僕より勇者さんの方が戦いは適任だから…」

女勇者「ふ、かも知れないよな…」

魔王「で、ですよね」

女勇者「でもだからと言って人任せにしてアンタは逃げ回ってて良いのか?」

魔王「…!」

魔王「そ、それは…」

魔王「で、でも僕なんかが出しゃばったりしたらみんなの邪魔に…」

女勇者「そんなの事は無いっ!」

魔王「!」

女勇者「お前が行動すれば助かる命もあるかも知れないんだっ!」

魔王「…! 僕が行動すれば…」

女勇者「そうだっ! だ、だから…」

女勇者「だから…」

女勇者「…///」カー(紅潮)

魔王「?」

魔王「勇者…さん?」

女湯「だ、だからお前も勇気を出して戦えよっ!!!///」

魔王「…!」

魔王「僕が…勇気を…」

女勇者「そ、そうだよ…」

女勇者「す、少しは頼りにしてるんだからしっかりしろよなっ!」

魔王「…!」

魔王(勇者さんが…僕の事を…)

魔王「…」

魔王「わ、分かりました…」

女勇者「!」

魔王「ぼ、僕に何が出来るか…分かりませんが…頑張って…みます!」

女勇者 (よ、よし…その気になってくれたぞ)

魔王「そ、それにしても…」

女勇者「? …何だよ」

魔王「回りに勇気を与える事が出来るなんて…やっぱり勇者さんは勇者さん何ですね」ニコ。

女勇者「う、ううううるせーよっ! とっとと妖魔将軍を何とかしてこいっ!///」

魔王「は、はい! すみません!!」

魔王「…それ、えーと…」

魔王「そ、それで…ぼ、僕は何をすれば良いんでしょうか?」

女勇者「え?」

女勇者「…」

女勇者「思いっきり妖魔将軍をぶん殴ってこいっ!」

魔王「えええ!? 何ですかそのノープランっ!?」

女勇者「うるせーなっ! とっとと…! いてて…」

魔王「ゆ、勇者さんっ! 今怪我を治さないと…!」

女勇者「良いから行けってっ!」

女勇者「怪我治したらぶっ殺すぞっ!!」

魔王「な、何ですか、その強情すぎる返答はっ!;」

神官妹「魔王様…女勇者は私が見ておきますので…お早く妖魔将軍を…!」

魔王「神官妹さん…! わ、分かりました!」

神官姉「魔王ちゃん…サポー…トは…任して…!」

魔王「あ、ありがとうございます…神官姉さんも…!」

魔王「じゃ、じゃあいっ、行ってまいりますっ!」

神官妹「…上手く焚き付けられたわね…中々上手いじゃない」

女勇者「あ?」

神官妹「貴女の勇気を与える言葉…確かに魔王の言う通り、勇者は勇者ね…」

女勇者「う、ううるせーよ///」

女勇者「お前まで変な事を言うんじゃねー…」

神官妹「ふふ…照れない照れない…」

女勇者「ちっ…///」

神官妹「ともあれ…魔王が戦ってくれるなら、もう大丈夫ね」

女勇者「ああ…」

妖魔将軍「ぐはははっ!」

妖魔将軍「もっと強い魔法を撃って見せろ魔法使いっ!」

魔法使い「くそ…全ての魔法が効かないなんて、魔石の力か…?」

妖魔将軍「さあどうだろうな…?」

魔王「あ、あの…」

妖魔将軍「ん?」

魔法使い「…!(魔王?)」

妖魔将軍「これはこれは魔王様…一体何の御用で?」

魔王「い、今すぐ魔族子供♀を包んでいる炎の魔法を止めて、こ、降伏して下さい…!」

妖魔将軍「あ~ん?」

魔王「だ、だから…もう争いを止めて下さい…!」

神官妹「あらら…」

女勇者「あの馬鹿っ! 思いっきり殴れって言ったのに…!」

妖魔将軍「聞こえませんな~…」

魔王「だ、だから…炎の魔法を止めてくれれば…貴方に攻撃はしませんので、今すぐ止めて下さいっ!」

妖魔将軍「ほ~…」

魔王「…?(分かってくれた…?)」

妖魔将軍「ぐふふ…」

妖魔将軍「ふんっ!」

魔王「!」

ドカッ!

女勇者「あ…殴られた」

神官妹「まあでも…クソ固いから大丈夫でしょ…」

女勇者「神官がクソとか言うなよ…」

女勇者「まあ…確かにあいつはちょっとやそっと叩かれたくらいじゃビクとも…」

魔王「…」ドサ(膝から崩れる)

女勇者「…え?」

魔王「…」ポタポタ…。

神官妹「え…あれって…」

神官姉「鼻血…っ!?」

魔王「…い、痛」

女勇者(…嘘…だろ)

女勇者(あの魔王が…ダメージを受けたっ!?)

妖魔将軍「くっくっく…」


続く

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