第53話 魔王「気にいなければ全て破壊すれば良い」
魔法使い(この圧倒的な魔力…本当に…壊す気…なのか?)
魔法使い(私の仲間を…エルフ全部を…!)
魔法使い「貴様止めろ!」
魔王「中途半端にしがみついてるから余計に苦しい思いをするんだ」
魔王「だがお前はそれを手放す決断は出来ない…」
魔王「だから俺が代わりにやってやろうと言うのだ」
魔法使い「私はそんな事は思っていない!」
魔王「嘘つくな…お前もしも俺が勝負に…苦痛に耐えきれたなら…一つの願掛けしていだろう?」
魔法使い「!?」
魔王「それは俺が勝負に勝って負けた場合、仲間を捨て村を出ようと…そう考えてたな?」
魔法使い「な! き、貴様…私の心を読んだのか!?」
魔王「読んじゃいない…お前の祈りの声が願う声が聞こえただけだ…立場上そういのは敏感何だ…」
魔法使い「私の祈り…願いの声が聞こえただと…ふざけるな…魔王の癖に神にでもなったつもりか!?」
魔王「そこら辺はどうとでも思えば良いが…まあ仮に俺が神なら…願われた分ご利益を与えなきゃいけないよな?」
魔王「俺の流のやり方でな…!」グオオオ!!
女勇者「ま、また魔力がでかく…!」
神官妹「ちょっと…何なのここいら一帯を吹き飛ばせそうな魔力は…!?」
神官妹(ま、まさかこれって神話の時代にあったって言う伝説の破壊魔法!?)
エルフ「きゃー!」
エルフ兵士「な、何だ…何で…こんな!?」
エルフ門番「むむむむ…!」
魔族っ子幼「ひゃー!」
魔族っ子幼「魔王様止めてください! そんな事したら…他のみんなまで!」
魔法使い「そ、そうだ…! そんなのを撃ったら魔族も死ぬぞ!」
魔王「? …だから?」
魔法使い「だからって…お前の仲間だろう!?」
魔王「んー、仲間か…」
魔王「それも壊れて消えれば気にする必要も無いだろ?」
魔法使い「!?!?」
魔法使い(こ、こいつ…本当にどうしたんだ…?)
魔法使い(さっきまでの他人を思いやるような優しさを持っていたのに…)
魔法使い(あれも演技だったのか…)
魔法使い(いや…あれはそんな風には見えなかった…)
魔法使い(く…何がどうなってるだ…!)
魔王「ち…しかし臭い世界だな…」
魔法使い「? 何…」
魔王「しかしこの臭い…腐ってるだろ…」
魔王「これはもう…始めてもいいんじゃないか?」
魔法使い(始める…? 一体何を…)
魔王「そうだ…もういい、こんな臭い世界は我慢出来ねえ…もう始めよう…」
魔王「世界を───」グオオオオオ!!
魔法使い(!? さらに魔力が上がった…!)
魔法使い(いやこれは上がるとかそんな次元じゃ───)
女勇者「ちょ…」
女神官「え?」
魔族子供♀「あ」
魔族っ子幼「へ?」
魔王「…!」シュウウウウン。
魔法使い(…! 何…魔力が急に小さく…)
魔王「ちっ…」
???「…」ザッ。
女勇者「え?」
神官妹「貴女は…」
魔族子供♀(…誰?)
魔族っ子幼「きれいなひとー!」
魔族子供1「ほへー…」
エルフ兵士「こ、今度は何だ…」
魔法使い「あ、貴女は…」
魔法使い「創造神様!」
知らない人一同「えええ!?」
女勇者「ちっ…」
神官妹「ひええ、へへー!」土下座。
魔族子供♀「あの人が…」
魔族っ子幼「そうぞうしんさまー?」
魔族子供1「ほへー…」
創造神「…」ニコ
創造神「…」キッ。
魔王「おいおい俺だけそんな態度とはご挨拶だな」
魔王「言っておくが俺は俺の使命を全うしてるだけだぜ?」
魔王「この世界は──」
創造神「下がりなさい」
魔王「…一方的だな、この世界の匂い…分かっているんだろう? 俺は何も間違っては…」
創造神「下がりなさい…!」
魔王「!」
魔王「…分かったよ」ヤレヤレ
魔王「まだお前の時間だ、好きに足掻くと良いさ」
魔王「じゃあな…」
魔王「…」ガク
魔法使い「ど、どうなったんだ…」
魔王「…う」
魔法使い「…! 魔王!」
魔王「あ…ま、魔法使いさん…」
魔法使い「く…魔王!」
魔王「も、申し訳ありません!!」ブワ(涙)
魔法使い「な、何!?」
魔王「私は魔法使いさんに何て酷い事を…お詫びのしようもございません…」ポロポロ。
魔法使い(…! また態度が変わった!?)
魔王「本当に…本当に…」ポロポロ。
魔王「…」
魔王「?」
魔法使い「? どうした」
魔王「僕は何をして、魔法使いさんに謝っているのでしょうか?」
魔法使い「…ふざけてるのか?」
魔王「え? い、いえとんでもない魔法使いさんにそんな失礼な事など出来ませんよ」
魔法使い(何だ…これは)
魔法使い「創造神様…これは一体!?」
創造神「…」
創造神「とりあえずお久しぶりですね、魔法使い」
魔法使い「…! す、すみません挨拶が遅れるとは失礼な真似を…」
魔法使い「お久しぶりでございます…我が師にして偉大なる神、創造神様」
創造神「いえ…気にしないで下さい。愛する愛しい子よ」
魔法使い「ありがとうございます」
魔法使い「して創造神様…魔王のあの変わり様は一体…」ヒソヒソ。
魔王「…?」
創造神「…」
創造神「それは後程…かつての女勇者のパーティーだった貴方たちだけにお話します」
魔法使い「…!」
魔法使い(魔王本人の前では不味い話と言うことか…?)
創造神「貴女たちも良いですね」
女勇者「…」
神官妹「は、はい…か、かな、必ずお越しさせ、させて頂きます」土下座。
創造神「女勇者?」
女勇者「…」プイ。
創造神「聞いているのですか? 女勇者」
神官妹「ばっ! 何してるの女勇者!」
神官妹「王様より逆らっちゃいけない人じゃなくて神の前なのよ!」
神官妹「早く貴女も土下座しなさいっ!」
創造神「え、いやそこまでしなくても良いですから…」
神官妹「駄目ですわ創造神様! 神と人、こう言うケジメはちゃんとつけないと!」
神官妹「ほら女勇者!」
創造神「あ、あの本当に良いから…」
神官妹「ほらほら!」
女勇者「るっせーなっ! 後で行けばいいんだろ行けばっ!」
神官妹「きゃ…」
神官妹「な、何よ急に怒鳴らなくても…い、良いじゃない…」
女勇者「ちっ…」クル、スタスタ。
神官妹「ちょっと、ど、どこ行くのよ!」
女勇者「…」スタスタ。
神官妹「こ、この馬鹿勇者っ!」
神官妹「ばか…」
創造神「…はあ」
神官妹「そ、創造神様…女勇者は必ず後でつ、連れていきますので、何卒穏便に…」
創造神「何もしませんよ; 愛する子よ」
魔王「創造神様っ! お、お久しぶりです!」
魔王「ぼ、僕を覚えていますか?」
創造神「…ええ勿論です魔王、私が愛する子を忘れる事はありません」ニコ。
魔王「本当ですか!」ぱあっ
魔王「昔あった時は本当に色々よくしてもらってありがとうございました」
神官姉「魔王ちゃん…色々よく…? 何を…したの…あの女狐…」ギリギリ。
神官妹「いつ眼を覚ましたの…と言うか創造神様に失礼な事言うな! この馬鹿姉」ドス!
神官姉「ぐはっ!」
魔王「僕魔王になったんですよ!」
創造神「知っていますよ」ニコ。
魔王「それで僕、昔創造神様に教えられた、魔族も人間も仲良く暮らしていたと言う、ユートピアみたいな時代になれるよう頑張ってるんですよ!」
創造神「あらあらそうなの…魔王は偉いですわね」なでなで。
魔王「えへへ…///」
神官姉「むきー!」
神官妹「落ち着け」
魔法使い(…本当に創造神様と知り合いだったのか…魔王は)
エルフ兵士「…」
エルフ「…!」
エルフ兵士「ちょ、ちょっと!」
一同「え?」
エルフ兵士「何勝手に和やかな感じになってるんですか!」
魔法使い「勝手にって…何をそんなに興奮している…創造神様の前だぞ…控えろ」
エルフ兵士「しかし…魔法の勝負は…」
魔法使い「…見てて分かったであろう…私の負けだ…奴等は解放する」
エルフ兵士「…! 勝てると言ったじゃないですか!?」
魔法使い「その話は後でする…今は静かにしてろ…!」
エルフ兵士「し、しかし…」
創造神「エルフの民よ」
エルフ兵士「…!」
創造神「貴方たちが仲間を失った悲しみは分かります…」
創造神「ですがその魔族の子供を殺しても新たな悲しみを生むだけです」
創造神「愛する子らよ、どうかその様な悲しい事を私に見せないで下さい」
エルフ兵士「で、ですが…く」
創造神「良いですね?」
エルフ兵士「…は、はあ、分かりました…」
創造神「ありがとう…愛する子よ」
魔王「あ、ありがとうございます! 創造神様!」
創造神「良いのです」ニコ
創造神「ん?」
魔族子供♀「あの…ありがとうございます…そ、創造神様」ペコリ
魔族っ子幼「ありがとー!」
創造神「ふふ…良いのです」
創造神「…では魔王よ」
魔王「は、はい!」
創造神「私は女勇者たちと少し話があるので、ここで失礼します」
魔王「は、はい!」
創造神「魔法使い、あの部屋を借りますよ…そしてくれぐれも全員で来るようにお願いします」
魔法使い「かしこまりました!」
神官妹「必ず!」
創造神「…では魔王…貴方の望む平和な世界を実現出来るよう励むのですよ」
魔王「わ、分かりました! 頑張ります」
創造神「では…」パアア
魔王「あ」
魔族子供♀「創造神様」
魔族っ子幼「消えちゃった…」
魔法使い「私は部屋に行く、神官妹、女勇者を連れて来てくれ」
神官妹「分かってるわよ、指図しないで!」
魔法使い「ふん」ツカツカ
魔法使い「…」ツカツカ。
エルフ兵士「待ってください!」
魔法使い「何だ…まだ何かあるのか?」
エルフ兵士「何か…では無いでしょう、魔王との魔法勝負の話です」
魔法使い「…創造神に子供は殺さないと言ってたでは無いか…」
エルフ兵士「確かに子供は殺しません…ですが貴女の責任の話は別です」
魔法使い「私の責任?」
エルフ兵士「貴女は私に、自分が負ける訳ないと言った」
エルフ兵士「だが実際は負けた…これはどう言う事なのですか?」
魔法使い「どう言う事も何も…見た通りだ」
魔法使い「負けたが…それがどうかしたか?」
エルフ兵士「…! 開き直るですか?」
エルフ兵士「まさか…貴女は最初からわざと負けようとしてたのでは…?」
魔法使い「わざとも何も、あの桁外れな魔力はお前も見ただろう?」
魔法使い「あんな魔力は想定外だったとしか言いようが無い」
エルフ兵士「…では手を抜くつもり無かったのですね?」
魔法使い「? そう言っている」
エルフ兵士「子供だから…わざと負けて逃がそうなどとは考えてはいなかったのですね?」
魔法使い「考えうる限りの全力でやった」
エルフ兵士「そうですか…なら良いのですが…」
魔法使い「私が長である事に不満があるなら、私の代わりにお前がやるか?」
エルフ兵士「…! い、いえ魔法使い様は今まで通り村の長でお願いします!」
魔法使い「…私は村から出ても構わんぞ? 放浪の旅をしてる方が性にあってるしな…」
エルフ兵士「い、いえいえ! 魔法使い様はずっとこの村にいてください! 旅に出てはダメです!」あたふた。
魔法使い「…お前は一体何がしたいんだ」
魔法使い「これ以上要領を得ない話をするなら私は行くぞ」
エルフ兵士「ま、待ってください」
魔法使い「何だ…?」
エルフ兵士「魔法使い様…あの子供たちは貴女の子供じゃ無いことは分かっていますよね?」
魔法使い「…」
魔法使い「ああ…分かっている」
エルフ兵士「ほっ…な、なら」
魔法使い「確かに私の子供じゃない…だが私の子供を殺した魔族でもない」
エルフ兵士「!」
魔法使い「創造神様をこれ以上待たせる訳にはいかん、私はもう行く」ツカツカ。
エルフ兵士「魔法使い様…!」
魔法使い「…」ツカツカ。
エルフ兵士「魔法使い様…」
魔法使い(全く何なのだあいつは…)
魔法使い(まあ良い…それより創造神様だ)
魔法使い(あの魔王の力の秘密を知っているような事を言っていたが…一体何なのだろう…)
続く
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