第52話 魔王「僕の内側で囁く貴方は誰なんですか?」

女勇者「あの魔王を倒すだと…」

神官妹「一体どうやって…」

魔法使い「ふ、まあ見ていろ…」

魔王「…」

魔王(何か僕を倒すのが凄い難しい見たいな感じになってるけど)

魔王(何言ってるんだろ…僕は強くないのに)

魔王(強くないから、魔法使いさんの魔法を耐えきれず簡単に失神してしまった訳だし…)

魔王(それにもう全員殺す事になっているから)

魔王(今度は魔法使いさんも僕を殺す気で本気でやってくるハズ…)

魔王(片手を握られただけで気絶してしまった僕にそれを受けきれるだろうか?)

魔王(でも魔族の子供たちの命がかかっているのです!)

魔王(ま、負ける訳には行きません…!)

魔法使い「…」

魔法使い「ふー…」

女勇者「息を整えている…?」

神官妹「やけに慎重ですわね…」

神官妹「…! もしかして魔法使いはあの方法で魔王にダメージを与えたのかも…!」

女勇者「あの方法って?」

神官妹「あの方法ですわよ! 創造神に教えられた【闇のまとい】を払う魔法」

女勇者「…!」

女勇者「闇のまとい…確か前魔王の防御力を格段に上げていた結界見たいなやつだったよな?」

女勇者「魔王も前魔王の息子だから、それをまとってて、今までダメージを与えられなかったって事か…?」

神官妹「たぶんね…だいたいあの魔王って何でか普段から魔力を見えにくくしてるし、それで私たちには闇のまといが気づけなかったって事ね」

女勇者「なるほどな…でも闇のまといってそこまで高性能だったか?」

女勇者「前魔王でも、別に闇のまといを払わなくても、聖剣で攻撃すれば少しはダメージは通ったぞ?」

神官妹「まあそれは…あの魔王の魔力が尋常無いから?」

女勇者「結局そこに行きつく訳か…まーどのみちそれを払わなきゃアタシらにはあの魔王を倒す事なんて無理って話だったのか…」

魔法使い(ふん…クズも気づいたか、そう私は魔王のその圧倒的防御力の根底は闇のまといとすぐに気づいた)

魔法使い(物凄く魔力を見えにくくしているから、普通の者には気づけんが…この魔法使いの目を誤魔化す事は出来ん)

魔法使い(だから私は闇のまといを払えばダメージを与えるられるとは確信した)

魔法使い(だが誤算もあった…それはこいつの底知れぬ魔力量…!)

魔法使い(その魔力のせいか、魔力が底を尽きる寸前までやって、握った手しか闇のまといを払う事が出来なかった…!)

魔法使い(だから消費魔力の少ないライトニングボルトなど初級の魔法しか撃てなかったのだ…)

魔法使い(だがこいつはそれだけで失神した…)

魔法使い(その理由も見当はつく)

魔法使い(それは闇のまといを払ったこいつの手を握っただけで分かった)

魔法使い(傷一つない綺麗で、そしてとても柔らかい手をしていた)

魔法使い(それから察するに、こいつは生まれてこのかた痛みと言う物を感じた事が無いのだと思う)

魔法使い(恐らくそれは闇のまといのせい…それが全ての痛みから守ってしまうので、こいつは痛みに対する耐性と言うのが無いのだ)

魔法使い(だからライトニングボルト程度のダメージで失神したのだ)

魔法使い(実際外傷見たいな傷は皆無だったからな)

魔法使い(だからこいつを倒すには…)

魔法使い「行くぞ」ギュ

魔王「は、はい(あの時見たいに手をつかんで…! 来る!)」

魔法使い(ダメージより苦痛を優先させる魔法っ!)

魔王「…っっっ!!!!」

魔王「うぎゃ…アアアアあァァァァっっーーーー!!!!」

女勇者「!」

魔族子供♀「魔王様!」

魔族子供1「魔王!」

神官妹「あの魔王がこんな悲鳴を上げるなんて…それにしてもこれは…」

女勇者「聞いてるこっちが痛くなってくるような悲鳴じゃねーか…)

魔族子供2・3「ひぃ!」

魔法使い(内側から焼かれるような痛みジワジワ与えるマインドダウンを目的とした魔法だ…)

魔法使い(しかも前回と違ってブルームライトニング分の魔力の余力を注ぎ込んだ一撃だ…!)

魔法使い(場合によってはこの痛みだけで死んでもおかしくない激痛だぞ…?)

魔法使い(お前にこの痛み耐えられるか?)

魔法使い(…もし耐えられるなら)

魔法使い(その時は…)

魔王「ああああっ! がグっっつあああーーー!!」

魔王(耐えるとか耐えないとか…そんな次元じゃない…っっっ!!)

魔王(ダメだ…意識が……)ガク。

魔法使い(ダメだったか…)

女勇者「!」

神官妹「!」

魔族子供♀「ま、魔王様!」

魔族っ子「まおー!」

魔族子供1「クソ…」

魔族子供2「魔王様!」

魔族子供3「倒れないで!」

魔王(く…ご、ごめんみんな…)

魔王(不甲斐ない僕を許して…)




魔王「…」

魔王「…れ?」

魔王「ここは…」

魔王「周りの景色が急に白く…」

魔王「そう言えば以前もこんなところに来たような…」

???「よお、また来たな…」

魔王「…! 誰?」

???「俺だよ、って言ってもお前は俺と記憶を共有出来ないから…覚えてないんだよな」

魔王「記憶を…共有?」

???「まあそんな話はどうでもいいや」

???「お前…またまどろっこしい事をやっているのか?」

???「前にも言っただろ? 自分が望む世界にしたければ、相手の世界を破壊すれば良いって…」

魔王「相手の世界を破壊ですって?」

魔王「そんな事出来る訳が無いじゃないですか!」

魔王「それにエルフさんたちは仲間を魔族に殺されたから怒ってるんですよ!?」

魔王「それは心の問題なのです!」

魔王「破壊でどうにか出来る物では無いのです!」

???「出来るぜ?」

魔王「え?」

???「わかんねーかな? 文句言う奴全部破壊すれば良いだけの話だろ?」

魔王「!」

魔王「そ、そんな…言うことを聞かないからって殺すなんて乱暴過ぎます!」

???「なら同族を殺された恨みで怒るエルフどもをどう止める?」

魔王「そ、それは魔法使いさんとの勝負に勝って…」

???「勝負に勝つ? 魔法使いの魔法に耐えたらと言う奴か?」

???「馬鹿かお前は…その勝負にあっさり負けたから今ここにいるんだろうが」

魔王「それは…く」

魔王「ま、まだ…負けてません! 今元の世界に戻ってもう一度やらせて貰えば…!」

???「いいや…何度やっても同じ結果になるな」

魔王「そんな事は…」

???「ある」

魔王「!」

???「何故ならお前は気絶する瞬間に思っていた事は、もうダメだと言うただその事だけ」

???「仲間の事も勿論エルフも魔法使いの事も考えず、ただ自分が苦しいからと言う理由でその選択に逃げた」

魔王「!」

???「お前は口では奇麗事を言って、仲間を見捨てんだ…自分が信じる物からも背を背けたんだ」

???「そんな心の弱いお前がもう一度やれば耐えられるだと? 無理に決まってるだろ」

魔王「…く」

???「恥じる事は無い…お前は幼いんだ…俺に比べたらな、だから仕方の無い事だ」

???「柔肌に赤々と熱せられらた赤銅の棒を押し付けられて」

???「逃げようとしても無理矢理押し付けられて、それで気を失わない幼子などいない」

???「だから幼子のお前が気絶したのはどおりなんだ…仕方の無い事なんだ」

魔王「僕は…」

魔王「僕は…幼子何かじゃない!」

魔王「何なんですか貴方はズケズケと…人を子供みたいに…これでも僕は…!」

???「お前が魔王だろうと、それなりの年齢になっていようと、そんな事は問題じゃあ無い」

???「俺と言う存在がいる限りお前は永遠に幼子だ」

魔王「…! 貴方は…貴方は…」

魔王「一体誰なんですか!?」

???「まあ話はここまでだ…後は俺に任せておけ」

???「前と同じようにな?」

魔王「…! 待ってください! 貴方は一体何をするつもり何ですか!」

魔王「は…! まさか貴方はエルフさんを…!」

???「安心しろ…お前は綺麗な存在でいなければいけない…俺のためにな」

魔王「それは…どう言う意味…」




魔法使い(やはり耐えることは出来なかったか…)

魔法使い(もしも耐えられたらな…と思っていたが…)

魔法使い(いやこれで良かったんだ…)

魔法使い(私はエルフの民の長…責務を全うするのが私の進むべき正しき道なのだ…)

魔王「…」

魔法使い(…? おかいしいな…もう意識は無いと言うのに…何故倒れない?)

魔王「…へ」グッ。

魔法使い(…!…手を握り返した…!?)

魔法使い「…! まだ意識があるだと!?」

魔法使い(何だと…く…私の魔力はほぼ無いぞ…!?)

魔王「…中々」

魔法使い「!?」

魔王「中々…心地よい痛みだったぞ…」

魔法使い「何…さっきまでと様子が」

魔法使い「…!」

魔法使い「誰だお前は…!」

魔王「俺は俺さ…」

魔王「それより良いのか?」

魔法使い「な、何…」

魔王「俺がお前の魔法に耐えたら勝負は俺の勝ちになるんじゃ無いのか?」

魔王「このままじゃお前の負けだぜ?」

魔王「ほらお前がほとんどの魔力を注いで消し去った闇のまといも早くしないと戻ってしまうぞ?」

魔法使い「…! く…!」

魔法使い(な、何だこいつ…この性格の変わり様…まるで)

魔法使い(まるで…魔王…?)

魔法使い「くそ…ならばこれならどうだっ!」

魔法使い(残りの全魔力を使って最大級の苦痛を与え…絶対にマインドダウンさせる!)

魔法使い「はあっ!」パア

魔王「…!」

魔法使い「はあはあ…これならどうだ…!」

魔王「ぐ…ぐく」

魔法使い「やったか…!?」

魔王「ぐ…くく…くくく…」

魔法使い「…!」

魔王「くはは…ははは!!」

魔法使い「何…だと」

魔法使い(効いて無いのか…!?)

魔王「確かにこの痛みなら、幼子なら簡単に気を失ってしまうだろ…」

魔王「だが悠久の時を生きる俺にはとってはこの程度の痛み…既に味わい尽くして飽きる位なのだ…」

魔法使い「な、何?」

魔法使い(…悠久の時だと…こいつ自分は人間の年齢で考えて15才ほどしか生きていないと言ってなかったか?)

魔法使い(この痛みだけで死んでしまうような苦痛が既に飽きているだと!?)

魔法使い(一体どれだけこの苦痛を受けて慣れたと言うのだこいつは…!)

魔法使い(く…完全に誤算だった…)

魔王「何だ…もう終わりか…」

魔王「ふ…まあいい、少しは楽しめたしな…その礼にお前の願いを叶えてやろうか?」

魔法使い「何だと…」

魔王「ふん…お前はあの村の長を務めているようだが…」

魔王「お前はあの村の連中の事を疎ましく思っているな?」

魔法使い「…! そんな事は無い」

魔王「嘘をつくな…分かるぞ?」

魔王「自分を完全には受け入れて無い癖に、責任ばかり押し付けるあいつらに辟易してるな?」

魔法使い「…! そんな…事は無い…私は…私は」

魔王「隠しても…俺には分かる…」

魔王「辛いのだろう? あいつらは結局子供を失った自分を分かってくれてはいない」

魔法使い「!」

魔王「でもこの世にエルフの仲間はあいつらしかいないから、ここから出ていきたくはない」

魔王「一人は寂しいから」

魔法使い「だ、黙れっ!」

魔王「だが安心しろ…その煩わしさから俺が解放してやる」

魔法使い「…何?」

魔王「あいつら全てを…」

魔王「破壊してな?」

魔法使い「…何だと!? 貴様何をするつもりだ!」

女勇者「…何あいつら二人でべちゃくちゃ喋ってるんだ?」

神官妹「さあ?」

女勇者「つーか魔法使い、魔王の倒しかたを教えてやる、とか言いつつ出来て無いじゃん、だっさ(笑)」

魔王「…!」ギュオオオオオオ!!!

女勇者「!」

神官妹「なっあの巨大な魔力の塊は…な、何をする気なの魔王は!?」

魔族子供♀「きゃあああ!」

魔族っ子幼「ひええ!」

魔法使い(こ、これは…この圧倒的な破壊にみちた魔力はっ!?)

魔法使い(や、やつめ本当に破壊する気なのか…!?)

魔王「くっくっく」


続く

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