第35話 魔王「一旦魔王城に帰りましょう…え? なんでついてくるの」

魔王(魔大工さんのような下位魔族の要求を受け入れれば、無条件降伏を受けられず平和な世の中に出来ないし…)

魔王(かと言って無条件降伏を受けて、人間さんの戦後補償を払っていたら、下位魔族さんが戦争起こすってなるし…)

魔王(戦後補償を払っても、大抵の事は僕が尽力すれば良いかと思ってたけど、そうもいかないみたいだ)

魔王(僕は一体どうしたら…)

神官妹(…マズイ…非常にマズイ)

神官妹(もしも無条件降伏が破棄にでもなって戦争になったら、あの恐ろしい魔力を持った魔王に勝てる者はこちらにはいない)

神官妹(人間の敗北は必至)

神官妹(そうなる前に、戦後補償の見直しを提案した方が良いのでは…)

神官妹(ああ~でも大臣様に何と報告すれば良いのかしら…)

神官妹(頭が痛すぎる)

神官姉「魔王…ちゃん」

魔王「はい? 何ですか神官姉さん」

神官姉「私…魔王軍に入り…」

神官妹「ふん!」ドゴ!

神官姉「ぐはっ!」

魔王「!」

神官妹「裏切りは許さない…」

神官姉「酷い…」

魔王「あ、あの…何をやってるんですか二人とも…」

神官妹「ほほほ…何でも御座いませんわ」ズルズル。

神官姉「うう…魔王ちゃん」

魔王「;」

神官妹(ともあれ本当にどうしようかしら…?)

神官妹(…そう言えば勇者が色仕掛けで油断させて殺すとか何とか言ってたけど…)

神官妹(まだやる気はあるかしら?)

神官妹(やっぱり大臣様にはバレたく無いし…それに賭けてみようかしら…)

神官妹(そう無条件降伏を破棄を言い出す前に、魔王を亡き者にすれば良いのよ!)

神官妹(そうよ! これしかないわ!)

神官妹「ん?」

大臣「それで残り建物の方はどうするんじゃ!」

魔王「え! あ、あのそれは…僕の作ったのでよければ」

大臣「駄目じゃ! さっきの魔族が作ったやつで無いとわしゃ認めんぞ!」

魔王「でも…さっきの魔族に頼むのは、ちょっと無理かと思いますが…」

大臣「無理なら、お前が持っていってしまった街を戻せ!」

魔王「そ、そんな」

大臣「出来ぬか! 出来ぬなら無条件降伏を破棄しても…」

神官妹「!」

神官妹「スリープクラウド!」

大臣「良いんだ…ふぁ…な、なんじゃこれは…」ばたっ。

大臣の兵士「大臣様っ!? 神官妹一体何を!?」

神官妹「大臣様はお疲れだったようなので、過労死しないように眠らせました」

神官妹「後大臣様が気にするといけないので他言はしないようお願いします」

大臣の兵士「何を馬鹿な…!」

神官妹「お願いします…」ギロ

大臣の兵士「ひっ…分かりました…」

魔王「;」

女勇者「何やってんだよお前は?」

神官妹「そんな事より勇者」ヒソヒソ

女勇者「ん?」

神官妹「魔王を色仕掛けで油断させるアレ…まだやるつもりですわよね?」ヒソヒソ

女勇者「…たりめーだろ…絶対にアタシの手で殺すっつうの…」ヒソヒソ

神官妹「なら私も協力するわ…絶対に殺すわよ?」ヒソヒソ

女勇者「お、おう?」ヒソヒソ

呪族の幼女(あの二人何やら面白い事を考えているようだの…)

呪族の幼女 (ふむ…)ニヤリ

魔王「ああ~どうすれば良いか分からない…とりあえず魔王城に戻って参謀さんに相談してみますか…」

魔王「と言うことで、僕はちょっと魔王城に帰らせてもらいますので失礼します」

女勇者「!」

神官妹「!」

呪族の幼女「!」

女勇者「ちょ、ちょっとちっょと待て! アタシたちも一緒に行くぜ!」

神官妹「はいご一緒させてください!」

呪族の幼女「わらわも!」

魔王「…? 呪族の幼女さんは人間じゃないから分かりますが、勇者さんと神官妹さんは何故についてくるのですか?」

魔王「会談も終わりましたし、自分たちの家に帰らないのですか?」

女勇者「え!? あ、いやそれは…」

神官妹「そのあの…」

魔王「?」

女勇者「う、うっせーな! アタシが魔王城行ったら迷惑なのかよっ!」

神官妹(普通は勇者が魔王城に行くのは迷惑そのものよねぇ…)

魔王「い、いえそんな事はありません!」

魔王「分かりました…で、ではご一緒に魔王城に行きましょう」

女勇者「お、おう!」

神官妹(ほっ…何とか押しきれた)

大臣の兵士「あのー神官姉さんはどうなされるのですか?」

神官姉「私も…いくー…」

神官妹「ふんっ」メコォ!

神官姉「ぐぇ! きゅう…」

大臣の兵士「ひっ!」

神官妹「あらあら姉さんったらこんなころで寝ちゃって…うふふ」

大臣の兵士「…」ガタガタ

神官妹(ふん…こんなの連れてきたら邪魔されるに違いないわ…)

神官妹「すみませんけど兵士さん、姉もよろしくお願いします」ニター。

大臣の兵士「ひゃ、ひゃい!」ガタガタ

魔王「で、では行きましょうか…」

魔王「えーと…空間接続…!」

魔王「はいどうぞ」

女勇者(ほんと便利だなこれ…アタシら空飛んでく方法しか移動呪文知らないから余計にそう思うわ)

神官妹「失礼します」

呪族の幼女(潜り抜けなければいけない分ひと手間かかるのう…普通にその場で転移する魔法の方が楽かと思うのじゃが…魔王はそっち転移魔法は使えんのか?)

魔王「ふう…何か色々ありすぎて久々に帰ってきた感じだ」

参謀「お帰りなさいませ魔王様」

魔王「あ、ただいまです。参謀さん」

参謀「それに皆さんもお揃いで、…しかしもうご一緒でなくても良いのでは?」

女勇者(…! ちっ、こいつを誤魔化すのは難しそうだな…)

神官妹 (どうしましょうか…?)

呪族の幼女(美形の眼鏡…美形の男は腹が立つのう…)ムス

参謀「おや…そちらのお嬢様は?」

魔王「あ、はい、呪族の王女さんです」

参謀「何と…あの伝説の…」

参謀「しかしこんな可愛らしい子供が呪族の王女とは…にわかには信じられませんね」

魔王「ちょっと前まで大人の女性だったのですが、何かよく分からないですが、縮んでしまって…」

呪族の幼女(じゃからお前がやったんじゃろ!)

魔王「あ、そう言えば、その時この黒い玉をいつの間にか持っていましたね…何だろこの玉」

呪族の幼女「!」

参謀「黒い玉…!?」

参謀「それを手に持っていたら呪族の王女様が子供になられてしまったと…そう言う訳ですね?」

魔王「え? あ、はい」

呪族の幼女(あれこそ恐らくわらわの力を閉じ込めた結晶体…あれさえ取り戻せば…)

女勇者(どー考えてもあれが呪族の王女の吸いとった力だよな…)

神官妹(分かってないの?)

参謀「なるほど…やはり伝承通りの…」

魔王「伝承…? そう言えば参謀さん何か調べものにし魔王城に帰ったんですよね?」

魔王「一体何を調べてたのですか?」

参謀「あ、いやそれは…」

呪族の幼女「まおー! それよこちぇ!」

魔王「え? 何?」

勇者 (あ、あいつまさか…!)

神官妹(力を取り戻す気…!?)

魔王「? この黒い玉が欲しいの?」

呪族の幼女「うん!」

魔王「はいどうぞ」

女勇者「馬鹿、渡すなよ!」

神官妹「力を取り戻してしまいますわよ!」

魔王「え?」

呪族の幼女「わはは! もうおちょいわ!」

女勇者「しまった…!」

神官妹「く…」

呪族の幼女「ぬゅん!」ガン(黒い玉を地面に叩きつける)

呪族の幼女「…」

呪族の幼女「はれ…?」

呪族の幼女「えい! えい!」ガンガン!

呪族の幼女「か、かちゃい!?(固い) めちゃめちゃかちゃい」

呪族の幼女(ど、どうすればこの玉からわらわの力を開放させる事ができるのじゃ…!)

女勇者「おら!」ひょい

呪族の幼女「あ! かえちぇ! わらわのじゃぞ! かえちぇ! かえちぇ!)ピョンピョン

女勇者「うっせー! 力取り戻したら、またアタシに変態な事する気だろ! ぜってー返すかっ!」

呪族の幼女「ちないから! もうちないからかえちて!」

女勇者「へっ誰が返すか、ほーれほれ」

呪族の幼女「むきー!」ピョンピョン

神官妹「はあ…良かったですわ」

魔王「;」

参謀「そんな事より魔王様」

魔王「え?」

参謀「実は魔王様にご来客がありまして」

魔王「誰ですか?」

参謀「商人でございます」

魔王「え!? も、もしかして魔界の商人が文句を言いに!?」

参謀「いえ魔界では御座いません」

参謀「人間の、でございます」

魔王「え? 人間の?」

参謀「はい」

勇者(人間だって…?)

神官妹(おかしいわ…魔界に来ている人間は私たちだけの筈)

呪族の幼女「かえちぇ! かえちぇ!」ピョンピョン

魔王「僕に人間の商人が、い、一体誰何の用だろう…?」


続く

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