第25話 魔王「この人が呪族の王女様?」
勇者「チッ…! 当然だけど視界が悪いな…」
神官妹「まあ毒霧の中歩いているんだから当然だけど」
神官姉「前…見えない」
魔王「あの…」
勇者「何?」
魔王「何故皆さん、こんなに僕にくっついているんでしょうか?;」
勇者「はあ? 毒霧を防ぐために決まってるじゃん」
神官妹「失礼ながら同意です」
神官姉(魔王ちゃんの近くが良いから♪)
魔王「いや…か弱い神官さんたちなら分かりますが、勇者さんは独自の結界魔法を張れば良いんじゃ無いですか?」
勇者「はあ? 差別すんなし」
勇者「それにあんたが結界張ってればアタシが楽できて良いじゃん」
魔王「は、はあ…;」
勇者「何だよ嫌そうな顔だな、マジちっちぇ~~~」
勇者「男だったら何も言わず、女の子にはそんぐらいしろし」
魔王「は、はい;」
勇者(呪族の王女と戦わせた時、共倒れしやすいように力を少しでも削って置かないといけないからな…)
勇者(でも、このくらいじゃこいつにとって何でも無いかも知れないな…)
勇者(もう少し力を使わせるように仕向けられないかな…そうだ!)
勇者「あ~この結界の中空気ワル! もうちょっときれいな空気に清浄してくんね?」
魔王「え? そ、そうですか?」訝しげ
勇者「そうだよ! ほら早く!」
魔王「は、はい…こんな感じかな?」パチッ(指パッチン)
一同「!」
神官妹(な、何この澄んだ空気はっ!)
勇者(マジかよ…空気吸って旨いとか感じたの初めてなんだけど…)
神官姉「魔王…ちゃんの空気美味しい♪」
魔王「あ、ありがとうございます」
勇者「はああああ…」マンゾク
魔王「こ、こんな感じで大丈夫ですか勇者さん」
勇者「は!?」
勇者「ま、まあまあだな!」
魔王「え? そ、そうですか…」
勇者(アタシのバカ! 何満足してんだし!)
勇者(まだまだこいつの魔力を減らさないと…だろ!)
勇者「後この中蒸し暑いよな…、ちょっと空気を循環させるための、ちょうど良い風でも起こしてくれよ」
魔王「今度は風ですか!?」
勇者「何…? 文句あるの?」
魔王「いやその…はあ…」嘆息
魔王「こんな感じですか?」パチッ
一同「!」
神官妹(どこまでも優しくて穏やかな風)
勇者(あああ…何て気持ち良い風にゃの…昔どっかの草原にたたずむ木の下で暖かい木漏れ日と心地よい風を受けながら昼寝してた時のようにゃ感覚♪ ああ何か眠くなってきた)
神官姉「魔王ちゃん…の風気持ちいい♪」
魔王「ありがとうございます♪」ニコ
神官姉「♪」ニコ
魔王「ゆ、勇者さんも今度はどうですか?」
勇者「Zzz…は!?///」
勇者「…こほん、まあまあだな…///」
魔王「ええーまたですか?」
勇者「うっさいなアタシがまあまあって言ったらまあまあ何だよっ!」
魔王「もう…我儘だなぁ」
勇者「何か言ったか!?」
魔王「な、何も!」
神官妹「…」
神官妹(やっぱりついて来て正解だったわね)
神官妹(勇者…何を考えているのか分からないけど、やり過ぎよ!)
神官妹(魔王は舐めてプレイしてるだけの、舐めプレイヤーなのだから!)
神官妹(あまり調子に乗って本気になっちゃったらどうするの…!)
勇者「よーし今度はなぁ…」
魔王「まだあるんですかあ!…?」
勇者「当たり前だろ! 居心地悪すぎるんだよココ!」
魔王「だったら自分で作れば良いのに…」
勇者「あ? 何か言ったか?」
魔王「な、何でも!」
神官妹(勇者ダメそれ以上は…!)
神官妹(何とか勇者を止めなきゃ…!)
神官妹「ま、魔王さまお疲れでしょう…代わりましょうか?」
勇者(…! 何で神官妹が邪魔を!?)
魔王「あ、いえ大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます」ニコ
勇者(神官妹…一体何のつもりだ…)
魔王「それで勇者さん…後は何をすれば良いですか?」
勇者「え、そ、そうだなあ~?」
神官妹「…!」
勇者(ん? 神官妹が魔王がこっちを向いてる隙に何かやろうと)
神官「…! …!」バッバッ(しきりに体を動かす)
勇者(…! あれは王国式手旗信号!)
勇者(神官妹のやつ何かを伝えようと…)
神官妹「…! …!」バッバッババ
勇者(何…き・け・ん・こ・れ・い・じょ・う・は・や・め・た・し)
勇者(危険だから…止めろ…?)
神官妹「…!」コクコク
魔王「?」チラ(神官妹を見る)
神官妹「サッ…」素知らぬ顔
魔王「?;」
勇者(ははーん…神官妹のやつ、魔王が怒りだすかもって不安なんだな)
勇者(たくっ相変わらず慎重と言うか、ビビリ…だっさ)
勇者( この程度、さっきからずっとやっても全然怒らないから、今更怒る訳ないだろ)
神官妹(怒る訳ないだろって思ってそうだけど、それで何人も友達失ってるの分かってるわよね勇者…!?)
神官姉「ねえ…魔王…ちゃん」
魔王「はい?」
勇者・神官妹「!」
勇者(何を言う気だ…神官姉…?)
神官妹(姉さんお願いだから変な事を言わないで~~)
神官姉「私たち…どこまで歩いて行けば…良いのかな?」
魔王「あ、はい…それはですね」
神官妹(無難…良かった~)ほっ
勇者(何だそれか…)
魔王「勇者さんなら分かってると思いますが、この毒霧が噴出する土地を全てトレースして見たのですが」
勇者(知らない…てか、そんな大きな範囲内トレースなんて出来る訳ないだろ)
魔王「この大地の中心に、毒が吹き出していないところがあるんですよ」
勇者「…!」
勇者(そこに呪族の王女がいるのか)
魔王「もしも術をかけた本人が、その術で国民同様死んでいるなら、この術も解けている筈です」
魔王「なので、どこか安全地帯を作って生きていると思ってましたが、大当たりでした!」
神官姉「流石…魔王ちゃん…凄い!」パチパチ
魔王「いえいえ勇者さんは先に気づいたと思うのでそんなに偉そうに言えた事ではありませんが」
勇者「あ、うんそうだね」
勇者(ハイハイ嫌み乙、何だか慣れてきたわ)
神官妹(勇者、実は分かってなさそう…)
魔王「まあと言う訳で、その空白地帯に行けば、もしもこの毒霧が女王の仕業なら、彼女はそこにいるはずです!」
魔王「あと少しで着きますので、もう少し辛抱してくださいね!」
神官姉「う…ん」ニコ
勇者「ところでさ~」
魔王「はい?」
勇者「何でその女王って、イケメンの魔王に求婚断られたの?」
魔王「さあ…詳しい理由までは」
勇者「ブスだったとか?」
魔王「いえ…女王は当時の魔界ではかなり美しい人物だったと聞き及んでいますが…」
勇者「ふーん…美人で断られているってーと…可能性は高いな…」
勇者「まあこんな事をしてる時点でお察しだろうけど」
魔王「何がですか勇者さん?」
勇者「何がって…」
神官妹「あ、毒霧が晴れてきたわよ」
魔王・勇者「!」
神官姉「霧が…白くなった?」
神官妹「中心部は本当に毒霧が及んでないのね…」
神官妹「それに…ここは城…? 呪族の城の跡?」
魔王「さ、流石三千年前の物だけあって、おもむきと言うか…ボロボロですね」
神官姉「…! 誰か…いる」
一同「!」
神官妹「女…? あれが呪族の王女?」
謎の女「…」
魔王「た、たぶんそうですよ! お綺麗ですし」
勇者「確かに美人だな…まあアタシには劣るけど」
魔王「は、話をしてみましょう!」タタタ
魔王「す、すみません、呪族の王女様ですか?」
謎の女「…」
魔王「僕たちこの土地に引っ越してきた者なのですが、ちょっと毒が凄くて住みづらくて、出来たら呪いを解いて綺麗な大地にしていただくお願いに上がったのですが…」
謎の女「そ…」
魔王「え?」
謎の女「そな…たは誰だ」
魔王「あ、すみません申し遅れました、僕は今魔族の王をやっている…」
謎の女「魔族の王…魔王」
魔王「あ、はい! 魔王です」
謎の女「魔王」
魔王「はい!」
謎の女「魔王…魔王…魔王…魔王」
魔王「は、はい?」
謎の女「魔王魔王魔王魔王魔王魔王魔王魔王魔王魔王魔王魔王魔王魔王魔王魔王」
魔王「ちょ、え?」
謎の女「魔王っ! っきゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
魔王「!」ビク
勇者「美人なのにフラれる…」
謎の女「ああああああああああああああああああ」
勇者「そりゃ性格に難ありだからだろ」
続く
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