第24話 魔王「呪族の女王に会いに行きましょう」

勇者「ここを住める土地にしたいんだろ?」

勇者「だったら毒の呪いの解呪が、その…簡単なら、それやれば良いじゃん」

魔王「…」

神官妹(何でここに来て毒の解呪を渋るの?)

神官妹(毒の解呪をしなきゃここには、住めないのは勇者の言う通り…)

神官妹(一応は無条件降伏を受け入れてここに住む事を決めた筈なのに…)

神官妹(ま、まさかやっぱりあの強大な魔力を使って、無条件降伏の話を反故にする気かしら…?)

神官妹(そ、それはマズイわ、非常にマズイ…)

神官妹(…ここは慎重に言葉を選ばないと、明日には人間滅亡なんて事もあるかも知れないわ…)

神官妹(慎重に言葉を選んで誘導して、戦争にならないようにしなきゃ…)

神官妹(って言っても、勇者ですら勝てない力を持っているのだから、そんな策謀を巡らす自体無意味かもだけど…)

神官妹(あああ、もう! 何でここまで来て、この魔王が強かったりするの…!)

神官妹(ダメ! 気を落ち着かせて、慎重に言葉を選んで、そう慎重に慎重に…)

神官妹(魔王が世界征服をする、と言う方向に持っていかないように…持っていかないように…!)

神官姉「魔王ちゃんの…力なら…世界征服だって簡単…だから…毒の呪いも…大丈夫b」ニコ

魔王「え?; 簡単じゃ無いですけど…」

神官妹「馬鹿姉ーーー!!!」スパーーーン!

神官姉「はう…!」

神官姉「妹ちゃん…酷い」

神官妹「うるさいこの変態ショタ姉!」

神官姉「うう~…それを言うなら…妹ちゃんだって…お爺ちゃん好き…変態だもん」ムー。

神官妹「そ、それはいいから今後一切さっきの話題を出さないで!///」

神官姉「何で~…魔王ちゃん…本当に強いじゃ…モガ」

神官妹「だーかーら…」

魔王「な、何かよく分かりませんが、仮に僕が…その世界征服出来る力を持っていても出来ません!」

勇者「だからそれが何でだって言うんだよ!」

魔王「分かりませんか!」

勇者「いや普通に分かんないし」

魔王「…」

魔王「い、良いですか? もしもこの土地の毒が吹き出している原因が、呪族の王女の呪いなら」

勇者「うん」

魔王「彼女は、愛する者に拒絶されると言う深い悲しみから、この土地に呪いをかけました」

勇者「かけたな」

魔王「彼女の悲しみから生れた呪いと言うなら、それは彼女自身の心を映した悲しみその物に違いありません!」

勇者「そうなの?」

魔王「つまりそんな彼女の悲しみの心の体現である、この呪いを解呪…消すと言うことは、彼女自身の心を傷つける事に他ならないのです!」

勇者「え? そうなるの?」

魔王「だって呪いとは言え、ほんのちょっとの魔法でかきけされてしまうような、そんな儚い呪いなのですよ!?」

勇者「儚い呪いって何なんだよ」

魔王「僕はこの呪いはきっと彼女の心その物だと思うんです!」

勇者「いや、完全に思い込みだよな、それ」

魔王「僕は…僕は…そんな彼女の心を傷つける事なんて酷いことは出来ない!」

勇者「いや魔王何だから、酷いことしろし」

魔王「偏見は止めてください!」

魔王「それに、と言いつつ勇者さんも、呪族の王女の事を気にかけられていますよね」ニヤリ

勇者「は?」

魔王「何故、僕が簡単に出来る浄化を勇者さんがやらなかったのか、不思議に思っていましたが…やっとその答えが分かりました」

勇者「ちょっと言っている意味が分かんないんだけど…?;」

魔王「いやいやご謙遜を、勇者さんはいち早く呪族の王女の事を知り、彼女の心を傷つけまいと、すぐに結界魔法を解いたのですね」

魔王「流石正義の勇者です! うんうん」

勇者「いやアタシそんな殊勝じゃないし! つかそもそも呪族なんて知らなかっただろアタシは!」

魔王「そこはきっと勇者さんの正義の勘見たいな…そう勇者センサーで分かったんですね! 凄いです!」

勇者「何だよその変なスキルは要らなすぎるだろ; つかそこまで妄想完結出来るお前の頭の方が凄いわ」

魔王「えへへ、ありがとうございます///」

勇者「誉めてねぇっ!」

神官妹「…」

神官妹(…僕が簡単に出切ることを勇者がやらない???)

神官妹(前から変だと思ってたけど…何故あんなに謙遜するのかしら…)

神官妹(魔王が勇者より強いのは火を見るより明らかなのに…うーん)

神官妹(は…! も、もしや…!)

神官妹(魔王は…自分の強さに)

神官妹(酔っている!?)

神官妹(きっと舐めプ、いわゆる舐めた戦闘プレイをして楽しんでいるに違いないわ…)

神官妹(お、恐ろしいわ…あの幼い外見にして何て恐ろしい魔王なの)

神官妹(いえ魔王ゆえかしら…)

神官妹(と、とにかく迂闊な事は出来ないわね…)ゴクリ

神官姉「魔王ちゃん…ナデナデ~」なでなで

魔王「あ、あの?」

神官妹「ふんっっっ!!」スパパパーーーン!!!

神官姉「ぎょっ!?」

神官妹「おほほほ…うちの馬鹿姉がとんだ失礼を~~~」

魔王「い、いえ;」

勇者「で? お前は結局何がしたいんだよ?」

勇者「とりあえず街の範囲内だけの土地だけあればそれで良いのか?」

魔王「いえ、この荒れ果ての地全体を、約定通り、魔族の土地にしたいです」

勇者「? 毒はどうするんだよ…解呪もしないで、どーやってこの毒を消すって言うんだ?」

魔王「それは簡単です! 呪族の王女に会って呪いを解いてもらうよう頼むのです!」

勇者「…あのさ」

魔王「はい?」

勇者「お前って人の言ってる事はしから忘れていくタイプなの?」

魔王「し、失礼ですね! そこまで無頓着じゃないですよ!」

勇者「だったらさっきの話をおぼえているだろ」

勇者「その呪族の王女は、自分が悲しかったからって国民全員を皆殺しにするヤツ何だぞ」

勇者「そんなヤツに呪いを解いてくださいって言っても、聞く訳ないだろ!」

魔王「そんな事はありません! 心があるのですから、誠心誠意込めてお話しすればきっと分かってくれます!」

勇者「無駄無駄無駄! お前は本当に世間を知らないな…」

勇者「良いか? 世の中にはお前が及びもつかない、汚れのよの字も落ちない、そんな腐りきったきったねえー心なんていくらでもがあるんだよ! 溢れかえってるんだよ!」

魔王「…例えば勇者さんみたいな?」

勇者「…! ピキ」

勇者「あれれ~? アタシはやっぱり正義の味方なんですねー、とか言ってなかったかなぁ?」グリグリ(鼻の穴に聖剣)

魔王「ひゃ、ひゃあ! 鼻聖剣だけはや、止めてください!><」

勇者「ふん…」

魔王「はあ…はあ…す、すみません…いつもの勇者さんって柄悪いから、つい…」

勇者「ああ!?」

魔王「す、すいません!、すいません!」

神官妹(勇者にあそこまでやられて受け身でいるとは…)

神官妹(は…! 魔王はまさか…)

神官妹(まだ舐めプする気なの!? どこまで舐めプ出来るの!? 恐ろしい…)

神官姉「魔王ちゃん…」ふらふら

神官妹「ふんっ!」

神官姉「ぐはっ!」

神官姉「お腹は止めて…ガク」

勇者「たくよー、お前って変なところでホント強情だよな…」

魔王「…すみません」

勇者「謝るなら、言われた通りとっとと毒の解呪をしろ」

魔王「嫌です(真顔)」

勇者「…;」

勇者「ちっ! じゃあ勝手に一人で行けよ」

魔王「え!? 一緒に来てくれないのですか?」

勇者「この…流れで何で一緒に行くと思う…;」

戦魔将軍「魔王様! 儂が一緒に行くでござる!」ハイハーイ

魔王「あ、戦魔将軍さんはお留守番してて下さい」

戦魔将軍「え!?」

戦魔将軍「な、何故ですか魔王様…!」

魔王「え? だ、だって毒の霧を進む訳だし、結界魔法が張れないと無理かと…」

戦魔将軍「た、確かに儂は魔法には疎い…しかし、この勇者などと二人きりで行くなど危険の極み!」

勇者「誰が危険の極みだ…」

勇者「…!」

勇者 (そうか…!)

戦魔将軍「大丈夫でござる! 連れていってでござる!」

魔王「大丈夫って…どうやって」

戦魔将軍「気合いで!」

魔王「そんな無茶な…;」

勇者「やっぱり一緒にいってやるよ魔王」

戦魔将軍「何!?」

魔王「え? ほ、本当ですか勇者さん!」

勇者「ああ」

勇者(二人きりなれば、油断させて殺せるチャンスもありそうだし、それに呪族の王女と戦って消耗したところも狙えそうだしな…)ニヤリ

魔王「あ、ありがとうございます!」

戦魔将軍「む! い、今笑いましいたぞ! 悪どい顔をしていたでござったぞ!」

勇者「え~~してないって…」

勇者(うるせー筋肉馬鹿だな…)

魔王「そうですよ戦魔将軍さん! 僕の友達を疑うような事を言わないで下さい!」

戦魔将軍「え!?」

戦魔将軍「そ、そんな儂は魔王様の事を思って…」

魔王「言い訳はダメです! さあ勇者さんに謝って下さい!」

戦魔将軍「な、何ですと! ほ、誇り高き戦魔将軍たるこの儂が勇者に頭を下げろと!?」

魔王「そうです、さあ!」

勇者「そうだ~疑われてすっごい傷ついたぞ~早く謝れ~」

戦魔将軍「う…う…」

魔王「戦魔将軍さん!」

戦魔将軍「わ、儂は悪く無い! 断じて悪く無い!」

戦魔将軍「魔王様の馬鹿ーーー!!」

魔王「あ! 戦魔将軍さん!」

勇者(馬鹿って女子か…;)

魔王「すみません勇者さん…戦魔将軍さんが」

勇者「え? あーいいっていいって」

魔王「流石勇者さん、心がお広い!」

勇者「んな事無いって、んじゃ行くか」

神官姉「待って…」

魔王「え、どうしました? 神官姉さん」

神官姉「私も…行く!」

神官妹「ちょ! 姉さん何言い出すの!?」

神官姉「私も…魔王…ちゃんの…力に…なりたい…から」

神官妹「何言ってるの姉さん、これは魔族の問題何だから、私たちが行く必要は無いのよ!」

魔王「そ、そうですよ神官姉さん、それに貴女はか弱い女性の方なのですから…」アセアセ

神官姉「ふふ…心配…してくれて…ありが…と!」

神官姉「でも…私は…大丈夫…だから」

魔王「し、しかし…」

神官姉「絶対…行く」

魔王「…はぁ、分かりました、でも絶対に無理はしないでくださいね?」

神官姉「うん…ありがと…」ニコ

勇者(ちっ! あいつも来るのかよ…あいつ魔王に肩入れしてるからな~邪魔クセー…)

神官姉(勇者ちゃん…魔王ちゃんに…酷い事は…させない!)

神官妹「ね、姉さんが行くなら…私も」

神官妹(姉さんと勇者だけにするなんて…魔王に下手なことしないか気が気でないわ…)

魔王「はあ…分かりました、では皆さんご一緒に行きましょう」

一同「おー!」


続く

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