第5話 魔王「現実は厳しいです…」

魔王「あああのですね!」

神官妹「は?」

魔王「ぼぼぼくはにーに人間とまま魔族がっ!」

魔王「ととと共に、くく暮らせるよう、平和なくく国づづくりを!」

神官妹「ちょ、ちょっと;」

魔王「あ! 知ってます大昔に、神も魔族も人間も平和に暮らしていたと言う」

魔王「ユートピアって時代があったの」

魔王「僕はそんな世界に…」

勇者 (…イラ)

魔王「ででですからね」

勇者「うっさい」

魔王「え?」

勇者「うるせえって言ってるんだよ。この勘違いクソガキ!!」

魔王「ええええ!?!?」

魔王「ででも僕は人間と魔族がもっと仲良くなれるよう…」

勇者「黙れっ!」ビシッ(聖剣を向ける)

魔王「ひえっ!」ビクッ

勇者「黙って聞け…さもないと、その首と胴体がおさらばする事になるぞ…いいか?」

魔王「はははい!」

大臣「お、おい勇者、ちょっとやり過ぎ…」

勇者「いいかアタシは魔族の声が聞こえると」

勇者「耳の中にウジがはい回っているかってくらい耳障りだ」

魔王「え」

勇者「いいか、アタシは魔族の吐く息を嗅ぐと」

勇者「猛暑の中じっくり腐っていく死体の匂いを嗅ぐよりも、臭くて嫌だ」

魔王「ええ」

勇者「いいかアタシは魔族の姿が見えると」

勇者「細かい穴がびっしり無数についている物を見るよりも嫌だ」

魔王「何かよく分からないけど、何となく分かる」

勇者「アタシはそういった」

勇者「最高に耳障りで」

勇者「最高に臭く」

勇者「最高に醜くい」

勇者「生きている価値なんかミジンコも無い魔族が、現在進行形で生きている事実自体許せねえんだよ」

魔王「そ、そこまで汚物扱いですか…」

勇者「つまり…!」ダン!(机叩き)

魔王「ひっ…」ビクビク

勇者「本来なら魔族なんか、アタシの視界に入った瞬間殺してるところだけど」

勇者「この無条件降伏の件があったからこそ、お前はギリギリのところで生かされてるんだ」

勇者「そこら辺は勘違いするな」

勇者「お前はアホ見たいに、言われた事だけをやってれば良いんだよ」

勇者「分かったか、このスッタコ!」

魔王「で、でもそれじゃ…」

勇者「あああああん!?!?」

魔王「ひえええ!! ご、ごめんなさいー!」

勇者「分かったか?」

魔王「はい…」シュン

参謀「ふ…」

大臣「…(汗)」

神官姉(しゅんとしている魔王も可愛い…)

神官妹(やれやれ…どっちが魔王で勇者ですか…)

神官妹「勇者さん、言いすぎですよ?」

神官妹「こんな子供泣かしてどうするんですか」

勇者「ふん…!」プイ

魔王「ううう…」

魔王(勇者さん、やっぱり怖いです…)ガクブル。

神官妹「ともあれ失礼しました魔王様」

魔王「いえ…」

神官妹「それでは先ほどの話の続きですが」

魔王「はい?」

神官妹「…話したい事があったのですが、魔王様が話始めるので…」

魔王「え…あ! す、すみません」

神官妹「いえ」

神官姉(うっかり魔王様可愛い…)

大臣(やっとあの話か…)

大臣(正直、子供には無条件降伏より受け入れがたい話だろうが)

大臣 (さてどうなるか)

魔王「で、あの何でしょうか…?」

神官妹「はい、魔石採掘の譲渡の件で」

神官妹「最大の鉱脈となる魔界魔石鉱脈を引き渡してもらうのは必然となるのですが」

魔王「はあ」

神官妹「現在この地域を、魔王軍の敗残兵である」

神官妹「戦魔将軍の軍隊が立てこもり、抵抗運動を続けているせいで」

神官妹「魔石が採掘が出来ない常態になっています」

魔王「え…! 戦魔将軍が…?」

魔王(確か魔界一の古強者の戦士で、凄い堅物な魔族だったような)

魔王(しかし七魔将軍は倒されてしまったのでは無いのでしょうか?)

魔王(生き残りもいるのか…?)

魔王「参謀さん!」

参謀「はい、何で御座いましょう魔王様」

魔王「七魔将軍は倒されてしまったのでは無かったのですか?」

参謀「戦魔将軍は、勇者が魔界に来たときに」

参謀「前魔王様から、近辺の街の守護を言い渡され」

参謀「そちらに回っていたので」

参謀「直接魔王城に向かった勇者と相対する事がなく生き残りました」

勇者「ふん、運が良いやつだな」

魔王「そ、そうだったのですか」

参謀「いえ、細かく説明できなかった不手際をお許し下さいませ」

参謀「何分時間が無かったもので…」

魔王「いえ、それより1人でも魔族の皆さんが生き残ってていて良かったです」

参謀「…ぬか喜びになるかも知れませんが」

魔王「?」

参謀「妖魔将軍は、そこの勇者に拷問され確実に殺されましたが」

勇者「へっw」

参謀「他の魔将軍たちは、何人か生死不明の者もいますので」

参謀「もしかしたら他にも生きている者もいるかも知れません」

魔王「ほ、本当ですか、それは良かったです」

魔王「もう戦争は終わったのですから」

魔王「これ以上無駄な血は流したくありませんからね」

魔王「だから魔族の皆さんが少しでも生き残ってくれれば、僕は嬉しいです」

参謀「左様でございますか」

参謀「それは良き事かと思います」ニコ

魔王「はい!」

勇者「ば~か! ほとんどアタシが殺したからぬか喜び100%だっつーの!」

勇者「べ~~~」

魔王「…;」

勇者「ふん…それにこれを聞いて、生きてて良かったって思えるかな?」

魔王「え? それはどう言う…」

勇者「教えてやりなよ神官妹、このお花畑魔王様にな」

神官妹「…立て籠った旧魔王軍の残党に、投降する意思は見受けられません」

神官妹「よって勇者の力で、立て籠った旧魔王軍の残党を処理する事にしました」

魔王「え…しょ、処理って…」

神官妹「…こほん」

神官妹「殺して排除します」

魔王「!」

魔王「こ、殺す…って、そ…んなの」

神官妹「残念です」

神官妹「しかし説得するのは無理だと判断しましたので、この方法を取ることにしました」

魔王「そんな無理だって…まだ分からないじゃないですか…!」

神官妹「分かります」

神官妹「既に同じ魔族に説得をさせたところ」

神官妹「五回行かせて五回とも殺されました」

魔王「!」

神官妹「説得は無理です」

神官妹「これ以上は、ただ単に犠牲者を増やすだけになるだけかと」

神官妹(まあ…死ぬのは魔族だから、別に良いんですけどね)

魔王「そ、そんな」

魔王「何で戦争は終わったのに、同じ魔族同士で血を流さなきゃいけないんだ…」

神官妹「心中お察しします」

魔王「…」

魔王「それで、そんな話をして、僕にどうしろと言うのです」

神官妹「旧魔王軍討伐の許可を貴方に出していただきたいのです」

魔王「!」

魔王「な、何ですって…」

神官妹「新魔王である貴方が許可を出したと言う話なら」

神官妹「私たち人間が、立て籠る魔族を殺しても良いと言う正当な理由が出来」

神官妹「他の魔族たちの不満も最小限に抑える事が出来るのです」

神官妹「不満を押さえれば衝突も少なくなる」

神官妹「つまり戦争を起こさないようにするためにやる事です」

神官妹「協力して頂けますね?」

魔王「せ、戦争をしないためにって…」

魔王「それで誰かが殺されるなら」

魔王「それはもう戦争じゃ無いですか!」

魔王「そんな事僕は協力出来ませんよ!」

神官妹「…ふう」

神官妹「では無条件降伏の賠償額の一つである魔石採掘権の70%の譲渡はどうするですか?」

神官妹「あの魔石鉱脈が無いと、絶対に到達しない数字ですよ?」

魔王「そ、それは」

神官妹「まさか調印を結んだ当日に、約束を反故する気ですか?」

魔王「そ、そんな事はありません!」

勇者「じゃあどうするって言うんだ」ダン!

魔王「ひっ」

勇者「あの魔石鉱脈が無いと、現状無理だろ! どー考えてもさぁぁ!」

魔王「でも…その」

勇者「だから仲間…売っちゃえよ?」

魔王「!」

勇者(けっ…魔族は魔族らしく)

勇者(汚く裏切りあってれば良いんだよ)

勇者(それがてめーら臭い魔族にお似合い何だよ)

勇者「どー考えても、無条件降伏の条約項を守るにはさ」

勇者「あそこにいるゴミカス魔族をぶっ殺してさ?」

勇者「そこの魔石鉱脈を譲渡するしか無いじゃん?」

魔王「で、でも僕…」

勇者「ほらぁ…言って楽になっちゃいなよ」

勇者「一言いえば、アタシが直ぐにでもぶっ殺してやるからさ? ん?」

勇者「ほら言えよ…立て籠ってる魔族【殺して】きてってな?」ニヤァ

魔王「!」

魔王「ぼ、僕は…」


続く

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