第4話 魔王「無条件降伏の調印式が終わりました」

神官妹「こちらが求める戦後賠償と補償は」

神官妹「まず魔界全土の魔石採掘権の70%の譲渡」

神官妹「その採掘場所及び王国人が住むために指定した土地の譲渡」

神官妹「暫定的な期間での武器防具の鋳造の禁止」

神官妹「既に作られている武器防具も流通は禁止、発見次第王国が接収します」

神官妹「王国の許可無き魔族の魔法の使用及び研究の禁止」

神官妹「賠償金として金24000トンもしくはそれと等価値の資財」

神官妹「…以上が王国が求める、魔族の無条件降伏を受け入れるにあたっての」

神官妹「条約項、賠償・補償額です」

勇者(戦う力を完全に削いで、金も取る…)

勇者(さすがに徹底してるな)

勇者(しかも金24000トンって…w)

勇者(それってだいたい10年分の採掘量だろ…えげつなーw)

大臣(任せては見たものの…)

大臣(こんな直球に言って大丈夫なのだろうか…?)

大臣(ここで魔王がやっぱり無条件降伏を止めたら)

大臣(また戦争が再燃化するのでは無いだろうか?)

大臣(それはちょっと不味いぞ…)

神官姉(魔王可愛い…お持ち帰りしたい)

魔王「あ、はい大丈夫です…でもちょっと良いですか?」

大臣(む…やはり…強引過ぎたか?)

勇者(ん…流石にごねるか?)

勇者(まあ無理ないよねー)

神官姉(あのなよなよした口調が良い…)

神官妹「何か?」

魔王「えっとその…」

神官妹「…少々厳しい条件かと思いますが」

神官妹「私たちの国は10年と言う長きに渡って、魔族に蹂躙され国力を壊滅的に失いました」

神官妹「10年で失った国力は、10年分の賠償額と補償額で無ければ取り戻すことは出来ません」

神官妹「なので10年分に相当する物要求しました」

神官妹「それに何か不服でも?」

勇者(なるほどそれで10年分の金の採掘量って訳か…)

勇者(流石に反論された時の事を考えてるな、神官妹は)

大臣(喧嘩腰過ぎるので無いだろうか…何かハラハラするぞ…)

神官姉(魔王…! 魔王…! ハアハア…)

魔王「いえ…条件はそれで良いのてすが」

神官妹「はい? じゃあ一体何なんですか?」

魔王「はい、でもその前に、ちょっと参謀さんに確認したい事があるのですが」

魔王「聞いても良いですか?」

勇者(質問…? 一体何を…?)

神官妹「…その為の相談役として、同席を認めているので、ご自由にどうぞ」

魔王「はい、ありがとうございます」

魔王「えっと…参謀さん」

参謀「はい、何でございましょうか魔王様」

魔王「はい、今の魔界の皆さんの生活をするために」

魔王「必要な魔石はどのくらい必要なのですか?」

参謀「生活に必要な…ですか」

参謀「ふむ…ざっと簡単に計算して、採掘量の40%頂ければ」

参謀「生活レベルは落とさずに済むでしょう」

勇者(40%…? 70%じゃ無いのか…?)

魔王「40%…少なくないですか?」

参謀「いえ…そこの勇者様が、多くの魔族をぶっ殺してくれたおかげで」

参謀「今や魔族の魔口(人口)は半数以下)

参謀「1つの場所に集めて、暮らすのであれば」

参謀「40%あれば十分暮らせていけますよ魔王様」

魔王「なるほど…戦争で魔族も随分魔口を減らしていたのですね」

参謀「はい左様でございます」

勇者(ふん…なるほど、アタシが見たのは古い記録だったって事か)

勇者(しかし随分トゲのある言い方じゃねーか、あの参謀の野郎…)

勇者(何かやっぱり胡散臭いんだよな…あいつ)

勇者(あのガキを魔王に据えようって言い出し時から)

勇者(何か引っ掛かる物を感じてたんだよな…)

勇者(まあ実際、あいつの言ってた通り)

勇者(あのガキはゴミカスくらい、力も心も強くなかったけどな)

勇者(しかしあのガキを封印していたのは、とつてもなく強力な物かつ)

勇者(相手の力を効率よく奪う)

勇者(魔法技術にかなり特化した封印だった)

勇者(それは前魔王を封印してもお釣りが来るくらいの、そんな強力な封印だった)

勇者(何故前魔王は、あんな何も力もなく気弱なガキ一人に、あんな強力な封印を…)

勇者(…まあいいか、潜在能力を見通したって)

勇者(あのガキには魔王以上)

勇者(それ以前に、参謀すら超える魔力どころか)

勇者(本当にガキ1人分くらい魔力しか、感じねーしな)

勇者(だから別段気にする必要も無いか…)

勇者(アタシの敵に対する能力を視る魔法を誤魔化すには)

勇者(アタシより遥かに上の技術力を持った)

勇者(高位魔法しかありえねーんだからな)

勇者(前魔王すら瞬殺出来たアタシの力を超える奴なんて)

勇者(もうこの世にはいるはずねーし?)

勇者(まあ…杞憂だよな。うん)

勇者(それよりも40%って70%取られたら、やっぱり足りない量だよな…)

勇者(あのガキ、それでごねるって感じですか)

勇者(ふん…だったら自分の立場を分からせるために、ちっとしめてやろうかね…)

勇者(あの参謀の野郎のせいでイライラしてきたしな)

勇者 (うん…よし、しめよう)

勇者(…さあ、ちょっとでもごねて見な)

勇者(とりあえず頭に生えてる、そのだっさい角でも叩き切ってビビらせてやるからよ)

勇者(この聖剣でね…くくく)

魔王「じゃあ…」

勇者(…! さあごねろ…)ニヤリ

魔王「10%位で足りますね」

勇者「は?」

大臣「何…?」

神官姉(100%ラブ魔王!)

神官妹「…どう言う事ですか?」

魔王「はい、たぶん10%あれば大丈夫なので」

魔王「残り20%の魔石も、どうぞ王国復興にお使いくださいませ」

神官妹「…」

神官妹「本当に…」

魔王「え?」

神官妹「い、いえ何でもありません」

神官妹「そちらがそれで良いなら、こちらとしては特に言う事はありません」

魔王「はい、大丈夫です」

魔王「大丈夫ですよね! 参謀さん」

参謀「はい、魔王様のお好きなようにされたらよろしいかと思います」

勇者 (…)

勇者(ちっ…やっぱりただのアホか…)

勇者(本当に何にも解ってないんだな…)

勇者(はあ…何かヤル気無くした…)

神官妹「では内容がよろしければ、調印をお願いします」

魔王「は、はい…〉

魔王「えっとここに魔界の金印を押せば良いんですよね…」

魔王「えっと、えっと、あ! 金印忘れました!」

勇者「…!」ズル

参謀「ご安心くださいませ魔王様」

参謀「ちゃんと私めが持ってきておりますので」

魔王「あ、ありがとうございます参謀さん!」

参謀「いえいえ」ニコ

勇者(…人間側の主張は通ったから良いけど)

勇者(何なんだよ、この緊張感が無い調印式は…)

神官姉(ドジッ子属性ありの魔王たん可愛い! 可愛い!)

神官妹「大臣様も調印を…」

大臣「うむ…」

神官妹「ここでございます」ぎゅ(手握りー。

大臣「う、うむ、ここか?」

神官妹「あ…違います。ここです」

大臣「こ、ここか?」

神官妹「あ、すみませんこっちでした」

大臣「ん? ここはさっき違うと言って無かったか?」

神官妹「あ、やっぱりこちらでした///」大臣の手ニギニギ。

大臣「おい…;」

勇者(どいつもこいつ…真面目にやれよ…;)

…。

……。

………。

神官妹「では無条件降伏の調印式はこれで終わりになります」

魔王「ふう~緊張した」

神官妹「お疲れ様です」

魔王(これで終わりか…)

魔王(何か…賠償とか補償ばかりで)

魔王(人間と魔族)

魔王(これからどうやって平和に付き合っていくかとか)

魔王(全然話してないな…)

魔王(うーん、これで終わりで良いのかな~?)

魔王(早く人間と魔族が仲良くなれるよう)

魔王(少しそう言う話もした方が良いんじゃ無いでしょうか?)

魔王(そうだよね…そっちの方が、きっと早く仲良くなれるよね)

魔王(よーし…)

神官妹「それでは…」

魔王「あ、あの!」

神官妹「はい?」

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