「有」が先か「無」が先か

① 「肝心のところは何も選べてないが」


目の前のあなたは私 私はあなた

右の彼は左の彼女

そういうことになる

すべてはたまたま、偶然、巡り合わせ

親は選べない この一言に尽きる

「今」に居るのもべつに選んだわけじゃない

百年前がよかったと、千年後にしてくれと

希望を述べたところでどうなるもんじゃない

しかし

自分が自分であることが

自分の性能がこの程度であることが、情けなくも歯がゆいが

「誰でも望みの人に入れ替われるから希望を述べよ」

と言われれば、目移りした後、特にないことに気づく





② 「給料の決め方」


役職が上がっても給料は変わらない。社長も平社員もいっしょ。

役職にある者が役職手当を取らなければ、その貢献度は高いと表彰状をあげればいい。

ただし子供ができたら一人分、二人分と、その分だけ多くしてあげる。


政治家はもちろん無給

どの候補者も選挙のとき、たしか

「私利私欲はこれっぽちもありません。皆様方(市民)(県民)(国民)の利益のために立候補しました」

という意味のことを演説でぶっているではありませんか。

 だいたいが元々金持ちなんだから、その蓄えを減らしながら

やるのが筋です。

 でもまだまだ、特権は残されている。ただのグリーン車に乗りたければ乗ればいいし

不倫もまあ、好きなだけすればいい。

人のいい良民は大目にみている。





③ 世の中には何一つとして無駄なものはない、という意見をどこかで聞いた気がする。

そう言われれば、そうかも知れないとうっかりうなずく。

反対に無駄なものだらけではないかという目で世間を眺め渡してみると。

むなしさ百万馬力

ほぼすべてが虚しさで覆い尽くされていることに気づく。





④ 子供に「結婚してなにするの?」きかれて答えようがなかったという話をラジオで聞いた。何するの、ときかれて答えられないことはいくらでもある。





⑤ メガネは人間が見なければ、つまり使わなければ何なのか。

動物が老眼になったら老眼鏡が有効なんだろうか





⑥ エコーロケーション

目の見えない人はそれ以外の感覚が鋭くなる。

聴力を鍛えるとエコーつまりこだまをきいて、その音色でその物の材質および形状を想像し、認識し、つまり突き止めて障害物であれば、それを避けるなりの対処をする。

そうやって目的地にたどり着く。





⑦ NHKのニュース

 74歳の男が近所の畑のほうれん草、20株、買うと1300円分を盗んで逮捕されたと。画面に縦横きっちりと区画を区切って抜きとられた後の20株分の土の部分が映し出されていた。持ち主が現場を押さえて注意すると男が鎌を振り上げたのであわてて逃げ、通報したという。たった1300円分という、量というか額が可笑しい。

持ち主のコメントがあったが、温和な様子のこの持ち主ならたぶん鎌さえ振り上げなければ見逃していたふんいきがあった。





⑧ 詩

雪を見ていた

雪が落ちてきたとみていたら

舞い上がった

まだ舞い上がった

そんなこともあるのかと見ていたら

まだ上がった

山の緑をすぎたので

空の白とまじりあって わからなくなった





⑨ 漢詩


「1日快活ならば 千年にあたる」

というのがあるらしい

だれかの注釈を得たいとすぐ思うが、そうせずに、これは

じぶんひとりであれこれに解釈してみたい気がする。





⑩ 「卵が先か鶏が先か」という問いがある。

ことわざでも何でもない言葉なのだがよく耳にした言葉だ。

これを改めて本気で考えてみると、どうだろう。

難問である。

難問というより、分からない。

というより分かるわけがない。

どういう趣旨でできた言葉なのか知らないが、これをこの世のあれこれの事象に

当てはめてみれば、この言葉をいくらでも意味深長に使えるような気がする。


 その例はいくらでも挙げることはできようが、もう事をぐっと絞って

「有」が先か「無」が先かを考察してみる。

宇宙についてである。

どうやら今の科学界においては「無」が先でその「無」と押しのけて「有」が誕生したというのが順序らしい。常識らしい。

あらゆる観測データが疑う余地なくそのことを指し示しているということになっている。

 しかし、おかしくないか。

人間には「無」なるものを感知できるのか。

できないはずだ。

できないのに「卵」と「鶏」のごとくに後、先を決めている。

分からないまでも卵と鶏の場合は現物どうしを較べている。

「有」と「無」の場合は「無」というまったく人間の与り知らない架空のものを「有」と較べているのだ。

そして、「無」が先だと。 

 

観測ではまだ感知できていないがダークマターというものがあって実はこの宇宙の体積の大部分を占めているとのことだ。観測はまだでもまちがいなく「有る」のは理論的に決定的とされている。

 しかし、それはそうだとしても、マター(物質)なのだから、あくまで「有」のなかでのできごとである。



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