人工知能×麻雀

無糖

第1話 麻雀との出会い

私、朝倉すずめは、今まで麻雀というものを知らなかった。

もちろん、そういうゲームがあるということは知っていたのだが、難しそうだという理由で今まで触れてこなかったのだ。

私が知っている麻雀の知識といえば、国士無双くらいであった。(それも、名前しか知らない。)


私の友達に、熊谷というボードゲーム好きがいる。

熊谷のスマホには、オセロ・将棋・麻雀・花札といったアプリがたくさん入っており、暇さえあればそのどれかで遊んでいるようなやつだ。

私もボードゲームは好きなので、よく熊谷と対戦するのだが、全くと言っていいほどに勝てない。

オセロは善戦することもあるのだが、将棋に至ってはハンデを貰ったところで勝てる気配すらないのだ。(熊谷は高校時代将棋部であった。)


そんな熊谷とある日ご飯に行ったのだが、そこで麻雀の話になった。

ルールを全く知らない、と私が言うと、熊谷はスマホを取り出してアプリを開き、一から説明してくれた。


簡単に言うと、麻雀とは手札が十四枚のポーカーのようなものらしい。

順番に一枚捨てて、一枚とって、を繰り返し、強い手札にするゲームのようだ。


ポーカーと違うのは、手札の揃え方の種類が圧倒的に多いこと。

ご飯を食べながら説明を受けたが、もうすでにほとんど覚えていない。


順子シュンツというのはストレート、刻子コーツというのはスリーカードのようなものだということはかろうじて覚えている。

それ以外にも大量の役(ボーナスの発生する揃え方)を教えてもらったが、遥か記憶の彼方である。


どうして今まで麻雀に触れてこなかった私が突然興味を持ったのかというと、それは私が人工知能について勉強しはじめたからである。


チェスの世界チャンピオンが人工知能『ディープブルー』に負けてから二十年近くがたった現在、将棋の世界、そして最も困難といわれた囲碁の世界でも、人工知能が人類に勝利した。


人類が人工知能に勝つことは、もうないのだろうか。


決してそんなことはない。

少なくとも今現在人工知能が強いのは、運要素の一切ないゲームに限られている。(『二人零和有限確定完全情報ゲーム』と呼ばれる、オセロ・囲碁・将棋など)


人工知能は、『二人零和有限確定完全情報ゲーム』に関してはとても強いが、それ以外ではまだそこまで強くなっていないのだ。


もちろん、麻雀は『二人零和有限確定完全情報ゲーム』ではない。

つまり、まだ麻雀の世界では、人工知能よりも人類のほうが強いのだ。



私は、麻雀の世界チャンピオンを倒すことを目標に、人工知能を作りはじめた。

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人工知能×麻雀 無糖 @oishii_mutoh

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