#13




5

「じゃあアタシどうすればいいわけ?」

「……姉さん!」

「言うな!まだ認めたわけじゃないんだから。心の中は猜疑心で満ち満ちしてんだから。

で、なに?アンタはどこでそんな事件を知ったわけ?もしかしてアタシが刺殺されるとこを

目撃したとか?」

「それは姉さんが」

「だからぁ」

「あ、す、すいません七香サンが教えてくれたんです」

「…は?それはどーゆー…」

「明後日」

「ふぉ?」

「まず最初に、明後日の七香サンに起きた悲劇があったんです。」

「はぁ」

「七香サンは死んでしまう。やっと知り合えたばかりの姉の遺体にボクはずっと姉さん、

いや、七香サンの名前を呼び続ける。

その時声がするんです。死んだばかりの七香サンの声が。

ボクは、あ、いえ、明後日のボクは幻聴かと思う。

幻聴かと思いきやその声と明後日のボクは、やり取りをしている。

しかしどうやらその会話の中で分かってくることは七香サンは死んでないというのです。

そして詳しく話し込んでるうちに判明してきたのはその七香サンは、まだ死んでいない

『明日(一日前)の七香サン』だということ」

「ほぉ」

「その明後日のボクは明日の七香さんにその事を説明したんです。今現在ボクが七香サンに

してるようなやり取りで。」

「まるでSFファンタジーね」

「明日の七香さんは明後日のボクからの説得をなんとか信じてくれた…。

けど…けれど」

「アタシが信じた?マジで?うそぉ?…で、けれど?」

「七香サンが死ぬきっかけとなった恋人さんの殺意…それは一週間前から芽生えてて、それを

ぬぐうためにボクらは過去にさかのぼってるんです。だから、明日の七香さんは同時間上のボクに

全てを話してくれた。そしてボクから昨日、つまり今のアナタへ話しかけてるんです」

「ややこしいな」

「え?何がです?」

「そのSF理論でモノ言わせてもらうけど、いちいちアンタを仲介しなきゃいけない理由はなに?

明日のアンタしか過去に話せないの?

アタシが過去には話せないの?アタシ自身が言ってくればいいじゃない。その方が楽なのに」

「いや、無理だと思いますよ、だけど」

「無理めなの?」

「だけど七香サンは未来に話せるんですから。」

「まあ…そうか、そうなるのかな」

「だから、ボクは過去への送信ができて七香サンは未来からの受信側ということです」

「つまり、過去へ情報持ってくには、今のアタシが現在のジョーくんにこの出来事を一から

説明しなきゃいけないわけだ」

「そういうことです。ボクはこの能力を知らなかったんですから」

「ふぇ~大変…」

「だから、今すぐにでも!今の姉さ、七香サンと同じ時間に生きるボクにこの事を伝え…」

「ごめんねジョーくん」

「へぇ?」

「あたし、そんなことメンドクサイ」

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