#11
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「ふ、ふたふた…」
「…あ、あたふたしてます?」
「ふたこぶらくだの話にしない?」
「そ、そそそんな話をしてる場合じゃないんです」
「そ、そうね…って、何言ってやがるのよ。こーゆー大事な話、なんで会った時に話さない
のよ?衝撃の告白をいとも簡単にこんな…」
「い、いえ告白する気はなかったんです。許して下さいっ」
「はぇ?ち、ちがうのよジョーくん、アタシが言いたいのは、こう、なんだろ、
涙の再会スペシャルとかでさあ……」
「ボクらが双児だったから…アナタの弟に相応しく思えないから、だから、ボクはあなたを
一目見れたらそれで良かった。こんな出来損ない、七香サンの弟として堂々と名乗り出ることが
出来なかった…けど、けれど」
「………」
「姉さんが、明日の七香サンが言ってくれたんだ。…『頼んだぞ弟よ』って」
「……ええっと」
「認めてくれたんです。あ、いえ、認めてくれるんです、明日の七香サンが」
「えーっと……、芦田之ナノカって人、誰?アンタのオバサン?」
「だから明日の、七香サンです」
「明日の、…アタシ?」
「あ、いや…厳密に言うとボクにとっての明日の七香サンだから、今ボクが話しかけてる
七香サンにとっては明後日の七香サン、ですね」
「あの、ジョーくん」
「は、はい」
「全然意味が分からない」
「そ、そう思われても仕方ないかもしれないです、で、でも」
「だからこの話はまた明日にでもしよ、アタシ仕事上がりで疲れてんだ」
「ですから、明日じゃ、明日じゃダメなんです」
「だから何でよ、それ、さっきも聞いたわよ」
「だ、……だ、だって…」
「訳が分からないけどさ、明日のアタシが言ったことは明日のアタシに聞いて。へばな。」
「まっ、真面目に聞いて下さい!」
「も~…ムキになるようなこと?」
「疑問に思わないんですかっ?問いただしてくれたりしないんですか?
意味不明だからちゃんと説明して欲しいとか思わないんですか?」
「思うよ。でもね、疲れてんの」
「だって、七香サンは明日っ……!」
「はい~…?」
「死んじゃうんですよ!!」
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