#07

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『信田さん、信田さーん』

「だ、誰?」

「お、大家だ、まずい…」

「な、何しにきたのよ」

「当分家賃払ってないからな、取り立てに来やがった…」

「……」

「どうしよう」

『コンコン、コンコン!』

「ああ、くそ。あの大家のことだから裏手に回って窓から覗きこむだろう」

「でもアイツの死体が」

「いや、待てよ」

「どしたの?」

「ちょうどいいじゃないか。俺が死んだコトの目撃者にさせるんだよ」

「なるほど」

「そうと決まればコイツを部屋の中央に移動させて…」

「ま、待って!」

「あ?」

「ダメよ、死体に触っちゃ」

「でもそうしねえと…、この位置からじゃ窓から全く確認出来ねえぜ」

「でもね、死体からアンタの指紋がでてきたら照合で別人だってコトがバレちゃう…」

「た、確かに」


『信田サーン!いないのー!?』


「移動させるのは、ウン、やめた方がいいわ。なるべく自殺に見せるようにしたのに」

「じゃあどうすんだよ!?」

「いい案があるわ」

「それ、そう言えばこないだ雑貨屋で買ってた…」

「そう。万が一の時のために用意してた『ビックリナイフ』」

「万が一?どういう意味だ?」

「さっきコイツを殺る際にナイフを奪われたら刺されるかもしれなかったでしょ?その時にこれで仮自殺してしまえば殺意を抑えられると思って」

「用意周到だな」

「刺したら刃が引っ込んで、柄の部分に仕込んだビニールが破裂して絵の具が飛び出す仕様よ」


『信田サーン、彼女来てるんでしょ、居るの分かってるんですよー』


「やばい、裏手に回ってきた。早く!アタシはトイレに隠れてるから…」

「おい…!刺す瞬間を目撃させた方がいいのか?それとも死んでるところを…おいって!」

『信田サーン』

「ど、どれくらいの絵の具がでるんだこれ…

く、くそ…やるしかねえか…

よく見とけよ大家め…

オレは今から死ぬぞ…」

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