第2話

「ここが家です」


メアリーの一言と共にヴィランが一斉に押し寄せてきた。


「またかよ……」


おいおい、とタオが呟く。


「あとちょっとでご飯にありつけるのにぃ~……!!」


レイナが拳を握り締めて、怒りに震える。


「流石姉御、あいかわらず食い意地張ってます」


シェインはレイナの食い意地におぉ~と言って感心しながら、戦闘態勢に入る。


「メアリーはカーミラを守って」


エクスはメアリーに指示を出して、戦闘態勢を整える。

エクス達は『導きの栞』を手にし、すべてのヒーローの魂とコネクトできる『ワイルドの紋章』を取り出した。



ーーーーーーーーーー






エクス達はヴィランを倒し、カーミラとメアリーに近寄った。


「吸血鬼と出会う前に家に入りましょう」


メアリーのその言葉に一同は同意して、家に入った。

真っ白な部屋、物がほとんどない。カーミラはソファーに腰かけた。


「ところで、何でカーミラは吸血鬼が出るって知ってるのにあんな所にいたの?」



「レイナ、口に入ってるもの、まず食べよう」


レイナがメアリーが作ったものを食べながら、カーミラに気になったことを聞く。

吸血鬼が出る、この町で一人で出歩くのは危険なのにカーミラは一人だった。

カーミラは悲しそうに俯く。


「私の夫、伯爵のお墓参りの帰りだったの。伯爵は一度も私を呼んだことも見たこともないけど、一人ぼっちの私を拾ってくれたことには感謝してるの。私は運命の書通り、吸血鬼になるのかな……」


カーミラは遠くを見つめながら今にも泣きだしそうな笑顔で寂しそうに微笑んだ。


「それがカーミラの運命?」


エクスがカーミラに聞いた。


「そうだよ。愛されることなく孤独になって、吸血鬼に襲われて私も吸血鬼になるの」



「大丈夫です!!このメアリー、命をかけてカーミラ様をお守りします!!」


真剣な表情でメアリーは大声で叫んだ。


「ありがと、メアリー。でもメアリーを襲いたくないの。私から逃げて」



「わかりました……。しかし、カーミラ様が吸血鬼になるその日までどうかご一緒に居させてください」



「ありがとう」



「ちょっと……、あれでいいの?」


カーミラとメアリーの会話にエクスが小さい声でレイナに聞く。


「私たちが口挟める問題でもないでしょ。それに、吸血鬼になることがカーミラの運命なら尚更……」



「孤独なはずなのに、なんでメアリーがカーミラの近くにいるんだろう」



「カオステラーの影響かな、やっぱり」


レイナの小声に反応したエクスも首をかしげる。


「吸血鬼ってずっと町にいんのか?」


部屋の中が静まり返った時、タオがメアリーとカーミラに聞く。


「いえ。普段は町を離れ、近くの森に住んでいると聞いてるわ」


タオの言葉に答えたのはカーミラだった。


「明日でも行こうか、その森へ」


そう呟いたのはエクスだった。


「気をつけてください。あの森は何が潜んでいるのかわかりませんから」


エクスの言葉に反応したのはメアリー。

何が?と聞く前にメアリーは、お部屋に案内します、と話を変える。


エクス達は次の日、吸血鬼が居る森へ行くことを決めた。







同時刻、また一人女性が吸血鬼の餌食となっていく。


「早く、私を殺しておくれ。カーミラを襲う前に」


吸血鬼が頬に涙を流す。

吸血鬼の傍には今さっきまで生きていたと思えない青白い顔色をした女性が乱雑に倒れていた。


「好きだよ、カーミラ。殺したくなるほど」








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