Phase06-01「鍛錬」
「はっはっはっ…」
乾健太郎は汗を流していた。アリトリアでも人並みにはトレーニングをしていたつもりだが、ここまでストイックなものではなかった。
「さ、あと一キロだ。少し速いペースで行こう」
金髪の青年がロードランナーの速度を上げる。健太郎にはこの笑顔が悪魔の形相に見えてしまった。
「ランスのパルスフィールドは防御だけではなく、機体に掛かる負荷を軽減させるための装甲でもあるんだ。とはいえパイロットには相応の負荷がかかる。一般的な戦闘機でかかる負荷は6グラビティ程度だけど、ランスの最高時速時は10を超えてくる。パイロットスーツや機体による保護で軽減されても8グラビティはかかる計算だ。それに耐えるためには手っ取り早く体力をつけるしかないんだよ」
笑顔で淡々と語る。ジャック・獅堂は祖父を日本人に持つ日系3世だ。だが彼にその面影はない。遺伝の段階で母方が強かったのだろう。
『諦めたほうがいいぞー。こいつ同僚からも恐れられるほどストイックだから。頭おかしいんだこいつ』
「え、でもこれくらいしないと体力つかないよ?」
『いや、そういう事じゃないんだけどな…』
レイラが後半を濁しながら言った。インヴェルノは当初、旧キルギス経由でヨーロッパに抜ける予定だった。だがそちらの方向へアトゥム軍の艦隊が進んだとなればそちらに舵を取ることはできない。そのため進路を変更して、インドに来ていた。そしてm今はインドで補給中だ。艦長はリサを連れて出かけて行った。
ここに来るまでの数日、健太郎はジャックの指導でトレーニングをしている。理由は彼の言ったとおりだ。アリアは戦闘用データのアップデートのため、トレーニングの間はマイクにあずけてある。
「おつかれさま。休憩したら腕立て腹筋ね」
ロードランナーの前で倒れこむ健太郎の悪夢はまだ終わっりそうにない。
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