第7話 聖域



 海にいたはずのアスウェルは知らない場所に立っていた。


 レミィの頭から落下し、引き波にさらわれていったネコモドキを追いかけるレミィ。

 仕方なくアスウェルが追いかけたところまでは覚えている。


 それで、気が付いたら別の場所に倒れていた。


 音のない場所だった。

 白い柱が己の左右に、等間隔に並んで前後へ続いている。

 足元の床は淡い青の燐光を発しているようだ。


 神殿の様な見た目の場所を進んでいくと、景色が途切れ、庭園に出た。

 草木が生い茂り、花が咲き乱れ、先に行った所には蔓を建材に巻きつけた休憩所があった。


 進んでいくと足元には水路がある。


「あ、アスウェルさん!」


 そこで水路を泳ぐ魚を眺めていたレミィが、こちらに気付いて立ち上がった。


「ここはどこだ」

「聖域です」


 聖域。

 この世界の神が住まう、天井の楽園と呼ばれる所だ。

 アスウェルは状況を考えて納得した。


「死んだか」

「簡単に死んだことにしないでください」


 天に召されたたわけではないらしい。


「アスウェルさん、ムラネコさん見ませんでしたか」


 周囲を見舞わすレミィの質問に、アスウェルは視線を向けて答えた。


「にゃーっ! にゃーっ!」


 水路に落ちて流されてくるネコモドキがそこにいた。


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