第3話 懇親会
この屋敷の使用人は馴れ馴れしすぎる。
屋敷に来て暫くの月日が経過した頃、アスウェルはそう思った。
夜、屋敷の一室にて使用人たちが集まって、アスウェルの懇親会が開かれた。
「レン、こっちに飲み物持て来ってくれよ」
「アレスが、取っ組み合いでぶっ倒れたぞ、誰か手当しろよ!」
「コニー、この包帯あっちに持っててあげて」
ゲストそっちのけで盛り上がる室内。
アスウェルは部屋の隅で酒を飲んで時間を潰していた。
それだけならばともかく、
懇親会を企画した側に、
「アスウェルさん、この子お願いします」
「ふふふー……、アスウェルさんー。……すぴー」
酔いつぶれた檸檬色の髪をした使用人の面倒を任される始末だ。
もはや馴れ馴れしい以前の問題だろう。
苛立ったので、アスウェルはレミィの赤らんだ頬や鼻をつまんだりして時間を潰した。
「うー……」
騒がしい連中だが、未成年に酒を飲ませるような者はこの場にはいない。
性格が悪くない連中の集まりだとう所がまだこの場の救いだった。
レミィがこんな風になっているのは空気に寄ったか間違えて飲んだかの二択のはずだ。
アスウェルの見立てによると恐らく……。
「ごちそうさま……でした……、すー」
誤飲の方だろう。
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