喫茶店
「どうです家の犬、可愛いでしょう?」
喫茶店ではいつものように、愛犬家たちの犬自慢大会が行われている。
私はこと犬が好きな訳では無いが、愛犬家たち独特のウィットに富んだ話し方が好きでよくこの喫茶店に訪れる。
今も私は、目の前のキャットフードをいくらか摘まみながら彼らの話に耳を傾けている。
「でも家の犬は、ムカデより脚が多いですよ。」
「家のはカラスより羽が多いですよ?」
「前から言ってるだろ、家のなんか雀より羽が多いんだぜ。」
ついに彼女が出てきた。確か、村田という女。彼女の犬は、雀より羽が多いらしい。見たことはない。だが彼女の犬よりすごい犬はそうそう居ないだろうということは私にも分かる。何せ雀より羽が多いのだから、カラスや椋鳥、まして鴻鵠などでは歯が立たないだろう。
だから彼女が出てくると、ついに誰も言い返せずに自慢大会は終わってしまう。
いつも通りの展開だ。非常に楽しい時間だった。
自慢大会が終わると同時に喫茶店を出ると、野良犬が歩いているのが見えた。
私も、犬を飼ってみようか。
いきなり犬を飼うのは気が引けたので、とりあえずそこにいた蜘蛛を掴まえた。鳥籠は持っていないので、仕方なく近くの公園へと向かい、ジャングルジムの中に蜘蛛を放った。籠を買うまでの間はここで蜘蛛を買うことにしよう。
私はコンビニで買ったあんパンをかじりながら、蜘蛛と共にジャングルジムで夜が開けるのを待った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます