053「 妖精さんの素敵なお嫁さん」4章おしまい

屋敷の中で、シルバーは、エルフィンの手料理を食べて、のんびりゆっくり過ごした。

そうやって時間を潰していると――村の外が騒がしい。


「プラチナ様が帰ってきただぁー!」

「返り討ちにあったそうですだぁー!!」

「わがらないよぉぉぉ!!数が多い人間と戦争なんてわがらないぃぃぃぃ!!」

「やっぱり人間との戦争はやるべきじゃなかっただべぇー!」


民衆の叫びを聴いて、不安になったシルバーは席から立ち上がる。

プラチナが負けた?返り討ち?

急いで窓から飛び降りて、空を飛翔する。

地上を歩く骸骨達の群れの中心に、一際目立つ小さな女の子がいる。

プラチナだ。爆風に巻き込まれたせいで、黒いドレスがボロボロで、銀髪が黒く煤けている。

他の亜人達も裸同然の格好だった。

ぶっちゃけ、戦争に敗北した軍勢にしか見えない。民衆の反応が悪いのは、きっと、そのせいだろう。


『妖精さんのせいでwww勝ち戦なのに負け戦に見える件wwww』

『でも、傷は全部治っているお……亜人の治癒能力が化物だお……』


嫁が無事だったことに安心して、空を降下するシルバー。一直線に愛しいプラチナがいる場所へと進み、一気に、その小さな体を強く抱きしめた。

柔らかくて、硝煙の匂いがする。その感覚にシルバーの心は満腹になった。


「おかえりプラチナ」


「あ、はい。

ただいま、シルバー様?

あれ?今日は積極的?」プラチナが少し困惑しているように見えた。


『ひでぇぇぇぇぇ!!!?

非日常から日常に戻るシーンがひでぇぇぇぇ!!』

『普通、ヒロインが、お帰りなさいって言う場面なのに逆wwwwww』

『妖精さんの機動力が高すぎてwwww帰還イベントがグダグダになってるwwwww』


小さな体を、ひたすらひたすら抱きしめて、顔と顔をスリスリして、シルバーは自分が、今、生きている事を確かめる。

世界の真実や、豚人間の惑星破壊級の化物っぷりに、悩まされる一日で大変だったが、腕の中の銀髪ロリのためならば、まだまだ働けそうだ。

もう、我慢する必要はない。父親になる覚悟はもう決まった。

人生は決して長くない。思ったように生きないと……きっと、後悔する。


「プラチナ、言いたい事があるんだ」


「な、なんでしょうか?」


『プラチナたんが怖がっているぞwwww』

『そりゃ味方ごと吹き飛ばしたらwwwそうなるわなwwww』


「もっと、たくさんっ!たくさんっ!イチャイチャしよう!

そんで熱い青春を過ごそう!

俺、二度とっ!後悔したくないんだ!」


『世界が何時、ぶっ壊れるか分からないから、刹那的に生きようとしているショタ妖精でござる』

『何時、死んでも良いように全力で人生を楽しむ気だお……』

『駄目だ、このショタ……目先の利益しか考えてない……』


「あ、はい、シルバー様?

……えと、それじゃ、今からベットで子作りします?」


「うん……え?」


「え、熱い青春って、色々と熱いのを中に出すって意味じゃ?

もしかして……野外でするのが趣味だったりします?」


『妖精さんwwww脱童貞シーンが全然ロマンチックじゃないwwwww』

『普通wwwwもっと盛り上がった場面でやるだろwwwwwラノベ的に考えてwwww』

『世界の真実を知った後に、下半身の欲求に従うなよwwww』


「よし……ベッドで子作りしよう!」


『人は……命の危機が迫ると、子孫を残したくなるらしい』

『妖精さんがいる世界がぶっ壊れたらwwww子孫も死ぬだろwwww』

『子作りの前に、世界の危機を解決するのが普通の主人公だろwwwこらwwww』


ちょうど、今の時刻は、太陽が地平線の彼方へと落ちる時刻だ。

世間的に子作りする時間である。


『よく考えたら太陽が二つもあるぞwwwww』

『上と下の両方に太陽があるとかwwwwこの世界どうなってるのwwww』


シルバーはプラチナと一緒に、屋敷へと入っていく。

目的先は、もちろん寝室だ。超巨大ベッドがある豪華な部屋だ。

夫婦らしい脱衣イベントの後、裸になった二人はベットの上で激しく舌と舌を絡めて――合体する。

盛り上がった二人の間には、衣服なんて要らない。

シルバーのゾウさんと、銀髪ロリの体があれば、もう十分過ぎた。


「んっ……はぁ……僕、初めてですから優しくしてくださいね?」


『なんで画面が真っ暗なのぉぉぉぉ!?!』

『動画さん仕事しすぎwwwwwプラチナたんが快楽で喘ぐ姿が見れないでしょwwww』

『リア充爆発しろぉぉぉぉ!!!』

『どうやったら、この真っ暗な画面が取れるのおおぉぉぉぉ!?!!』

『スッキリー場面が見れないよぉぉぉ!!!』

『わがらないぃぃぃぃぃぃ!!』


銀髪ロリの体を思う存分弄び、スッキリーして脱童貞して、シルバーは思った。

ネットのお前ら、五月蝿すぎる。

子作りしている最中くらい黙ってくれと。







4章 おしまい




エルフィン「あ、あの、私が作った料理は?」


見事に飯は冷めたのだった。



【内政チート】「栄養豊富なマヨネーズを作って、産業チートする!」20世紀ネタ

https://suliruku.blogspot.jp/2016/06/20_8.html

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