050「 妖精さん、リアルスーパーサイ●人を屠殺する」
ここ、最近の戦闘で、シルバーは思った事がある。
豚人間の知能は、あまりにも高度すぎる。
戦闘しながら超高速で学習し、どんどん強くなるという化物だ。主人公補正を持っているとしか思えない超人だ。
爆撃されれば防御の仕方を覚えるし、『夢幻』という常軌を逸した能力を制御できるのは、高機能な脳味噌のおかげ。
この化物と、正面切って、まともに戦う事そのものが下策中の下策だ。
「ブ、ブヒィ?」
しかし、知らない事は、全く知らないという弱点がある。
惑星から離れれば離れるほど、圧力が弱まり、空気が薄くなる知識を持ち合わせていない。
人間(ハムスターマン)だったら知っているかもしれないが、豚人間になってしまったせいで、それまで使っていた脳がなくなっているから、知識の伝達は極わずか。
だからこそ――ショタ妖精を追いかけて、ホイホイっと超上空へと来てしまった。
高度10万m先は宇宙空間。
今の高度は約5万m。高機能な脳味噌を養える酸素は……ここにはない。
シルバーみたいに、細胞が機械化してない限り、確実に死ぬ。
さすがのショタ妖精も「豚人間の細胞も機械化されているんじゃ?」と疑念を抱いたが、どうやら豚人間の細胞は、機械ではないようだ。
「ぶ……ひ……ぃ……」
豚人間は意識をシャットアウトさせて、空から落ちた。脳の機能に致命傷を負った以上、再起不可能だ。
シルバーは、真っ裸の格好で、右手を空に掲げ、勝利を宣言する。
顔が羞恥心で真っ赤だ。
「か、金!努力っ!勝利!」
『こらwwww俺らの金だから友情だろwwww』
『妖精さんっ!俺らも活躍したよね!?』
『合計200万円くらい寄付したのに、この扱い!?』
「よく考えたら……あんなに高価なスクラップを、質量兵器代わりに使わなくても良かったかなぁーと思ったり。
亜人が住む集落に落ちてないといいなぁ……」
『ひでぇwwww』
『人類の英知の結晶を使い捨てにしてひでぇwwww』
「いや……どの物品も、解体業者に頼んだ方が良いくらいボロボロの廃品だったし、資源とか、質量兵器として使うぐらいしか価値を見い出せないだろ……ん?」
『どうした、妖精さん?』
『全裸の妖精さん、可愛いお』
シルバーの視線の先には――惑星の端っこがあった。
真っ暗で、超巨大な崖が広がっている。
崖の先には何もない。厚くて青い大気層と、暗黒の宇宙空間がある。
「……なぁ、惑星って丸いのが普通だよな」
『そうだお』
『重力の働きで、最終的にどんな星でも丸くなるお』
「なんで――あんな黒い崖が見えるんだ?
地球サイズの惑星だったら、水平線の遥か彼方に沈んでいるような崖だと思うんだが……?」
『あ、本当だ!』
『うむ……妖精さんがいる星は、丸くなかった……という事だろうか?』
ショタ妖精は、その場で360度回転し、周りを見下ろす。
違和感がハッキリ分かった。
横に細長い、長方形な地形がどこまでも続いているかのように見える。
この星は――完全に、地球の原型を止めていない。
もう、全く地球と関係がない異星としか、思えなかった。
『この星、輪っかみたいな構造なんじゃね?』
『SF物でよく見る構造だよな……。
確か超巨大なスペースコロニーだっけ……?
輪っかそのものが高速回転しているなら、擬似重力発生するだろ?』
ここに来て、シルバーは思い出す。(1話参照)
造物主と言っても良い、観察系お姉さんの発言。
今まで自身の脳味噌が拒否していた現実を思い出した。
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「最近、私はネット小説なる軽い物語を読んで、唐突に閃きました。
他の飼育ケース……げふんげふん」
(やっぱり、惑星は飼育ケース扱い!?)
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シルバーがいる場所は、地球ではない。
超巨大な、飼育ケースの中だ。
恐らく、グルリッと輪っか状になっていて、とんでもない人口を許容できる、滅茶苦茶すぎる天体。
幸い、シルバーが落とした巨大ビル程度では、輪っかは壊れていないようだ。
『キマシタワー!異世界ロマン!』
『どうやって、こんな惑星作ったwwwww
いやスペースコロニーwwwww』
『ちょwwwwおまwwwwwww
いずれ重力で崩壊するぞwwwwこれwwwww」
『輪っかの一部でも破損したらwwww連鎖崩壊して世界滅亡wwwwww』
「俺、どうしよう……。
ガチの異世界にいる件……。
あ、寄付金くれると嬉しいです……はい」
『はよwww服着ろwwwww』
『全裸で世界の秘密を知るとかwwwwなにこれwwwww』
『妖精さんは、裸が一番可愛いですわー!』
【内政チート】「チャリオットは問題がありすぎる!」 大昔の兵器
https://suliruku.blogspot.jp/2016/06/blog-post_59.html
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