049「 妖精さんと、毒ガス」
青い空をハヤブサのごとく駆け上がるシルバー。
黒いパンツ一枚になってしまったが、未だに、男だと気づかれていない。
豚人間は、鼻息を荒くして、ショタ妖精の尻を追い掛け回している。
『妖精さん良かったな!』
『チンコが小さいおかげで、女の子だと思われてますぞ!』
「全然、嬉しくない!」
状況は超ギリギリ。
黒いパンツを破られた瞬間、男だとバレて、次の瞬間、バラバラ死体になる可能性が濃厚だ。
そうなったら、ここら一帯の美少女という美少女が、無理やり孕まされて、治安が崩壊するに違いない。
嫁の人生設計も滅茶苦茶にぶっ壊される。
『あれ?妖精さん詰んでね?』
『うむ……もう毒ガスを購入するしかないような……』
空を更に更に駆け上がりながら、シルバーは辛くて涙目になる。
こうなったら、使った事もない化学兵器を使うしかない。
青い画面を操作しながら、残った金額で購入できる毒ガスを探す。
タブン(10万円)、マスタードガス(5万円)、Tーウィルス(1京円)、ホモ爆弾(1億円)……多種多様な毒ガスがあったが、残りの貯金で購入するのは辛そうだ。
「貧者の核兵器っていう異名があるのにっ!
なんで毒ガスが高いんだよ!?」
『妖精さんっ!安いサリンがありますぞ!』
『浴びるだけで、大ダメージの毒ガスが格安販売とかwwwwひでぇwwwww』
『誰だwwwwサリンの横流しをした奴wwwww』
確かに、青い画面の中に『サリン』と書かれた袋がある。
値段は1万円。誰が出品したのか謎だが、きっと碌でもないカルト宗教団体とかが作ったのだろうなと、シルバーは思った。
購入ボタンをクリックすると、白いビニール袋が出現し、それを取り落とさないように慌てて掴む。
しかし、毒ガスの運用の仕方を知らないショタ妖精は、重力を無視して上空へと飛びながら――戸惑った。
「どうやって!使えば良いんだ!これ!?」
『サリンは吸わなくても、皮膚に触れるだけで大ダメージですぞ!』
『相手に当てれば良いのですのー!』
今までのやり取りで、豚人間は素直に正面衝突してくれるエロ豚だという事が判明している。
至近距離から袋を投げなくても、向こうから勝手に袋に突撃して、毒ガスを至近距離から浴びてくれるはずだ。
シルバーは下の空間を見ずに、ひたすら惑星の外側へ移動しながら、肺の空気を全てを消費して叫ぶ。
「おーい!豚ぁー!」
「ブヒィィィィー!
もう我慢できないブヒィィィー!孕ませたいブヒィィィー!
もう犯しても良いブヒィィィィ!」
「これで最後だぁー!
この袋を壊したらっ!
俺を(あの世で)好きにしてもいいぞ!」
「わ、わかったブヒィー!
次の試練が終わったら、妖精娘の処女を頂くブヒィー!
チッパイが大きくなるようにっ!オッパイ体操を毎日やってもらうブヒヒヒヒッ!」
「よし!死ねぇー!」
叫んだシルバー、サリンが入った袋を手放す。
重力に沿って、袋は落下し、豚人間が尋常じゃない勢いで突撃してくる。
エネルギー操作で、物理的な攻撃は防御できても、防毒マスクでも防げない毒ガスには対処できないはずだ。
『さすがにこれは防御できないぜ!』
『チェックメイトだぁー!豚さんっー!』
『ファンタジーで毒ガスを使うのは……間違っているだろうか……?』
袋が豚人間にぶつかる。柔らかい袋の一部が破け、サリンの毒がばらまかれた。
この毒は、防護服を着用しないと対処できないタイプの超極悪毒ガスだ。
『よっしゃー!サリンの袋に突撃キター!』
『これで勝つるー!』
『うむ、チェックメイトだ』
サリンは1902年にドイツ帝国が作り上げた化学兵器であり、呼吸器官から吸い込めば、数分以内に、無数の症状が出る。
失禁、縮瞳、気管支分泌液増加、湿性ラ音、肺水腫、呼吸困難、呼吸筋麻痺、意識混濁、昏睡、全身痙攣……それらが一つでも発症すれば、豚人間は確実に死ぬだろう。
ここは地上から何万mも離れた大空なのだから。
高性能な脳味噌で制御していた『夢幻』の能力も、まともに使えなくなるはずだ――
「愛の試練っ!終了ブヒィー!
もう、孕むまで寝かさないブヒィー!
妖精娘で脱童貞ブヒィィィィィー!」
『あるぇ?』
『なんでダメージなし?』
「……え、どういう事?」
ショタ妖精は、残った力で空を駆け上りながら、疑問の声を上げた。
もう、この状況で、戦果を確認する暇はない。
ネットの皆の声が頼りだ。
『普通にノーダメージですぞ!』
『あの豚さんの能力。毒ガスと、正常な空気も区別して、選別して防いでいるお……?』
シルバーは嫌すぎる事実を思い出した。
あの豚人間に、膨大な数の初期型ダイナマイトをぶつけた時――アイツは無傷だった。
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爆弾の煙が、風に流された。
煙が去った後には、消し飛んだ豚人間……ではなく、全く無傷のドンが居た。
岩山を砕けるダイナマイト1万本の火力を、見事に防ぎ切った事を意味する。
しかも、不意打ちの爆風を。絶対に対処できない攻撃を、地上の豚は防いだのだ。
『爆風って秒速何mだったお?』
『これだけ爆発したら、爆風も音速だろ……?』
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(あいつっ!
焼かれた空気を全く吸ってない!)
とんでもない事だった。豚人間は、その圧倒的な頭脳で、安全な空気と、危ない空気を、最初から区別していたのだ。
IQがどれほどあれば、出来る芸当なのか想像もつかない。
エネルギー操作の能力よりも、その頭脳の方が異常すぎた。
最初から、頭脳戦で勝ち目なんてありはしない。
「やばいっ!やばいっ!あの豚やばいっ!?
エロ豚だけど、地味に頭が良いとか酷い!」
「ブヒィー!
捕まえたブヒィー!」
シルバーは対策を考える前に、白くて細い両足を、豚人間に力強く掴まれた。
このままだと、黒いパンツを脱がされて、男だとばれて、殺される。
「ブヒィー!
たまらん美少女ブヒィー!
今すぐ孕ましてやるブヒィー!」
『頭良いのに、妖精さんを女だと思っている件』
『こんなに可愛い妖精さんが、女の訳がない』
『さすがに……今回は詰んだか……?ご冥福を祈ろう……』
次の瞬間、黒いパンツがビリビリに破けて、ただの布切れにレベルダウンした。
ショタ妖精さんは完全な全裸になった。
股間に、小さなパオーンがある。
豚人間は絶句し、絶望し、失望し、苦悩し――激しいトラウマを負った。
「ブ、ブヒィィ!?」
『妖精さん最後の武器。それは』
『小さなチン●だったのです』
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妖精さん(´・ω・`)股間に⊂^j^⊃さん
豚さん(´・ω・`)うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!
男だぁぁぁぁぁ!!ただの可愛いショタだったぁぁぁぁ!!
激しく絶望したぁぁぁぁ!!!
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サリン(´・ω・`)オウム真理教が、本格的に使った事で有名。
とっても危ない毒ガスでござる。
このネタは、日本社会的に考えて危ないでござる。
サリン1万円(違法投棄品)
消費総額366万300 ⇒ 367万300円
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(´・ω・`)主人公が今まで購入したアイテムは、こっちに全部纏めた。
http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Neltuto_tuuhan/Aitemu.html
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