047「 妖精さんと、世界最大の飛行機」
『服を少しづつ破るとかエロゲーだぁー!』
『銃弾のエネルギーをどうやって殺しているのだろうか……?』
空を飛び回るシルバー。戦いながら、ネットの皆に情報を集めさせる。
銃弾も爆弾も、空を飛ぶ豚人間ドンには通用しなかった。
銃弾は、豚人間に着弾する前に、失速し、火薬の爆発エネルギーを完全に殺され、空中を下へと落下する。
『きっと、バリアーを使う夢幻だと思うお』
『空気中にある物質を固めているんじゃね?』
『うむ……皮膚が単純に超硬いだけなのでは……なかろうか……?』
『ダイナマイトで無傷だった時点で、銃じゃダメだお……』
「ブヒィィィィィ!!
どんな結婚初夜を過ごすか悩むブヒィィィィ!!
チッパイが可哀想ブヒィィィー!」
今まで、手数を費やして、シルバーが理解した事は、三つ。
①目の前の豚は、空を飛べる。
②銃弾を打ち込んでも、エネルギーごと無力化される。
③この能力は、本人が意識していなくても、常時起動し、術者を守っている。
『夢幻』の能力は、基本的に1匹につき一つ。
空を飛ぶのも、攻撃を防ぐのも、全部同じ能力という事になる。
つまり、この豚の能力は――
『エネルギーの操作だ!チーターや!』
『なにそれ、こわい』
周りのエネルギーを操作し、都合の良いように利用している。、そういう能力という事になる。
銃弾や爆弾はエネルギーが殺されるから通用しない。
毒ガスなら、通用するかもしれないが、化学兵器を取り扱った事がないシルバーが、今すぐ使いこなすのは無理だ。
それに、豚人間は超高速で空を飛び回り、少しづつシルバーの衣服を破って遊んでいる。
特定の場所に留まっていない相手に、一方的に毒ガスを吸い込ませるのは難しい。
無理に毒ガスを散布すれば、シルバーも自爆するだけだ。
(……どうしよう。
このままだと、下半身が全裸になった時点で、男だとばれるし……そうなったら、もう勝利する可能性はゼロだ。
一瞬で、バラバラにされる……)
『妖精さん頑張れ!』
『うむ……可愛いショタが、少しづつ服を破かれる……。
犯罪的すぎる光景だが……これが女の子だったら良いのに……』
銃弾をばら撒きながら悩むシルバー。こうしている間にも、シャツの裾が破かれて、引き締まった細い腕が大公開。
ウジウジッと悩んでいる暇はない。時間の経過は処刑台への道しるべだ。
戦闘では、迅速な決断力が勝敗を左右する。手持ちの手札の中から、有効な手を考えるしかない。
「おい!ドン!
こっちに来い!」
叫ぶショタ妖精。
いきなり、羽を振動させて、遥か西への方角へ飛ぶ。
豚人間も、欲情し、叫びながら妖精の後を追跡した。
「ブヒィィィー!たまらんブヒィィィィー!
俺の息子がビンビンで元気ブヒィィィ!
妖精娘が、俺の名前を呼んでくれたブヒィィィ!」
遥か西へ、西へ。豚人間とショタ妖精は、青い空を駆け抜ける。
それらの光景を見たネットの皆は――
『妖精さん、まさかプラチナちゃんを助けるために……現場から離れた……?』
『勝率0%だからって諦めちゃダメだお!』
『倒さないと……世界の何処かで女性が犠牲になるぞ……?』
プラチナ達がいる場所が、遥か彼方へと遠ざかる。
興奮した豚人間が近寄ってきては、ショタ妖精の服を少しづつ破り、ズボンもシャツも、ズタボロになりつつあった。
シルバーは、頭が真っ赤になるくらい恥ずかしい気持ちで辛い。
なんで、男なのに、エロゲーっぽい事されている?的な意味で。
『女の子好きなのに、ショタだと気づかない豚がいる』
『妖精さん、はよ。女装はよ』
『勝率アップのために、可愛い服を着よう!』
~~~~~~~
……そんな誰得な攻防が、10分ほど繰り広げられ、プラチナ達に被害が及ばない離れた地域の空。
そこにシルバーは到達し、安心したように呟く。
「ここなら、大丈夫だな……」
『なにが大丈夫なのだろうか……?』
『そろそろ、豚さんも飽きて、本気で服を破きそうな雰囲気だお』
「ブヒィィィィー!
早く楽しみたいブヒィィィィ!!
何度も妖精娘を絶頂させてあげるブヒィィィー!」
シルバーの後ろを飛ぶ、豚人間が本音を隠さずに叫んだ。
ショタ妖精は、そんな事を気にせずに、場に滞空し、ネット通販の画面を表示。
豚人間と仕方なく対話しながら――とんでもないものを購入する作業を開始する。
「ドン!」
「ブヒィ?
鬼ゴッコ終わりブヒィ?」
「俺からの精一杯のプレゼントだ!
受け取ってくれ!」
「ブヒィ!?
嫁になってくれるブヒィ?
和姦は大歓迎ブヒィ!」
「俺のプレゼントを全て受け止めたらっ!
俺をっ!焼くなり殺すなり好きにしろ!」
その言葉とともに――シルバーは購入ボタンを押す。
場に出現したのは――
「見ろ!これが人類の英知だ!
お前らみたいなっ!人間の偽物じゃないっ!
本物の人類文明の結晶だぁー!」
それは、とっても大きな飛行機だ。
436億円の膨大な金を費やされた金属の塊。
乗客を555人収納できる空の覇者――地球最大の旅客機エアバスA380(廃棄済み)だ。
地球初の二階建てのジェット旅客機。重量560トン。
それが、豚人間がいる場所、目掛けて落ちてくる。
「お前の限界を見せてみろー!ドンッー!
男ならっー!受け止めるべきだろー!」
『人類の文明の英知がぁー!』
『なんて酷い事に使うのー!妖精さんー!』
「それでもチン●付いているのかぁー!
男なら挑戦しろー!」
ショタ妖精は一生懸命叫ぶ。豚人間の飛行速度を持ってすれば、落下する旅客機を回避するのは容易い。そもそも誘導機能がないから標的に当たる事そのものがありえない。
だから、相手が自分から衝突してくれるように、必死に呼びかける必要があった。
豚人間は、ショタ妖精の癒されるハスキーボイスに興奮し、落下する巨大旅客機に突撃する。
「ブヒィー!俺の愛を見て欲しいブヒィー!
これが終わったらー!チッパイを見せて欲しいブヒィー!」
『うむ……廃棄された飛行機だからワンチャンス……?』
『ああ、なるほど……プラチナちゃんが近くにいると、使えない攻撃方法ですわね……離れた理由が分かりましたわぁー!』
ネットの皆の非難を聞きながら、シルバーは勝利を確信する。
さすがに『夢幻』といえど、こんな大質量が齎すエネルギーを、受け止められるはずがない、そう思いたかった。
計算通りに誘導された豚人間は、落下するジェット旅客機と正面衝突コースだ。
ジェット旅客機のサイズに比べれば、豚人間は蟻に過ぎない。
「潰れろー!豚人間っー!」
『どっちが悪役なんだ!』
『妖精さんの発言が!悪党だ!』
勝利の笑みを浮かべたシルバーが、叫んだ瞬間――豚人間と、ジェット旅客機は衝突した。
旅客機の細長い巨体は、その莫大なエネルギーを操作されて、真ん中からへし折れて、真っ二つになり、地上へと落下する。
豚人間は無傷だ。全くの怪我を負っていない。疲れた様子もない。
もう、シルバーの貯金がほとんどない。絶対絶命の大ピンチすぎた。
「ブヒィー!愛の勝利ブヒィー!」
『馬鹿なっ……!』
『世界最大の旅客機を食らって無傷だと……!?』
「オワタっ……?」
絶望したシルバー。その落胆の顔はすぐに驚愕の表情へと変わる。
一瞬で近寄ってきた豚人間の手で、白いシャツが紙のようにビリビリッと破られた。
上半身を隠すものは――何もない。ショタらしい平らな胸があるだけだ。つまり、まな板だ。
「ブヒィィィィィィィ!ペロペロしたいブヒィィィ!
胸は、たくさん揉めば大きくなるブヒィィィー!
貧乳コンプレックスを抱く必要はないブヒィー!」
ショタ妖精の小さな身体。細くて健康的な上半身を見て、豚人間は興奮し欲情する。
『キター!妖精さんの半裸!』
『よし頑張れ!豚さん!』
『キマシタワー!妖精さんの脱衣シーン!』
「どっちも死ね!」
シルバーの身体に残されたのは――ズボンと黒いパンツ。それだけだ。
豚人間が舐めプ戦闘している間に、全ての決着を付けないといけない。
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エアバス(ボロボロの廃品)5万円
(´・ω・`)世界一大きな飛行機。
一度に大勢の人員を運べるから、安い料金設定ができてお得。
価格競争にぴったり。
消費総額161万300 ⇒ 166万300
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(´・ω・`)主人公が今まで購入したアイテムは、こっちに全部纏めた。
http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Neltuto_tuuhan/Aitemu.html
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