046「妖精さん、惑星破壊級とバトルする」

『夢幻』相手に一番有効な手段は、能力を使われる前に、さっさと殺す事だ。


『妖精さん!不意打ち攻撃だ!』

『どんな能力も……不意打ちでは対処できないだろうな……』


ネットの皆から言われる前に、既にシルバーは、ネット通販の画面を操作している。

僅か1円で購入できる初期型ダイナマイトを、躊躇なく、在庫丸ごと購入。

その数は約1万本。購入ボタンをポチッとな。

震動を与えれば起爆する代物が、空中にばらまかれた。


『この量だと!銀髪ロリが危ないー!』

『いや、かろうじて射程距離外じゃね……?なんか逃げ始めているし』

『本当だ、プラチナたん逃げているお……』


クレーターの中に、次々とダイナマイトが落ちる。

一番最初に落ちたダイナマイトが、震動で、急激な化学変化を起こし、大爆発。

それらが残りの9999本のダイナマイトを起爆させ、爆発の花が場に咲き誇る。

シルバーがいる位置にも爆風が飛んできて、更に小さな妖精ボディが上空へと流された。

村の周辺に展開していた骸骨戦士軍団は綺麗さっぱり、塵のように吹き飛ぶ。

骨がばらばらになって、折れて、戦力としてはもう期待できない。


『味方ごと吹き飛ばす時点でひでぇぇぇぇぇ!!!』

『妖精さん!?アンタは悪魔か!?』


「だって、今回の『夢幻』との戦いで、あいつら絶対、役に立たないし……。

別に死んだ訳じゃないし、良いだろ」


『銀髪ロリは無事か!?』

『吹っ飛んで、プラチナたんが気絶しているお……』

『観客の亜人まで、吹き飛んどるがなwwww』

『嫁ごと巻き込むなよwwwwww』


「あ、あいつらは細胞が機械だから、だ、大丈夫……」


大切な嫁(プラチナ)を、自分の攻撃で巻き込んだ。その事でシルバーは己を恥じたが、亜人はそう簡単に死なないから、無事だと思い込む。

生物というより、自己再生機能つきのロボットに近い種族なだけに。

それよりも今は『夢幻』を殺せたかどうか、そっちの方が大事だ。


(まぁ……あれだけ爆弾が爆発したら……爆圧がしゅごい事になるし、さすがに死んだだろ……。

ドン、冥福を祈ってやるぞ。

お前は強敵だった……)


爆弾の煙が、風に流された。

煙が去った後には、消し飛んだ豚人間……ではなく、全く無傷のドンが居た。

岩山を砕けるダイナマイト1万本の火力を、見事に防ぎ切った事を意味する。

しかも、不意打ちの爆風を。絶対に対処できない攻撃を、地上の豚は防いだのだ。


『爆風って秒速何mだったお?』

『これだけ爆発したら、爆風も音速だろ……?』


術者が意識してなくても、爆風を防げる能力。どう考えても、シルバーでは勝てそうにない。

不意打ちで殺せなかったという事実が、ショタ妖精の小さな背中に重くのしかかる。

だが、この豚を倒せなかったら、近くにいるプラチナ達は、陵辱されまくって、白濁な液体をドビュッビュッ浴びて、女として最大限の屈辱を味わう事になる。

こうなったら、別の場所に誘導して長期戦するしかないと、シルバーが思っていると――


「誰がやったブヒィー!

俺は怒ったブヒィー!」


激怒したドン、彼の赤い瞳が、空を見た。

空にいるショタ妖精の青い瞳を覗き込み、現在の位置がばれてしまう。


『位置がばれたー!』

『空を飛んでいるから大丈夫だ……と思いたいな……』


「銀髪の妖精娘……うつくしい……最高ブヒィ……。

お嫁さんにしたいブヒィ……」


ドンは、やはり銀髪のショタ妖精を女の子だと勘違いした。

股間のアームストロング砲が元気になり、エロパワーが全身に溢れ、そして――


「俺の子供を孕んで欲しいブヒィィ!!

デートを申し込むブヒィィー!

この場で結婚初夜ブヒィィー!」


豚が地面を蹴って、空を飛んだ。それも重力を全く感じさせない飛び方。

一直線に、鼻息が荒い豚が、シルバーの所へと迫り、隣を一瞬で通り過ぎた。


「え?」


シルバーは、足先から軽い喪失感を感じた。

よく見たら、履いていた靴と、靴下が、綺麗にバラバラにされて、空中を落下している。

ショタ妖精の小さな綺麗な生足が露出した事で、豚人間は欲情して叫んだ。


「ブヒヒヒッ!

美少女は裸足が一番ブヒィー!

毎日ペロペロ舐めてあげるブヒィー!」


『よ、妖精さん!?』

『すげぇ!まるでエロ漫画みたいな展開だ!』

『こやつは、ソックスハンターの風下に置けない存在だ!殺せ妖精さん!』


唐突に、シルバーの背中が寒くなった。

もしも、目の前の豚が、自分を女の子だと勘違いしてなかったら……さっきの攻撃で、一瞬で、五体バラバラにされて、戦いになってなかったはずだ。

ズボンとパンツをバラバラにされたら、その時点で性別がばれて、人生終了だ。

まず間違いなく、激怒した豚に嬲り殺しにされるだろう。


「家に帰りたい!無理ゲー!」


『ヘタレるなwwwww頑張れwwww』

『空飛べない豚は、ただの豚だが、飛べる豚はなんと呼べばいいのだろうか……?』

『夢幻の力って不思議の塊だお』



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●初期型ダイナマイト1万本 1万円




(´・ω・`)主人公が今まで購入したアイテムは、こっちに全部纏めた。

http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Neltuto_tuuhan/Aitemu.html

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