012「妖精さん、女装をやめるってよ」

女装した男の娘による罵倒劇は、30分に渡って続いた。

豚人間達も、ネットの皆も、満足して拍手を送っている。


「ブヒィー!もっと罵倒してくれブヒィー!」

「理想のツンデレ娘ブヒィー!」

「中毒になったブヒィ!俺は今日から罵倒を研究するブヒィ!」


「うわぁーん!もうっ!お家帰るぅっー!」


『異世界に家ないだろwww』

『地球に帰れないお』


シルバーは泣きながら、空を飛んで逃げていく。

完全に作戦は失敗した。

豚人間を怒らせる所か、満足感を与えて喜ばせた。その事に屈辱を感じ、白いワンピース(3000円)が無駄になった。そう思った。


(俺……こんな恥ずかしい思いしたのに、作戦失敗とか死にたいっ……)


『泣いている妖精さん、超可愛いwww』

『地球にお持ち帰りぃー!』


しかも、泣いている情けない姿まで、全国ネットで大公開。

まるでウンコ漏らして、逃げ出した徳川家康みたいな恥辱だ。


『ちょwwwwww完全に逃げたらダメだろwww』

『隠れて、成果を確認しないとダメだお!』


「……あ、忘れてた」


シルバーは空中に制止する。

泣き止むために、しばしの時間を浪費してから、ペロペロ党の洞窟が見える場所へと、こっそり移動した。

洞窟の前には、200匹以上の豚人間が並び、その中央にペロペロ族長がいる。

どうやら、戦う前に士気向上の演説を行うようだ。


『豚だけど、ちゃんと指導者やってる件』

『戦う前に、兵士のやる気を上げるのは、常套手段だな……』

『これが人間同士の戦だったら、この豚の中に、絶対スパイが紛れ込んでいると思うお』

『いや、人間の軍隊は、兵士の単独行動禁止して、部隊間の勝手な移動も禁止してるから、スパイ入ってもすぐ死ぬと思うぞ……?

君主の使者すら、ルール守らないと殺されるし』


(あ~、ネットの皆のせいで、演説の内容に集中できん……

お前ら、静かにしろよ……)


ネットの皆の声を意図的に無視する努力を払いながら、シルバーはペロペロ族長の演説を聞く事に神経を使った。


「偉大なるブタマンを先祖に持つ戦士諸君っ!決戦の火蓋は切られたブヒィ!

今こそ、エルフィンちゃんを解放して、優しくペロペロしてあげる日になるブヒィ!

オッパイ党の奴らは、幾らいてもカスに過ぎないブヒィっ!

妖精娘を刺客として送りこむ性根の腐ったゴミに過ぎないブヒィー!

女の子は、優しくペロペロしまくって、心を攻略した後に。お嫁さんにすべきブヒィっ!

武器より、赤ん坊をその手に握るのが、女の在るべき姿ブヒィー!

全国のペロリストが立ち上がる日が来たブヒィー!」


「「正義は我らにあるブヒィー!」」

「「そうだブヒィー!俺たちを弾圧したオッパイ党に血の制裁をするブヒィー!」」

「「制裁っ!制裁っ!ブヒヒヒッー!」」


「俺らの数は217匹ブヒィ!半分程度の数しかいないブヒィ!

だが、正しい側が勝つと決まっているブヒィー!

ペロペロする正しい未来のために、俺らが勝利するのは必然ブヒィー!」


ひたすら、女の子とエッチな事をする事しか考えていない酷い演説だった。

シルバーは、この下半身に脳みそがあるかのような存在をますます嫌悪する。


(……いや、無理やり拉致ってレイプして、妊娠させる時点で、カルト宗教団体並にクズだろ……)


『エロゲー脳だ……』

『妖精さんのせいで、戦争一直線だお』

『悲しいけど、これって豚の戦争なのよね』


ペロペロ族長は、長い竹槍を振り回し、豚人間達の士気が高めまくった末に命令を下した。


「全軍!進撃するブヒィー!

目標、エルフ娘!打倒オッパイ党ブヒィー!」


「「ブヒィー!」」


豚人間の大群が動き出した。

オッパイ党がある洞窟へと向けて、道なき道へと進軍を開始する。


『竹槍がたくさんあるのに、刃物が一つもない件』

『どうやってwwww竹を切断して加工したんだよwwww』

『ちょwwwオッパイ党が刃物持っている可能性が出てきたぞwww』

『金属器相手に、竹槍とかwww破滅するわwwww』


「いや……オッパイ党もペロペロ党も、どっちの豚人間も持っているのが竹槍だったから、金属器があっても、そんなに数ないだろ……」


シルバーが冷静に反論すると、ネットの皆が反応を返してくる。


『恐ろしい子っ……!』

『俺たちが納得できる結論を出せるなんてっ……さすが妖精さん』

『女装した姿だと、どんなに良い事言っても、変態でしかないwwww』


「この服、脱ごう……。

あとで、プラチナにプレゼントしてくる……」


『や、やめろぉー!』

『貴重な男の娘動画がぁー!」

『完璧な男の娘を見たのは初めてなんです!どうかご慈悲をっー!』

『縞々パンティー履いてから脱いでください!お願いします!』


「だって、俺、この格好のせいで、心がボロボロだし……」


『お願いします!

もう少し動画を撮らせたください!』

『や、やめるんだぁぁぁぁ!!妖精さんの女装は世界の宝だぁー!』


「それに、この格好で空を飛ぶのって、少し面倒いし……」


『そ、その格好で戦えば、妖精さんは有利に戦えるお!

豚はきっと手加減攻撃してくれるお!』

『出来れば、縞々パンティー履いて、パンチラしてほしいお』


シルバーは、荷物を隠した、高い山の頂上に着地し、容赦なくワンピースを脱いだ。

すぐに短いズボンを履き、白いシャツを着て、ネットの皆を絶望へと追い落とす。

女装する男の娘は消え、そこには愛らしいショタ妖精の姿があった。


『この世の終わりブヒィー!』

『貴重な男の娘成分が消えた……』

『いや、短いズボンの方が良いだろ、ショタ最高!』

『ショタはスカートより、ショートパンツが一番!』

『はぁ!?ふざけんなよ!?スカートの方がいいだろ!』

『フンドシが一番だお!』

『ドロワーズ履いてほしいお。魔法少女っぽい格好はどうだお?』

『ちょwwwwお前らの性癖ばらばらwwww』


(豚も人間も、くだらない事で争っているな……。

はぁ……きっとアイドルもこれと同じくらい大変なんだろうな……。

握手会でナイフで刺してくるファンとかいるらしいし、俺、男でよかった……)




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竹(´・ω・`)幾らでも補充できるうえに、まっすぐ育つから、槍として使えるエコ植物ですお。

しかも、フィラメントに竹を使うと、連続点灯時間が200時間を超えて、便利な内政チートアイテムでもありますお。


ただし、火の中に直接入れると、パァーンって破裂するから要注意

錐で穴を開けて、竹内部の空気を出さないとダメですお。

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(´・ω・`)主人公が今まで購入したアイテムは、こっちに全部纏めた。

http://suliruku.futene.net/Z_saku_Syousetu/Tyouhen/Neltuto_tuuhan/Aitemu.html

【内政チート】 「俺は錆び辛いステンレスでチートする! 」1912年に発明された金属

http://suliruku.blogspot.jp/2016/04/1912.html

【小説家になろう】主人公「槍の才能一つで全部決まってしまう家系に生まれてもうた」 お菓子職人の成り上がり~天才パティシエの領地経営~

http://suliruku.blogspot.jp/2016/03/blog-post_10.html

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