005「妖精さん、動画の謎に気づく」  

「僕と結婚を前提にお付き合いしてくれませんか!」


シルバーは、このセリフを聞いた瞬間。頭の思考がグチャグチャになった。


(やったぁぁぁぁぁぁぁ!!!人生初めての愛の告白っ!

俺、これでリア充っ!

しかも裕福そうな女の子からプロポーズされたっ!

ネット通販の金を節約しながら生活できるっ!

人生の転機がキタァァァァ!!もう死んでも良いっ!!)


しかも、銀髪ロリは手足を縄で縛られて全裸。

その美しい容姿を隠す物は何もない。

真っ白な肌も、控えめの胸も、天使の裸体が大公開中だ。


(両手足を縛られた銀髪美少女……素晴らしい。

俺、異世界に来て良かったです……観察系お姉さん)


『はよ、ナイフで縄を切断しろよ』

『いや、このままじっくり放置するべきだ!』

『そうだっ!そうだっ!縛られたロリ娘とか貴重な動画だぞ!』

『銀髪ロリをペロペロしたい』


(あ、俺以外にも、この娘の裸を見ているネットの皆がいたんだった!

縄を切断して解放してあげなきゃ!)


シルバーは、腰の鞘から、サバイバルナイフを取り出し、プラチナを拘束する縄に刃先を合わせた。


『や、やめるんだぁー!妖精さんっー!』

『縄を切断するのはらめぇー!』

『もう少し銀髪ロリのエッチィ姿をみたいだけなんだぁー!』


(だがっ!断る!

これ以上、彼女の裸動画をアップロードさせてたまるか!)


鬼のような心を宿したシルバーは容赦なく、縄を切断した。


『鬼っ!悪魔っ!ショタっ!ホモられろ!』

『もう、お前の事は助けないからな!』

『リア充は爆発しろ!』


ネットの皆からの罵倒がシルバーに届く。だが、彼には優しいそよ風のように感じられた。


(ふぅ……良い仕事をした。女の子の全裸を、ネットに流しちゃ駄目だ。

あいつらの目で、彼女を汚しちゃいけない)


シルバーは、目を瞑って達成感に浸っていると、抱きつかれる感触がした。

目を開ける。視界に映ったのは、とっても柔らかくてプニョプニョの白い肌だ。

縄から解放された銀髪ロリが、満面の笑みを浮かべて、抱きついている。


「あ、ありがとうございます!

僕の名前はプラチナといいます!シルバー様!」


プラチナの小さな胸が、シルバーの両腕に当たっていた。

小さくても、触れるとプニッと柔らかい弾力がある。

これが女体の神秘。小さくても弾力があって気持ちいい、しゅごい反発素材。

シルバーは、巨乳の方が好きだが、オッパイに貴賎は存在しないんだな、と確信できた。


『羨ましい。妬ましい』

『可愛いショタ・ロリカップルだ。しゅばらしい!』

『これで、ご飯三杯いけるお』


(しゅ、しゅごい!

俺のアームストロング砲も暴発しそう!……じゃなかった!

それよりやるべき事があるだろ!)


繊細な年頃のシルバーは、スケベー心を隠し、プラチナの両肩に軽く手を置いて、紳士っぽく振舞う事にした。


「ま、まずは服を着よう。

風邪をひいちゃうだろ?」


「あっ……そうでした。

あっちの茂みの方に、服があるから、ちょっと待ってくださいね」


プラチナはそう言って、茂みの向こうへと行った。


『はよ、追いかけろ』

『豚人間が隠れてたら、またエッチィ事になるぞ』

『妖精さんが動かんと、全裸のプラチナたんが見れない!』


(……ネットの皆の欲望通りに行動したら、ダメ人間になる。

そんな気がしてきた……小さい娘の裸を覗いたり、着替えを見るのは駄目だろ……常識的に考えて)


茂みの向こうで、服を着る小さな音がした。

それを聞いているだけで、シルバーも、ネットの皆も、心のアームストロング砲が元気になりそうだ。

人間、見えない方が、想像力を働かせることができる。


(……そういえば、俺、あの娘にプロポーズされたんだよな。

でも、待てよ?俺があの娘の恋人になって、エッチィ事したら、それも自動的に動画サイトにアップロードされるって事なのか……?

うわぁ……俺にはプライバシーの欠片もないという事なのか!不幸だぁー!)


内容的にも、健全な動画サイトにUPしたら、自動的に削除されそうだ。

女の子の全裸を投稿しても良いサイトなんて……アダルトサイトのみ。

もしも、アップロード先がそうだとしたら、アダルト業界の広告費は超安い。

動画で莫大なアクセスを集めても、広告収入は全く当てになりそうになかった。


「なぁ、皆」


『どうした、妖精さん?』

『はよ、銀髪ロリの全裸、はよ』


「お前らが見ている動画サイトの名前ってなに?」


『パルメ動画』

『パルツベ』

『ユンヤーパルメさん』

『そんなーチューブ』


普通に、全年齢の健全な動画サイトばっかりだった。


「おい、ちょい待て!?

女の子の全裸なんて投稿したら、削除されるサイトばっかりじゃないか!

俺の広告収入はどうなる!?」


『でも、乳首の所に、モザイクがかかって見れんかった』

『隠せば、大丈夫なんです。

エロい人にはそれが分かるんです』

『隠す方が妄想できて楽しいお!』


少なくとも、これは精神的な救いになりそうだった。

24時間、アップロードされても、大事な場所は隠される。

それはシルバーにとって朗報だ。女の子とイチャイチャして仲良くなって、エロゲーの終盤みたいなエッチィ事しても他人には、細部は見れないという事だ。


(やった!

大事な場所は見られないから安心でき……ないだろ!?

声にはモザイクかかってないみたいだし、これって24時間監視されて生活するようなものじゃないか!)


『大切な場所は見えなくても、綺麗な肌が見えるからワンチャンスだお!』

『縞々パンツ履いて欲しいお!』


(……他の転生者が、この能力を選ばない本当の理由がわかったぞ。

監視生活を送りたがる奴なんて居ないよな……。

ネット通販がすごく便利でも、誰も選ばなくて当たり前だ……ストレスでハゲになるかもしれない……)

【小説家になろう】 「中央集権国家がチートすぎて、改革が大変だって!?」

http://suliruku.blogspot.jp/2016/03/blog-post_58.html


【小説家になろう】 「カクヨムの利用者がほとんど居ないだって!?」

http://suliruku.blogspot.jp/2016/03/blog-post_23.html

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る